疲れやすい人に効果的な食事療法を解説!原因や改善ポイントも紹介

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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疲れには、肉体的疲労、精神的・神経的疲労、病的疲労などに分類されるものがあり、いろいろな原因があるとされています。

これらの疲労は、生活習慣、特に食事を見直すことで改善できることが多いです。

 

例えば、食事量が少ない、栄養素が不足している、などという状態では、疲れがそのサインとして表われていることが考えられます。

その場合は、食事を見直すということで、改善が得られます。

 

しかし、食事が原因と思わず、他の原因を探して、あれこれ試しても、なかなか疲れがとれず、結局疲れを放置してしまう人もいます。

身体は元の元気な状態に戻ることができずに、ますます疲れを感じてしまうことになります。

結局、食事を見直さないと、疲れを改善することができないのです。

 

ここでは、そんな疲れやすい状態を改善するための食事について詳しく解説していきます。

なぜ疲れやすいのか、その要因を解明し、その対策、方法、疲れにくいポイントについてもお伝えしていきます。

ご自分の食事をふりかえって、記事の内容が実践できているかどうか見比べてみてください。

どんな食事がいいのか、何が足りていないのか、どのように改善したらいいのかの参考になればと思います。

 

疲れやすさの原因は食事とつながっている!

私たちは、日々当たり前のように食事をしています。

ですが、性別や年齢によって必要な栄養量やエネルギー量は異なっており、それに応じて適正なエネルギー量を生み出して身体を動かしています

 

にもかかわらず、食べる量や種類が少なかったり、または、適切な量や種類を食べていても消化吸収がうまくいっていないと、身体は栄養が不足した状態となります。

すると、身体はエネルギー不足に陥り、疲れやすさを感じてしまうのです。

 

例えば、主に疲れを感じるといわれる「脳」を見てみましょう。

脳の主なエネルギー源は、糖質ですが、その糖質が不足すると、脳は疲れを感じやすくなります。

 

疲れたり、集中できない時に、ついチョコレートをつまんでしまったり、甘いものが欲しくなることありますよね。

それは、脳の糖質不足により、すぐにでもエネルギーを必要とするため、そのサインとして甘いものが食べたくなるのです。

 

疲れも同様に糖質や様々な栄養素の不足によるサインなのです。

 

このように、疲れを感じるということは、食事すなわち栄養とつながっています。

疲れを感じた際は、日々の生活で何が足りていないのかを確認し、それを補うことが必要です。

それが自然とできるようになれば、疲れ知らずの体を作り上げていくことができますし、たとえ疲れを感じたとしても、すぐに改善することができるでしょう。

 

疲れやすい状態を改善するおすすめの食事療法

ここまでで、疲れやすさと食事の関係を何となく理解してもらえたのではないかと思います。

それでは、具体的にどの部分を改善していけばよいのでしょうか?

 

栄養のあるものをただ食べていても、疲れやすさが改善するわけではありません。

 

疲れやすい状態の時に必要な栄養素や食べ方が必ずあります。

ここでは、疲れやすい状態を改善するおすすめの食事療法を3つお伝えしていきます。

 

炭水化物を摂取する

疲れやすさの原因は、食事とつながっているとお伝えしましたが、特に炭水化物不足が大きく影響しています。

 

炭水化物に含まれる糖質がエネルギー源として、それが不足すると脳からサインがでるからです。

 

まず、炭水化物は糖質だけでなく食物繊維も含まれています。

糖質は、最も効率のよいエネルギー源であり、砂糖やオリゴ糖やでんぷんなどがあげられます。

これらの違いは、最小単位の糖質のつながる数によるもので、その数によりグループ分けされます。

 

糖質が、口や胃などの消化器官を経て小腸で消化吸収され使われるのに対して、食物繊維は小腸で消化吸収されず、大腸で使われます。

この食物繊維は水溶性食物繊維、不溶性食物繊維からなり、血糖値の上昇を防いだり、便秘、下痢の改善をしたり、コレステロールを吸収するなど体にとって非常に重要です。

 

つまり、エネルギー源となるのは炭水化物のうちの糖質です。

お昼ご飯を、1人だから簡単に少しだけで済ませたり、話題の低糖質ダイエットをしてみたりする方もいると思います。

 

