浮腫の原因は、血行不良や塩分の摂りすぎだと思っている方も多いでしょう。
実はそれらに加えて、栄養不足も浮腫に大きく関連していることをご存じですか?
あなたが抱えている浮腫の背景に栄養不足が隠れていたら、血行を良くしたり塩分を控えるだけでは改善が難しいかもしれません。
栄養不足の解消にも同時にアプローチする必要があるのです。
とはいえ、自分が栄養不足かどうかなんて判断するのは難しいですよね?
そもそも栄養が充足する自分に適切な食事とはどんなものなのか、分からないことも多く、迷ってしまいます。
そこで、この記事では、栄養不足がどのようにして浮腫を引き起こすのか、栄養不足にはどんなサインがあるのか、栄養不足を解消して浮腫を改善・予防するポイントについてお話ししていきます。
記事の後半には栄養不足を解消するための食事内容や注意点にも触れています。
ぜひ最後まで読んで、日々の食事から浮腫の改善・予防に取り組む手助けにしてください!
目次
そもそも浮腫の原因とは?
浮腫は水分・塩分の摂りすぎや疾患の影響、炎症、血行不良など、さまざまな原因によって起こるのですが、実は栄養不足もそのうちの一つなのです。
一見関連の無さそうな浮腫と栄養不足ですが、どんなつながりがあるのでしょうか。
まずは浮腫とは何かを簡単に理解しておきましょう。
以下に浮腫が起こる仕組みを図解します。
浮腫とは下図のように、細胞と細胞の間を満たす液(間質液)に水分がたまり、上手く排出ができない状態のことです。
※赤い線で囲われている部分に問題が起こると浮腫が起こります。
通常は細胞と細胞の間を満たす液(間質液)に水分がたまらないようにコントロールされているのですが、以下①〜⑥のような原因により浮腫が起こります。
【栄養不足と関連があるもの】
①血漿膠質浸透圧の低下
私たちの身体では「アルブミン」によって、細胞と細胞の間の間質液から血管の方へ水分を引き抜いて、水分がたまらないようにコントロールされています。
※アルブミン:肝臓で作られるタンパク質の一種
栄養不足があるとアルブミンが不足しやすく、静脈内に水分を十分に引き込めずに浮腫が起こるのです。
②血管内静水圧の上昇
高血圧や過剰な水分摂取により血液中の水分量が増えること、あるいは脚の筋肉の収縮が低下することで、水分が静脈に溜まり間質液の方へ押し返されてしまうことで浮腫が起こります。
これは「①血漿膠質浸透圧の低下」とも関連があり、アルブミンが充足していれば間質液から水分を引き抜いてくれるので、ある程度浮腫を抑える効果が期待できるのですが、低栄養状態では難しくなります。
③血管透過性の亢進
身体に炎症等が起こると血管の壁に隙間があいて、水分や物質の移動が容易になってしまうのです。
そのため血液中の水分が血管の外に漏れ出しやすくなってしまうので、水が溜まり浮腫を起こします。
炎症の中でもアレルギーなどの慢性炎症は食事が関係しているものがあります。
【食事の摂り方と関連があるもの】
④ナトリウム過剰
血液中のナトリウム濃度が高いと、身体はその濃度を薄めるために血液の水分量を増やして対応しようとします。
増えた水分の行き場が無くなってしまい、浮腫を起こします。
【医療機関での検査や治療が必要になるもの】
※栄養不足との直接的な関連はない
⑤リンパ管の閉塞
腫瘍などによりリンパ管が閉塞してしまい、水分の流れが滞ることで浮腫が起こります。
⑥細胞内浮腫
通常の浮腫は細胞と細胞の間の間質液に水分が溜まりますが、細胞の中に水分が溜まることもあります。
詳細なメカニズムはまだわかっていないことも多いです。
このように浮腫が起こる背景にはさまざまな要因がありますが、①〜④は食事との関連があり、特に「①血漿膠質浸透圧の低下」は栄養不足が深く関わっていることが分かりますね。
栄養不足と浮腫の関係
