栄養サポート(NST)専門療法士とは、チーム医療に特化した栄養の資格であり、他職種と共同して患者様の栄養状態を判断し栄養摂取方法を決定し、患者の回復を栄養面からサポートする専門家です。
NSTとして活動するにはいままでの管理栄養士の範囲ではなく、より専門的な知識をもとに他職種と意見を出しあいながら進めることも必要となります。
そのため、NST専門療法士の資格では広く専門的な知識が問われる内容となっており、他職種とのコミュニケーションに役立つスキルが身につく資格となっています。
NST専門療法士の資格が気になる人や、NSTに所属していて専門性を高めるため、もっとキャリアアップしていきたいなど次のステップにNSTを目指す人に向けたNST専門療法士になるためのノウハウや資格の活かし方について解説しています。
NST専門療法士の資格取得としてチーム内でより頼られる存在になるためぜひ、ご覧ください。
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栄養サポート(NST)専門療法士とは？
栄養サポート(NST)専門療法士とは、チーム医療に特化した栄養の資格であり、栄養サポートチームの栄養の専門家として、他職種と共同して患者様の栄養状態を判断し栄養摂取方法を提案し、患者の回復を栄養面からサポートする栄養の専門家です。
病院で活躍する栄養サポート（NST）チームとは、患者様の栄養状態を把握し、食事ができない患者にも適切な栄養状態が維持、最適になるよう摂取方法、必要な栄養を良好な状態に導いていくチームです。
チームに参加する職種は、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、歯科衛生士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、言語聴覚士など、様々な職種の人が集まって編成されています。
チーム内で、自然と他職種と話し合って患者様の栄養を管理するチームです。
そのチームの中で、栄養サポート（NST）専門療法士とは栄養の専門性を持っている人として、摂取方法含め栄養状態を良好な状態に維持するための方法を検討、提案していく人となります。
NST専門療法士を取得するメリット
栄養サポート(NST)専門療法士をとることで、医師や看護師など他職種との連携に特化した知識を習得でき、カンファレンスへも自信をもつことができ、今の業務にはない魅力的な仕事や自分の自信に繋がっていきます。
そんな栄養サポート(NST)専門療法士の資格を取得するメリットについて３つ紹介していきます。
他職種連携に特化した知識を学べる
NSTは他職種と同じチームとして活動するチームです。
1章「栄養サポート(NST)専門療法士とは？」で紹介したように医師、看護師、薬剤師など様々な職種の人と協議しながら活動します。
様々な専門性を持ったメンバーが集まるカンファレンスではいろいろな意見が出てきて意見が割れてしまい、チームがまとまらない場合もあるかもしれません。
そんな中、資格を取得しているとNST専門療法士として、NSTの専門家として一目置かれるあなたが大きなキーマンとなってきます。
NSTの中心人物として他職種を率いていく経験ができるのもNST専門療法士です。
NST専門療法士の資格を持っていることは、専門知識を持っていることの証明になるからです。
ほかにも、資格取得を通じて基本的な知識から最新の情報も得ることが出来、現場に活かせる知識も多く得られより質の高い患者ケアが可能になります。
カンファレンスで自信を持って発言できる
NST専門療法士を取得することで他職種が集まるカンファレンスでも専門性を持っているという背景バックボーンをもって積極的に意見できます。
その意見も専門士としての知識をもとに発言出来るため的確な発言となります。
いつもは聞くだけだったカンファレンスに参加することが出来るようになり、発言することで仕事へのモチベーションもあがり、自信にも繋がり、仕事の質が向上していきますよね。
キャリアアップにつながる
もちろんNST専門療法士を得ることで管理栄養士にとどまらない活動範囲となり、キャリアアップすることが出来ます。
チームの一員としても今まで以上の活躍が期待され、また実績を上げることも出来るようになるため、キャリアアップが見込めるようになります。
管理栄養士の平均年収が350万～450万といわれていますが、NST専門療法士の資格を取得することで活動の範囲も広がり、今まで異なる範囲での活動も出来るようになります。
そのため、その活動が認められやすく昇進や年収アップにも繋がりやすくなるのではなないでしょうか。
また、チームリーダになっていくことで自分のチームをもって自分の理想とする仕事をみんなですることができるようになりますよね。
NST専門療法士の資格を取得する方法
NST専門療法士の資格を取得するためには、資格取得の条件として国家資格を有する事や、5年以上の勤務実績があるなど、5つの条件を満たした人が認定を受けることが出来ます。