そのような炭水化物(糖質)の少ない食事をすると、エネルギー不足の状態がおきてしまい、脳と体の疲れやすさにつながります。

車で言うところのガソリンがないのと同じ状態です。

 

厚生労働省の基準によると炭水化物は摂取エネルギーの50~65%が目標です。

 

 

この基準を下回ってしまうと、体の中で不足分のエネルギーを作ろうとして、逆に体に負担がかかってしまいます。

   

また、単に炭水化物を食べればよいということではなく、炭水化物の中でどのように組み合わせて食べるかによって、食物繊維、ビタミン、ミネラルの摂取量も大きく変わります。

 

ビタミン、ミネラルは、体を動かす上で必要な栄養素となり、むしろ不足により体の不調を来したり、疲れやすさにもつながるので、気をつけて食べるようにしましょう。

 

おすすめの炭水化物を以下にご紹介しています。

  • 穀物類・・・ご飯、パン、もち、うどん、そば、スパゲッティなど
  • 芋類、デンプン類・・・ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシなど
  • 砂糖及び甘味類・・・白砂糖、黒砂糖、三温糖、はちみつ、天然甘味料、合成甘味料など
  • 果物類・・・りんごやみかん、バナナなど

 

   特に穀物類をメインに組み合わせて毎食摂取するといいですね。

 

3食規則正しく摂取する

不規則な時間に食べたり、1日1食や2食にしてみたり、食べる量が多かったり少なかったりという食事は胃腸に負担をかけてしまいます。

 

人の体は、1度に消化吸収できる量や消化酵素のでる時間なども、おおよそ決まっています。

そのため、1日1食や2食では、量は食べることができたとしても、消化吸収の観点から考えると、3食たべる方が摂取できる栄養素は多くなり、栄養摂取量が偏りにくくなります。

 

時間も均一に間をあけた方がお腹が減ったときに、効率よく吸収できるため、それにより、生活リズムも整います。

 

例えば、朝食を食べずに、昼食、間食、夕食、寝る前に間食をするパターンを考えます。

この場合、夜寝る前に食べることで、朝も食欲がわかず、朝食を抜いてしまうという原因になることが考えられます。

 

このような食生活では胃腸も常に働き続けることになり、疲れやすさにつながる可能性があります。

 

ただし、小食の人や消化不良がある人もいます。

その場合、自分の体調に合った食事のとり方をしましょう。

 

個人差はありますが、理想は「1日3食規則正しく摂取する!」です。

 

定食に近づけて食べる

普段どんなバランスで食事を摂っていますか?

ごはんやおかずなど、どのような割合で食べていますか?

この写真のような定食型にすると、バランスも整い、栄養素も充足されやすくなります

いわゆる「定食型」という食事の内容について、写真を例に具体的に書いています。

是非、参考にしてみてください。

 

  • 主食・・・ごはん、パン
  • 主食をもう1品・・・ 芋類、カボチャ、オートミール、トウモロコシ、栗など
  • おかず・・・肉、魚、卵、豆類など
  • サラダ・・・野菜、きのこ、海藻類など
  • 味噌汁・・・味噌、海藻類など
  • 果物・・・旬の果物
  • 乳製品・・・牛乳、ヨーグルト、チーズなど 

 

バランスよく「定食に近づけて食べる」ことで、体に必要な栄養素をとりいれ、疲れやすさをなくすことをおすすめします。

 

疲労回復に効くおすすめの栄養素

ここまでは、疲れやすさを改善する食事療法をお伝えしてきました。

1日3食、炭水化物を中心とした定食の形で食事を食べることが、栄養素を摂る上で最も効率的であることがわかってもらえたのではないかと思います。

 

次に、この章では、疲労を回復させるために、積極的に摂りたい具体的な栄養素について解説していきます。

 

どの栄養素も重要ですが、単体で注目するのではなく、バランスよく摂ることが重要ですので、その点も注意していきましょう。

 

ビタミンB群

ビタミンB群は、水溶性でビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンB12、パントテン酸、ビオチン、葉酸の8種類があります。

 

ここでは、疲れやすさに関係し、エネルギー生成に重要なビタミンB1、ビタミンB2について解説します。

 

①ビタミンB1

ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素です。

炭水化物を食べてもビタミンB1が不足していると、体内でエネルギーに変えることができず、エネルギー不足がおきて疲れやすくなってしまいます。

 

多く含む食材:豚肉、うなぎ、玄米、そば、さけなど

 