ここからは栄養不足が引き起こす浮腫の中でも、特に関連の強い「①血漿膠質浸透圧の低下」を重点的にひも解いていきます。
栄養不足にもいくつか背景があるので、実際にどんな影響があるのか、どのように浮腫を引き起こすのかをこの章で見ていきましょう。
カロリー不足
私たちの身体はエネルギーがないと上手く機能することができません。
ガソリンが無いと車が走れないのと同じですね。
そのため食事から十分なカロリーを摂取して、体内でエネルギーを作ることがとても大切になります。
カロリーが不足してエネルギーを作る材料が足りないと、身体は筋肉や脂肪を溶かして何とかエネルギーを作り出そうとします。
しかしこれはとても効率が悪く、肝臓や腎臓にとっても大きな負担となってしまうのです。
肝臓はアルブミンを作るところなので、肝臓の機能に影響があるとアルブミンを作り出すことが難しくなってしまいます。
また腎臓は、余分な水分や老廃物をろ過して尿として排出する大切な器官です。
腎臓に負担がかかると尿の排出が上手くいかなくなってしまい水分が溜まってしまいます。
そしてカロリー不足の状態では、タンパク質不足も起こしていることが多いです。
タンパク質が無いとアルブミンが作り出せずにアルブミンが不足してしまいます。
このようカロリーが不足すると、1章「浮腫の原因とは?」で触れた浮腫の原因「①血漿膠質浸透圧の低下」や「②血管内静水圧の上昇」により、浮腫を引き起こしてしまうのです。
タンパク質不足
私たちの身体の中では、アルブミンによって間質液から血管の方へ水分が引き抜かれることで、水分がたまらないようにコントロールされています。
このアルブミンはタンパク質から作られるので、タンパク質の摂取量が足りないと材料がなくなってしまうのです。
アルブミンが無いと、間質液から血管に水分がスムーズに流れなくなってしまいますね。
こちらもカロリー不足同様、アルブミン不足に伴う「①血漿膠質浸透圧の低下」により、浮腫が起こるのです。
脂質過剰
近年、食生活の欧米化などにより、私たちの食事は脂質の摂取割合が増加しています。
通常私たちの身体は糖質をメインエネルギーにしています。
これは糖質が一番効率よくエネルギーになってくれるからです。
しかし脂質過剰の食事をしていると、メインエネルギーが脂質に置き換わってしまうのです。
脂質をエネルギーにするのは効率が悪く、肝臓・腎臓に負担がかかります。
カロリー不足と同様に脂質過剰の食事でも、肝臓でのアルブミン合成や、腎臓での尿の排泄が阻害され、「①血漿膠質浸透圧の低下」や「②血管内静水圧の上昇」により浮腫に繋がってしまうのです。
消化・吸収機能の低下
私たちの身体は食事から摂った栄養素を、胃や腸などで消化・吸収しています。
しかし胃腸の調子が悪いと、食事からカロリーやタンパク質を十分に摂取できていたとしても、消化・吸収が上手くできなくなってしまいます。
消化・吸収が上手くできない状態では栄養不足になってしまい、アルブミン不足や肝臓・腎臓への負担から浮腫に繋がってしまうこともあるのです。
また胃や腸もエネルギーによって動いているので、栄養不足でエネルギーが作り出せないと、消化・吸収機能は低下してしまいます。
栄養不足と消化・吸収機能は互いに関連し合っており、栄養不足→消化吸収機能の低下→さらなる栄養不足と、負のループに陥る危険性もあるのです。
また胃腸の調子が悪いということは、腸内環境が悪化しているということでもあります。
腸内環境の悪化は、アレルギーなどの慢性炎症の原因の一つとも言われています。
炎症が起こると血管から水分が漏れ出すため、これも浮腫を引き起こすのです。
これは1章「浮腫の原因とは?」のアルブミン不足による「①血漿膠質浸透圧の低下」や、炎症による「③血管透過性の亢進」に関連しています。
ナトリウム過剰
塩分の多い食事をした後に、浮腫を感じやすい方は多いのではないでしょうか。