ここでは、資格取得までの条件や取得までの流れ、難易度について詳しく紹介します。
資格取得の条件
取得条件は以下の5つを満たした方が取得できます。
- 下記のいずれかの国家資格を有していること。
認定対象国家資格：管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師 - 上記国家資格により5年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポートに関する業務を経験したことがある
- 日本臨床栄養代謝学会主催の学術集会に1回（10単位）以上、NST専門療法士受験必須セミナーに1回以上の参加を必須とし30単位以上を取得している。
または、必須単位数に加え学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会への参加単位数の合計が30単位以上あること。 - 認定教育施設において、計40時間の実地修練を実施し修了していること。
- 上記1～4までの条件を満たしたうえで、認定試験に合格すること
NST専門療法士の資格は5年ごとの更新が必要で、研修など受けていく必要があります。
資格取得までの流れ
NST専門療法士の資格を取得する流れは下記の通りです。
- 日本静脈経腸栄養学会主催の学術集会やセミナーに参加し、30単位以上を取得する
- 認定された施設で、合計40時間以上の実習を行う
- 症例報告書を作成する
- 認定試験の受験申請書と認定教育施設実地修練修了証、顔写真を提出する
- 毎年1回実施されるNST専門療法士認定試験を受験する
- 認定試験に合格後、認定申請書を送付し、認定料を納めるとNST専門療法士と認定される
難易度と合格率
NST専門療法士の合格率は例年60〜70%で、職種によらず正答率が60%以上必要です。
令和5年度の合格者数は751人で、そのうち管理栄養士の方の合格者数は293名でした。
出題範囲が生化学から経腸栄養法・静脈栄養法、病態別栄養管理など幅広く出題されるため、難易度は高めと言えます。
日本臨床栄養代謝学会（旧日本静脈経腸栄養学会）が編集しているハンドブックやガイドラインの確認をしたり、過去問などでしっかりとした対策は必要です。
とはいえ、栄養に関する資格なので、管理栄養士は他職種と比較して有利と言えますね。
NST専門療法士の試験内容は？
NST専門療法士に合格するためには、幅広い栄養の基礎知識や摂取方法について知っておく必要があります。
そのため、幅広く勉強する必要があるのですがここでは、どういった内容で勉強を進めればよいか紹介してますので、参考にしてみてください。
試験内容
栄養療法の基礎知識（解剖、生理、生化学、代謝）をはじめ、経腸栄養・静脈栄養の知識（投薬量や投薬スピード）、病態別栄養管理などが出題されます。
実際に受験された方の話だと、内臓の部位や位置、必須アミノ酸についてや小児に必要なアミノ酸などについての問いや、脱水症状や製剤について、症例についてなど問われるため、幅広い知識が求められます。
試験のポイント
幅広く問われる試験となるため、日本臨床栄養代謝学会（旧日本静脈経腸栄養学会）が編集しているハンドブックやガイドラインを確認し、その内容をしっかり把握する必要があります。
また、「日本静脈経腸栄養学会 NST専門療法士認定試験 過去問題集Ⅰ 2016年発行」の過去問が販売されているので過去問でしっかり練習し傾向をつかむことも大切です。
また、基礎問題集である「日本静脈経腸栄養学会 認定試験基本問題集」や、「日本臨床栄養代謝学会 JSPENテキストブック」も有効です。
それぞれ活用しながら、特に解説を読んでなぜその答えなのかを理解し考えるようになることが大切です。
スキルアップにおすすめの民間資格3選
NST専門療法士の資格以外にも管理栄養士としての幅を広げる資格や団体も多くあります。
その中でも今需要が高まっているアレルギー分野、生活習慣病、また、栄養指導に役立つ実践的な協会を3つ紹介します。
食物アレルギー分野管理栄養士
食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士とは、日本栄養士会が認定している、食物アレルギーに対する専門性を持った管理栄養士に認定される資格です。
近年、食物アレルギー罹患を患う人が増えているようです。
医療機関はもとより、特定給食施設、行政、研究・教育施設など多分野で活躍する管理栄養士に、食物アレルギーに関する正しい知識と対応技術が求められるようになってきました。
食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士は、根拠に基づいた診断と治療を学びながら現場を振り返り、リスクマネージメントを考慮した安全な食の提供と栄養教育をめざす専門家として、研修や認定試験を合格した人が認定されます。