②ビタミンB2

ビタミンB2も、タンパク質・脂質・糖質をエネルギーに変えるために使われますが、特に脂質をエネルギーに変えるために重要な役割を果たしています。

不足すると脂質をエネルギーに変えることができず、ビタミンB1同様、疲れやすくなります。

 

また、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関わりがあり、不足すると口内炎ができたりします。

 

多く含む食材:うなぎ、ぶり、かつお、牛乳、牛/豚ヒレ、アジ、豚モモ、さば、卵など

 

ビタミンC

ここまでは、疲れを感じる要因として、主にエネルギー不足などについて解説してきましたが、ビタミンCでは、他にも要因がいくつかあるので解説していきます。

 

「活性酸素」という言葉を聞いたことがあると思います。

 

活性酸素は、体のエネルギーを作る際、呼吸によって取り入れた酸素を使うのですが、この時使われた酸素が不安定な形になり生じます。

活性酸素は毒性も強く、過剰に増えると私たちの体には有害で生活習慣病や老化、疲れの原因にもなります。

この活性酸素を安定させる栄養素の一つがビタミンCであり、この働きを抗酸化作用というのです。

ですから、疲れの一因とも言える、活性酸素を減らすためにもビタミンCを摂りましょう。

 

また、ビタミンCは、鉄の吸収を高めてくれるので、貧血による疲れやすさを軽減することにもつながります。

 

他にも、ストレスを感じたとき、抗ストレスホルモンが分泌されるのですが、ビタミンCが不足しているとこのホルモンが分泌されず、ストレスに対処しにくくなります。

 

疲れやすさを感じたときは、ビタミンCが不足していないか?という点について食事を見直してみるのもいいでしょう。

 

多く含む食材:ブロッコリー、キウイ、柿、いちご、カボチャ、小松菜、じゃがいも、大葉、モロヘイヤ、パプリカなど

 

ミネラル類

私たちの体は、37兆個もの細胞で作られ、ミネラルも細胞の構成成分です。

ミネラルは、体を動かすために必要なものであり、その種類ごとに様々な役割をもっています。

 

体の疲れやすさとエネルギーについては、ここまでもその関わりを述べてきましたが、この章では、ミネラルとの関連性や重要性をお伝えしていきます。

 

特にここでは、鉄、亜鉛、マグネシウムについて解説していきます。

普段の食事でも不足しやすい栄養素ですので、積極的に摂るようにしましょう。

 

①鉄

鉄は、体内で「ヘモグロビン」として酸素を全身に運ぶ役割があります。

 

鉄が不足すると「ヘモグロビン」が少なくなり、酸素を全身に運ぶことができなくなってしまい、その結果、貧血を起こしてしまい、息切れや疲れやすさなども感じやすくなります。

 

鉄には、吸収率が高い「ヘム鉄」と、吸収率が低い「非ヘム鉄」があります。

 

ヘム鉄は、肉や魚など動物性食品に多く含まれ、たんぱく質と結合しているので、そのまま腸で吸収されます。  

非ヘム鉄は、植物性食品に含まれ、ヘム鉄と型が異なるので、形を変えてから吸収されます。

 

鉄は、吸収率がそれほど高くないので、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることにより、体への吸収率が高まります。

貧血による疲れやすさを減らすためにも、鉄を積極的に摂るようにしましょう。 

 

多く含む食材:

  • ヘム鉄…レバー、卵、鯖など動物性食品
  • 非ヘム鉄…ほうれん草、チンゲンサイ、玄米、大豆(納豆、木綿豆腐)など植物性食品

 

②亜鉛

亜鉛は、体の機能を保つためにあらゆるところで使われています。

私たちの体の中には、様々な酵素があり、この酵素が消化、免疫機能、体のエネルギー生成の反応、物質の合成などに広く関わっています。

 

亜鉛は、この酵素に関わりをもつ重要なミネラルで、亜鉛が不足すると体の働きが悪くなり、疲れやすさにつながってしまうのです。

 

亜鉛は、他には髪の毛や皮膚、味覚や嗅覚、細胞や骨の成長、食欲低下、生殖機能にも関係したりします。

疲れやすさだけでなく、体全体の調整に関わる重要なミネラルになりますので、意識的に亜鉛を摂るようにしましょう。

 