これはナトリウム過剰によって浮腫が引き起こされるためです。
1章「浮腫の原因とは?」の「④ナトリウム過剰」に当てはまります。
栄養不足とは直接関係しませんが、塩分の多い食事はラーメン、うどん、丼ものなど単品ものや、加工肉類など脂質の多い食品などであり、これらは栄養素の過不足が起こりやすい食品とも言えます。
食生活を見直すタイミングで、塩分摂取についても見直すきっかけにしましょう。
栄養不足のサイン
さて、栄養不足が浮腫を引き起こす関係性は理解できたかと思います。
でも自分が本当に栄養不足なのか、判断するのは難しいですよね。
そこで浮腫以外に現れる栄養不足のサインを以下にご紹介しますので、浮腫以外に当てはまる症状があるか確認してみてください。
代謝低下症状 | 疲労感、冷え性、低体温、低血圧、便秘、薄毛など |
低血糖症状 | 異常な空腹感、倦怠感、いらだち、眠気、めまい、集中力低下など |
腹部症状 | お腹が張る、腹痛、下痢、便秘、食欲不振、ニキビ、発疹など |
貧血症状 | 息切れ、動悸、頭痛、めまい、立ちくらみ、爪が割れやすい、肌荒れなど |
女性特有の症状 | 生理不順がある、生理痛がひどいなど |
身体はエネルギーによって機能しているため、エネルギーのもとである栄養が不足すると上記のような様々な問題を起こしてしまいます。
エネルギーや栄養素が不足してしまうと、身体は代謝を落としてしまうのです。
上記はあくまでも一例ですが、当てはまるものがあれば、もしかしたらあなたも栄養不足の可能性があるかもしれません。
栄養不足による浮腫を改善・予防するポイント
それでは、栄養不足による浮腫を改善・予防するために大切なポイントを5つご紹介していきます!
実際の食事内容についてはこの後の5章「栄養不足による浮腫を改善する食事は定食スタイル!」で紹介しますので、その前にポイントを押さえていきましょう。
適正カロリーを知る
栄養不足を解消するためにまず意識したいのは、適正カロリーを摂取できているかどうかです。
厚生労働省の食事摂取基準では年齢・性別・活動レベル別に推定エネルギー必要量を定めています。
例えば以下のような感じです。
- 18~49歳・男性・身体活動レベルⅡ:2,650〜2,700kcal
- 18~49歳・女性・身体活動レベルⅡ:2,000〜2,050kcal
しかし実際の摂取カロリーの目安は、身長・体重・年齢・活動量によって異なります。
そこでおすすめしたいのが、「メディカルズ本舗」です。
以下のように、自分の性別・年齢・身長・体重・活動レベルを入力すると、必要なエネルギー量を自動で計算してくれるとても便利なウェブサイトです。
ぜひこの機会に、自分に合った必要カロリーを把握しましょう!
参考:メディカルズ本舗
食事バランスを知る
1日に必要な摂取カロリーが分かったら、次に意識したいのは食事のバランスについてです。
バランスの良い食事を目指すには、PFCバランスを適正化することが大切になります。
PFCバランスを適正化することで効果的に栄養を摂ることができ、栄養素の過不足が起こりにくくなるのです。
PFCバランスとは、1日の総摂取エネルギー量に対する三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)の比率のことです。
厚生労働省の食事摂取基準では、以下のような比率が理想とされています。
- P:タンパク質 13~20%
- F:脂質 20~30%
- C:炭水化物 50~65%
まずは毎日食べている食事でのPFCバランスはどうかを確認してみましょう。
カロリー計算やPFCバランスの計算におすすめなのは「カロリーSlism」というウェブサイトです。
以下に使い方を紹介しますので、ぜひ一度実際の食事で栄養計算してみてください!