実際の患者様にもアレルギーに悩まれる方も多いため食事が取れるまで回復してきた患者にも適切な対策が取れる資格です。
資格の取得条件は、
- 管理栄養士として従事期間が3年以上
- 所定の研修を終了していること
- 日本栄養士会の会員であること
- 課題・活動レポートの提出、認定試験（筆記試験）に合格すること
となります。
所定の研修とは、
- 食物アレルギー基礎研修
費用：22,000円（税込）（（公社）日本栄養士会会員割引価格 11,000円（税込））
※食物アレルギー基礎研修修了の有効期間は3年間 - 食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士認定研修
費用：11,000円（税込）※食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士認定研修修了の有効期限は2年間
この2つです。
認定試験の費用が16,500円、認定費用が11,000円となるため、研修から認定までの総費用は、60,500円となりますが、研修は最短でも2年の有効期間を持つので費用については時期をずらしても認定を目指すことが出来ますね。
5年ごとの更新が必要ではありますが、管理栄養士としての活動の幅を広げる次のStepとしては最適な資格ではないでしょうか。
生活習慣病予防プランナー
生活習慣病予防プランナーは、健康な生活のための体系的な知識とスキルを身につけたエキスパートで、食事面だけではなく、運動も含めて健康な生活のための改善を指導していく資格です。
管理栄養士としては、栄養についてだけでなく運動面でのアドバイスがより具体的に出来ますし、退院後の生活についても患者様本人がどう変えれば良いかをアドバイスすることが出来ますね。
この資格は在宅で取得することが出来るので忙しい仕事の中でも家での空き時間を有効に使って取得出来る所がおすすめのポイントの一つです。
取得の流れは、
- 申し込みを行う
- 教材テキストと試験対策テキストが送られてくる
- 自己学習で勉強を進める
- 一通り終わったタイミングで試験にチャレンジ
- 試験の答案を送付する
費用も16,500円と資格としては安いので活動の幅を広げるための知識としてチャレンジしてみてはどうでしょうか。
参考：生活習慣病予防プランナー（一般社団法人ケアフィット推進機構）
臨床栄養医学協会
臨床栄養医学協会は、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポートをしている協会です。
管理栄養士として勤務していて、栄養指導がうまくいかないことや、プレゼンテーションスキルが足りないって感じる事ありませんか？
臨床栄養医学協会では知識だけでなく伝え方や指導方法なども実践しながらスキルが磨けていき、日々の活動に役立てられるのでおすすめです。
資格としては、臨床栄養医学指導士コース、スポーツ栄養医学指導士コースの2つがあり、それぞれ栄養学についてだけでなくそれをどうやって指導していくのかについても実践を通して学びますので、指導相手にうまく伝えられないと悩んでいる人には得られるものが多くあるコースとなります。
コース終了後も無料でサポートしてもらえるプライベートサロンに参加でき、情報を常にアップデートし続ける事ができるのも魅力ですね。
費用は、臨床栄養医学指導士コースの場合249,800円で80時間の講座動画、110時間のオプション動画がいつでも見放題でわからないところは繰り返し見返せますし、毎週火曜日、日曜日のリアルセミナーで半年間、講師に質問や解説を聞くことが出来ます。
専用グループチャットもあり24時間質問をすることが出来ますので、困ったら頼れる場所があるのが心強いですね。
有料NOTEも閲覧可能ですので、自分の時間帯に合わせて学びを進めることが出来るのは助かりますね。
講座視聴を終了後、テーマに沿ったプレゼンテーションを作成し、学びの評価をしてもらえます。
それをもって認定となるため期間はかかりますが、しっかりと実力が身につく認定資格です。
仕事の幅を広げたい、副業にもチャレンジしたいと思っているなら是非チャレンジしてみてください。
まとめ
栄養サポートチーム専門療法士を取得することは簡単ではありませんが、管理栄養士としてのキャリアアップ先の1つとしてNST専門療法士となることでNST内でも自信を持って活動出来るようになるためにチャレンジする価値が高い資格です。
資格を目指すうえで日本臨床栄養代謝学会の学術集会や、学会が認める全国学会、地方会、研究会などへの参加が必要ですので、計画的に参加しながら目指すのが良いですね。
合格率も60~70％は合格出来ているのでしっかりと準備すれば必ず合格できる資格試験です。
紹介したテキストや問題集でしっかり勉強して管理栄養士としてNST内でも一目置かれる自分になってみてはどうでしょうか。
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