多く含む食材:牡蠣、牛肉、豚肉、鶏肉、乳製品、豆類、ナッツ類など

 

③マグネシウム

マグネシウムは、亜鉛よりもさらに多くの酵素の関わりをもつ、体内で重要なミネラルです。

体のエネルギー生成、リラックス作用、骨密度の上昇、睡眠を深くする、疾患の予防、炎症を抑えるなどの働きがあります。

 

亜鉛同様、不足すると様々な体の機能の働きが悪くなり、体調不良として表われてしまいます。

 

疲れやすさもその一つであり、現代人は慢性的に不足している人が多いので、食事に積極的に取り入れるようにしましょう。

 

多く含む食材:大豆、海藻、玄米、オートミール、芋、カボチャ、自然海塩など

 

ここまでおすすめの栄養素について解説してきました。

 

例えば、あなたの食事で他の栄養素は充足していてビタミンB群だけが足りていなければ、ビタミンB群を摂取すれば、疲れは改善する可能性があります。

 

ですが、実際にはカロリー不足、栄養素不足の人がとても多い状態です。

たとえ単一の栄養素を補ったとしても、疲れが改善する可能性は低いと思われます。

場合によっては、食事量全体を増やして多くの栄養素を摂る必要があります。

 

その改善策としておすすめするのが、第2章でご紹介した定食をイメージした食事です。

ぜひ実践してみてください。

 

疲れにくい体をつくる食事ポイント

ここでは、疲れにくい体をつくる食事ポイントをお伝えしていきます。

普段習慣化していることも少し見直すだけで、体の調子が整うこともありますので見ていきましょう。

 

野菜から食べる

何から食べ始めるかという順番なのですが、実はとても重要なのです。

その理由は3つあります。

  • 血糖値の上昇を緩やかにする
  • 食べ過ぎを防ぐことができる
  • 野菜の酵素が消化の手助けをする

 

この3点について順に解説していきます。

 

1点目の「血糖値の上昇を緩やかにする」について見ていきましょう。

 

●血糖値の上昇を緩やかにする

まず、「血糖値」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これはどのようなものでしょうか。

 

私たちが食事をすると、食べたものを消化吸収し、栄養分として血液内に取り込みます。

その血液の中に糖質がどのくらい含まれているのかを数値として表したものを「血糖値」といい、正常とされる基準値が定められています。

血液中の糖質は「インスリン」というホルモンによって細胞の中に取り込まれ、エネルギーとして使われる仕組みとなっています。

 

血糖値が基準値より高いということは、血液中に糖質が多い状態が続くようになり、これが生活習慣病のような様々な疾患につながります。

 

次に「疲れやすい」という観点から、この血糖値について見ていきます。

 

「血糖値が高い=摂取する糖質が多い、あるいは何らかの理由により細胞に糖質を取り込むことができないので血液中に糖質が多くなる」ということです。

食事をして糖質を摂取できたとしても、細胞に取り込むことができなければ、エネルギーを作ることができず、慢性的に続けば結果として疲れやすくなる傾向にあります。

 

では、血糖値が低ければいいのかという風に思うかもしれませんね。

「血糖値が低い=摂取する全体的な糖質量が少ない、もしくは摂取する糖質量は足りているが、消化吸収がうまくいっていないため、血液中に糖質を取り込めていない」ということです。

そもそも血液中に糖質が少ない状態なので細胞に取り込める量も少なくなり、エネルギーを作ることができず、疲れやすくなります。

 

つまり、「疲れやすい」という点からしても血糖値が高すぎても低すぎてもよくないということがわかります。

 

ここまで「血糖値」について解説してきました。

 

ここからは、野菜から食べることが「血糖値の上昇を緩やかにする」ということについて、そのメカニズムを見ていきましょう。

 

一般的に野菜よりも穀物の方が血糖値の上昇が早いと言われています。

これには、糖質と食物繊維が関係しています。

 

穀物に比べ、多くの野菜は糖質が少なく食物繊維が豊富です。

糖質が少なく食物繊維が豊富ということは、小腸での消化吸収がゆっくりと進み血糖値は穏やかに上昇していく、ということになります。

 

もちろん、穀物にも食物繊維が含まれていますが、特に白米は野菜に比べると糖質を多く含みます。

そのため、口腔や腸で消化吸収され、野菜よりも早く血糖値が上がることとなるのです。

 