きっと今までの認識と実際の栄養バランスの違いで気付きがあるのでは無いでしょうか。
参考:カロリーSlism
タンパク質の適量を知る
タンパク質はアルブミンを作る材料になり、浮腫を防いでくれるので適量を摂取したいです。
4-2「食事バランスを知る」で見たように、タンパク質は摂取エネルギー量に対して13〜20%が基準とされています。
しかし13〜20%というのは幅が広く、実際の必要量は活動量等によって一人一人異なります。
そこで、活動レベル別の摂取量の目安になる指標を以下に紹介しますので、参考にしてください。
運動量 | タンパク質摂取量 (1日あたり) |
【活動量1】 デスクワーク中心でスポーツもしない | 0.8~1.0g/体重kg |
【活動量2】 デスクワーク中心だが、たまにスポーツをする | 0.8~1.2g/体重kg |
【活動量3】 週3~5回は遊び程度のスポーツをする | 0.8~1.2g/体重kg |
【活動量4】 週3~5回は本気のスポーツをする | 1.2~1.6g/体重kg |
【活動量5】 高強度の運動をしている(筋トレなど) | 1.4~1.8g/体重kg |
例えば、体重が50kgの人で【活動量2】に当てはまる方であれば、1日のタンパク質摂取量は40〜60gとなります。
ここで注意したいのが、急にタンパク質の摂取量を増やすことです。
今までタンパク質不足であった場合、身体はタンパク質を処理するのに慣れていません。
そこにいきなり、たくさんのタンパク質が入って来たら身体もびっくりしてしまいますよね。
上手くタンパク質を処理できずに、かえって身体に負担となることがあります。
また身体に良いからと、タンパク質中心の食事でタンパク質をたくさん摂っている人もいるかもしれませんが、これも注意が必要です。
タンパク質中心の食事では、相対的に炭水化物や脂質の量が少なくなってPFCバランスが崩れてしまい、これも栄養不足に陥る可能性があるのです。
そのため、タンパク質の摂りすぎにも注意しましょう。
以下に食材ごとのタンパク質量について紹介しますので、過不足なく摂取できるように上手く食材を組み合わせてタンパク質を摂取しましょう。
水分の適量を知る
浮腫がある場合は、水分や塩分を過剰に摂ることでさらに浮腫を助長することもあります。
水分や塩分の摂取により、血液の中の水分量が増えてしまうためです。
水分に関しては、「1日2リットルの水分摂取をしましょう」などと耳にすることがありますが、1日に必要な水分量は人ぞれぞれです。
水分というのは食べ物にも含まれています。
水分の多い果物・野菜や、味噌汁などを食べればその分もカウントされます。
なので、飲料水から摂取する水分量は意外と少なくても良いかもしれません。
一人一人体格も違えば活動量や汗をかく量も違うので、必要な水分量も異なるのは納得ですよね。
人それぞれ条件は違うのに、それを無視して1日2リットルも水分を摂ったら、体内で水分が余ってしまい浮腫を起こしてしまうのです。
以下はあくまでも参考程度ですが、よければ1日の水分摂取量の目安にしてください。
体重(kg) × 年齢別必要水分量 (mL/kg/日) = 必要水分量(mL/日) |
【年齢別必要水分量の目安】
- 25〜54歳:35mL/kg/日
- 55〜64歳:30mL/kg/日
- 65歳以上:25mL/kg/日
消化・吸収機能を改善する
栄養不足を解消するためには、摂取した栄養素をしっかりと消化・吸収できるように、胃腸機能についても目を向けましょう。
消化不良や腸内環境が悪化すると、以下のような症状が出ることがあります。
胃痛、腹痛、腹部膨満、下痢、便秘、吐き気、食欲不振、下痢、おなら、肌荒れなど
これらは、カロリー不足や高脂肪食、食物繊維不足、ストレスや生活環境などさまざまな要因によって引き起こされます。
2-4「消化・吸収機能の低下」でお伝えしたように、胃や腸もエネルギーによって動くことができます。
そのためカロリーや栄養素を適正量摂取して、エネルギー不足が起こらないようにすることが大切です。
また腸内環境を良くするためには、腸内細菌の多様性がありバランスが保たれている状態を作る必要があります。
腸内細菌の餌になるのはご飯や芋類・かぼちゃ・果物などに多く含まれる食物繊維です。
食事量が少なかったり、PFCバランスの乱れにより炭水化物の摂取量が少なくなると、食物繊維も合わせて不足します。
胃や腸の状態を良くして消化・吸収機能を改善するためにも、カロリーの適正化やPFCバランスの適正化に取り組みましょう!
栄養不足による浮腫を改善する食事は定食スタイル!
4章「栄養不足による浮腫を改善・予防するポイント」でカロリーや栄養素の摂取目安についてお伝えしました。
ここではその摂取目安を満たすための食事を紹介します。
「バランスの良い食事をとりましょう」というフレーズは誰もが一度は聞いたことがあるかと思います。
でも実際バランスの良い食事って何でしょう?
それは以下のような定食スタイルを目指すことで叶えられます。
主食 | ご飯、パンなど |
いも類・穀物など | 芋、かぼちゃ、オートミール、押し⻨、とうもろこし、栗など ※炭水化物の豊富な食品の小鉢 |
主菜 | 肉、魚、大豆、卵など |
副菜 | サラダ、野菜、きのこ、海藻類など |
汁物 | 味噌、海藻類など |
果物 | 旬の果物 |
乳製品 | チーズ、牛乳、ヨーグルトなど |
ポイントはご飯やパンなどの主食以外に、芋類やかぼちゃなどの炭水化物の豊富な小鉢をもう一品と、果物を食べることで不足しがちな糖質をしっかり摂ることです。
そうすることでビタミン・ミネラル・食物繊維なども充足しやすくなるため、定食の形はまさに理想の食事となります。
また脂質を減らすために、以下のような工夫も大切になります。
- 炒め物や揚げ物、加工肉は極力少なくする
- 脂身の多い肉は脂身の少ない部位に変更する
- ドレッシングはノンオイルのものにする
もし、4章「栄養不足による浮腫を改善・予防するポイント」で紹介した適正カロリー量やPFCバランスと、現在の食事の差が大きい場合は、少しずつその差を縮めていくことも大切になります。
身体は急な変化には対応しきれずに、低血糖症状や胃腸症状が出ることもあるためです。
良かれと思って変更した食事内容が、実は身体に負担になることもあるのです。
例えば以下のような工夫をしながら、少しずつ食生活を改善していきましょう。
- 摂取カロリーを増やす場合は、週に約100kcalずつ増やしながら身体を慣らしていく。
- PFCバランスを変更する際は約5%(摂取カロリーが2,000kcal/日であれば100kcal)ずつ変更する。
- 低血糖症状や胃腸症状などの体調に変化がでた場合は無理せずに現状維持をして様子をみる。
低血糖症状 | 異常な空腹感、倦怠感、いらだち、眠気、めまい、集中力低下など |
腹部症状 | お腹が張る、腹痛、下痢、便秘、食欲不振、ニキビ、発疹など |
栄養不足による浮腫を改善する上での注意点
ここでは栄養不足による浮腫を改善する上で注意すべきことを紹介します。
浮腫の改善や予防をする際に外せない内容になりますので、しっかり目を通してくださいね。
病気が背景にある可能性
ここまで、栄養不足が引き起こす浮腫についてその原因や対処法についてみてきました。
しかし浮腫の原因は様々なので、栄養不足だけが原因とは限らないのです。
その背景には病気が隠れていることもあるからです。
例えば心臓の病気や腎臓の病気、肝硬変など重大な病気です。
この場合は医師の診察を受け、適切な治療を受けることが必要になります。
自己判断で浮腫の改善に取り組むと、改善どころか悪化を引き起こすこともあるかもしれません。
長引く浮腫や身体の不調がある方は一度医療機関を受診して、医師の判断を仰ぎましょう。
また、すでに治療中の方も医師の指示に従うことが大切です。
もしかすると服用中の薬の影響で浮腫が起こっている可能性があるかもしれないので、気になることがあれば主治医に相談しましょう。