ですから、空腹時にいきなり穀類を続けて食べるのではなく、野菜のおかずから食べて、血糖値を急上昇させないようにしましょう。

 

そうすることで、血糖値の急な上がり、下がりによる疲れやすさを防ぐことにつながります。

 

ただし、気をつけたいのは、あくまでも食べる順番です。

糖質は、私たちの体にはエネルギー源として、必要な栄養素です。

「血糖値を上げるから糖質はよくない」と思うのではなく適切な量を摂るようにしましょう。

 

また、野菜の中にはカボチャ、さつまいも、ジャガイモ、とうもろこし、栗など糖質を比較的多く含むものもあります。

これらの食材についても食べる順番に気をつけましょう。

 

次に2点目の「食べ過ぎを防ぐことができる」について見ていきます。

 

●食べ過ぎを防ぐことができる

野菜から食べ始め、しっかり噛むことで満腹感も得られれば、食べ過ぎを防ぐこともできます。

その結果、腹八分目の食事になり、肥満予防もできます。

 

食べ過ぎると、胃腸も消化吸収するために働き続けることとになります。

適切な量を食べるということは、胃腸の負担軽減となり、疲れにくいことにつながるのです。

 

最後に「野菜の酵素が消化の手助けをする」ということについて見ていきます。

 

●野菜の酵素が消化の手助けをする

私たちは、普段、食事で食べたものを体内の消化酵素を使って分解し、消化吸収をおこなっています。

 

生で食べる野菜にも、実は、酵素が含まれており、消化の手助けをしてくれます。

消化を助けてくれることで、栄養素も吸収されやすくなり、エネルギー生成を助けてくれるので、疲れやすい状態を避けることにつながります。

 

酵素を含む野菜は、キャベツ、大根、人参、山芋などがあります。

 

この酵素を効率的に取り入れるのであれば、生食で食べるようにしましょう。

酵素は熱に弱いため、加熱するとその働きを失ってしまう特性があるので、その点は注意しましょう。

 

ここまで、野菜から食べることについて解説してきましたが、全ての人にあてはまるわけではありません。

小食の人、消化不良を起こしている人、高齢者には「野菜から食べる」ことはおすすめできません。

野菜で満腹になってしまうと、他のおかずが食べられなくなり、必要な栄養素が摂れなくなってしまうからです。

 

よく噛んで食べる

よく噛むことで唾液の分泌も促進されて、口の中の段階で、ある程度消化もすすみます

また唾液の分泌により、胃腸の消化液の分泌も促されて活発に動くので、さらに消化吸収がよくなります。

 

消化不良を防ぐことで、胃腸への負担も減り、栄養素を十分に体に取り込むことができるようになります。

そうなると、体はエネルギーを作りやすくなるので、疲れを防ぐことにもつながるのです。

 

よく「30回噛もう」ということが言われますが、とても理にかなっているのです。

 

また噛むことは、満腹中枢をも刺激するので、前述しましたが、つい食べ過ぎてしまうことを防ぐ効果も期待できるのです。

 

間食の種類と摂り方

間食は、3食での食事を補うためには必要ですし、リラックス効果なども期待できます。

ただ、間食の量が多くなってしまうと、カロリーオーバーになってしまいますので、間食を摂りすぎたときは、食事の量を調整しましょう。

 

疲れた時の間食として、甘いもの(白砂糖などの精製された糖を含むもの)を欲しがる場合があります。

確かに甘いものは、エネルギーも補給され、疲れも和らぎます。

 

しかし、甘いものを摂りすぎると、

 

「血糖値が急上昇⇒ インスリンの大量分泌⇒ 血糖値の急降下」

 

という流れを起こし、いわゆる乱高下の状態が起こり、疲れやすさやだるさを感じやすくなります。

 

また、甘いものには依存性があります。

普段から甘いものを食べることが習慣になっている人は、血糖値の乱高下により、低血糖時にまた甘いものが欲しくなります。

疲れている際やだるいときに甘いものを食べると、さらにこの悪循環が繰り返されて負の循環となります。

 

では、どのような間食をとるのがよいのでしょうか?