食事以外の生活習慣
浮腫の原因は栄養不足や病気以外にも、運動不足などの影響もあります。
「ふくらはぎは第2の心臓」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
これは心臓のポンプ作用によって「動脈」が全身に血液を送るのに対し、「静脈」は脚の筋肉をポンプ代わりにして心臓に血液を送り返すサポートを受けているためです。
そのため、運動不足で筋肉量が少なかったり、同一姿勢が長く続いて筋肉の伸び縮みが制限される場合などは静脈血が上手く流れずに溜まってしまい、浮腫になってしまうのです。
運動習慣の無い方は軽い運動でも良いので身体を動かす習慣をつけたり、仕事などで長時間同じ姿勢を取る必要のある方は休憩時間やトイレなどに離席するときにストレッチするなど、意識してみてください。
栄養不足を改善して食生活を見直すこの機会に、食事以外の生活習慣も見直すきっかけにしましょう。
栄養の専門家に相談するのもおすすめ
ここまで浮腫を改善・予防するために栄養不足を解消する方法を見てきました。
でも実際自分でカロリーや栄養計算をするのは少し面倒だったり、難しかったりしますよね。
ましてや栄養不足を解消する段階で胃腸症状が出てしまったり、低血糖症状が出てしまったりすると、果たして自分が進めている食生活改善は正しいのか不安になってしまいます。
そんな時におすすめなのは、栄養の専門家に相談することです。
栄養の専門家に相談というと、病気を持っていたり、健康診断で必要と言われた人など対象が限られるイメージがあるかもしれません。
しかし、意外と身近に栄養相談を受けられる場所があったりするのです。
当協会の以下の記事では、管理栄養士による栄養相談について紹介していますので、興味がある方は是非読んでみてください!
また自分で食生活改善に取り組んで、栄養不足を解消したい方には資格取得もおすすめです。
これまでも浮腫などの身体の不調を自力で改善しようと取り組んで、思うようにいかなかった経験はありませんか?
それは自分の身体の状態に合ったアプローチができていなかったからなのです。
例えばPFCバランスを整えるのも、人によって消化・吸収機能の状態が違うため、すんなりと進められる人もいれば、なかなか思うようにいかない人もいるでしょう。
長年抱えた不調であればあるほど、それを改善するのには時間がかかるものなのです。
それをいきなり改善しようとしても身体はついていけません。
当協会の資格取得講座であれば、そういった一人一人の状態や生活背景を捉え、総合的な食生活改善に導くことができる栄養の専門家を目指せる内容になっています。
興味のある方はぜひ以下のウェブサイトをご覧ください。
参考:臨床栄養医学協会
まとめ
ここまで、栄養不足と浮腫の関係や、浮腫を改善・予防するための食事のポイント、注意点などをみてきました。
栄養不足は浮腫だけでなく、身体に様々な影響を及ぼすこともご理解いただけたのではないでしょうか?
今までの食事を変えるのは簡単なことではありません。
しかし、できることから一つ一つ、スモールステップで良いので取り組んでいくことが大切です。
この記事をきっかけに、無理なく継続できる形で食生活を改善し、あなたの浮腫が少しでもよくなる助けとなれば幸いです。
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