 

例えば、

「食物繊維を含む炭水化物(芋類や果物)、糖質とたんぱく質の組み合わせ(鮭おにぎり、チーズとパン)」

などがおすすめです。

 

具体的におすすめの間食としては以下のものになります。

  • おにぎり(具入り)
  • サツマイモ   
  • 果物(特にバナナ)
  • ドライフルーツ   
  • 干しいも      
  • ヨーグルト 
  • チーズ

 

ドライフルーツや、干しいもは、栄養価が高く、甘いので食べやすいです。

乾燥させている分、糖分が凝縮されていますので、食べ過ぎには注意しましょう。

 

また、脂質を多く含むお菓子類は、おいしくて魅力的ですが、脂質過剰になりカロリーもオーバーしやすいので食べ過ぎには注意しましょう。

 

1日の食事量が足りていない人や、活動量の多い人などは、食事の補助になるような食品を選び、1日に必要な食事量を満たすようにしましょう。

 

疲れをためない生活習慣

4章までは、疲れやすい状態を改善するための食事療法について述べてきました。

生活というのは、食事、睡眠、昼間の活動、家での時間などで成り立っています。

ここからは、食事以外で疲れやすい状態を減らすための生活習慣について見直していきます。

 

質のよい睡眠

睡眠による体へのメリットはたくさんあり、疲れをとるためにも睡眠はかかせません。

免疫力を高め、病気や病原菌への抵抗力も強化してくれます。

 

質のよい睡眠をとるために必要なことを挙げていきますので、ご自分の生活を振り返ってみてください。

  • 日中に日光を浴びたり、活動量を増やす
  • 適度な運動を行う
  • テレビ、スマホ、パソコンなどブルーライトを寝る前に浴びないようにする
  • 睡眠に必要な栄養素を充足させるために定食に近づけて食べる
  • 寝る直前の食事は控える

 

寝る直前の食事は、就寝してからも消化吸収が続くことになりますので、交感神経が働きます。

交感神経が働くと、夜目が覚めてしまい、睡眠の質が低下してしまいます。

脂っこいものや脂肪分が多い食品、カフェインを摂ることは避けたほうがよいでしょう。

 

また夕ご飯を抜いたりすると、夜間低血糖が起きて夜中に目が覚めることもあります。

質のよい睡眠のためには、ご飯もしっかり摂りたいものです。

 

不眠症は人口の2割、睡眠に満足していない人は約4割いるとも言われています。

良質な睡眠は、疲れやすさをなくすためには不可欠です。

睡眠の質を上げるために、生活習慣を見直してみましょう。

 

適度な運動

5-1でもあげたように適度な運動は、体のためだけでなく、気分転換にもなり、心の疲労回復にも効果的です。

毎日続けられるようなウォーキングやストレッチなど、体を動かすことをおすすめします。

 

体を動かしていないと、血液の循環も悪くなりますし、筋肉量も減ってしまいます。

それに伴い、エネルギー生成も少なくなり、疲れやすさにもつながってしまいます。

 

運動をすると体の活動量が増えてよりよい睡眠にもつながります。

適度に体を動かすことを生活の中に取り入れていきましょう。

 

休息をとる

ストレスを感じると、心身の疲れやすさにつながるので、ゆっくり休息を取ることも必要です。

自分が楽しめるようなストレス解消法や趣味を持つなど、時間を決めて気持ちを変えることを行いましょう。

友人や家族とのコミュニケーションやペットとの触れあいなども疲れを癒してくれます。

 

自分なりのペースで休息をとり、疲れを感じる前に、自分に合う休息のとり方を見つけてみましょう。

 

まとめ

まとめ

普段の生活の中にストレスや忙しさや不安など、疲れをもたらすようなことはたくさんあります。

 

ここでは、その疲れやすさを改善するためのおすすめの食事療法、疲労回復に効く栄養素、疲れにくい体を作る食事ポイントなどをお伝えしてきました。

 

毎日の食生活や、普段の生活習慣が私たちの体を作っているとも言えます。

疲れやすさを食事から改善するのであれば、2-3で解説した「定食の形に近づけて食べる」ことこそが、理想の栄養バランスに近づく重要なポイントです。

 

ここに解説してきた単一栄養素だけを摂取しても疲れやすさは改善されません。

また食事量が少ないことによりエネルギーが足りていない人が多いのが現状です。

 

今の自分の食生活を振り返り、何を増やして、何を減らすべきかを見直していくことで、きっと体調の変化も感じられるでしょう。

 

こちらで解説した内容を日々の生活に取り入れていただき、疲れを感じない毎日を送れるようになることを願っています。

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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