
「栄養士の資格を取得する過程で学んできた栄養の知識を活かして栄養指導をしてみたい」
という思いはありませんか?
栄養指導業務はできないけれど、保健指導なら栄養士でも携われるかもしれない、と希望を持っている人もいるかもしれませんね。
せっかく栄養について学んできたのですから、それを活かせないのはもったいない。
食事管理のスペシャリストであるなら、その知識を活かして直接栄養の指導をすることで人に貢献したい、と思うのも当然です。
しかし、保健指導業務もやはり栄養士には行えないこととなっています。
特定保健指導として従事できる栄養関係者は管理栄養士のみと定められているのです。
ですが、諦めるのはまだ早いです。
この記事では、栄養士でも栄養指導や保健指導ができるようになる方法をお伝えしていきます。
その方法も1つだけではなく、複数について詳しく解説していきます。
きっと最後まで読み進めていただくことで、あなたに合った方法が見つかると思いますので、是非最後まで読み進めてみてください。
目次
栄養士は保健指導に関わることができない

冒頭でも述べましたが、栄養士は保健指導(特定保健指導)に携わることはできません。
一般的に「保健指導」というと、健康な人たちや健康リスクが多少ある人たちに対して、疾病の予防や生活習慣の改善を促進することを目的としています。
個別の健康相談や病院の診療時など様々な場面で行われています。
それに対し「特定保健指導」という制度も存在します。
こちらは特定健診受診者の中で、メタボリックシンドロームリスクのある40~74歳を対象とした健康サポートで、メタボリックシンドロームの予備軍を減少させることを目的として行われます。
この特定保健指導に関しては、厚生労働省の定める「特定健康診査・特定保健指導にかかる法令・通知」において、
「 第5条 法第18条第1項に規定する保健指導に関する専門的知識及び技術を有する者は、医師、 保健師又は管理栄養士とする」
と定められています。
つまり、栄養士は特定保健指導に携われないと法律で定められているのです。
では、一般的な保健指導であれば「健康な人に対しても行う」という点から可能でしょうか?
一見そのようにも思えますが、実際には医師や保健師などが実施していることが多く、やはり栄養士が保健指導を行うのは現実的ではないようです。
特定保健指導を行うにあたり必要なこと

2008年からスタートしている特定保健指導ですが、この保健指導を行うにあたって
「医師・保健師・管理栄養士のいずれかの資格を取得していること」
が必要であると厚生労働省により定められています。
先にも述べましたが、特定保健指導は主に生活習慣病の予防と改善を目的に行われています。
そして、
- リスクの小さい対象者向けの「動機付け支援」
- リスクの大きい対象者向けの「積極的支援」
の2つに分かれています。
動機付け支援は、本人の健康意識を変えるための指導が中心となります。
それに対し、積極的支援はより実践的な食事指導と運動指導が行われます。
特定保健指導を実施できる職種としては、医師、保健師、管理栄養士のみと定められていますが、管理栄養士は特に「積極的支援」における「食事の管理指導」という面から非常に重要な役割を担っています。
特定保健指導を実施する、それぞれの職種の専門性を活かして担当していくため、管理栄養士は
- 指導の対象者が生活習慣を改善するにあたり、課題となる食生活の部分はどこなのかを分析しすること
- 分析の結果、現実的にその改善を行って行ける内容での提案をしていくこと
の2点が主な仕事内容となってきます。
では、主に食事や生活習慣を分析してアドバイスできれば良いのか、と言えばそうではありません。
特定保健指導をするにあたって、管理栄養士に求められるスキルとしては、
- 疾患(特に生活習慣病)に関する知識
- カウンセリングやアドバイスなどのコーチング能力
- コミュニケーション能力
の3つが非常に重要となってきます。
生活習慣病を改善するためのプログラムであるため、生活習慣病やそれに紐づく疾患や併発している疾患などについても、食事の指導をする際には考慮する必要があります。
そのため、生活習慣病だけでなく、全般的な病気に関する知識は欠かせないものと言えます。
そのため
また、分析する前段階として、対象者となる人へのカウンセリングは欠かせませんし、分析後の食生活などの改善プログラムについても指導する力が求められます。
分析の前後どちらも、改善していくには欠かせないものですので、そこに対する能力はおのずと必要となってきます。
さらに、これらの能力を発揮するためには、いかに対象となる人から情報を引き出せるか、いかに改善策を受け入れて実行してもらえるか、にかかっています。
対人の仕事には必ず求められる能力となりますが、コミュニケーション能力は管理栄養士にとっても欠かすことのできない、非常に重要なスキルです。
栄養士が栄養の指導を仕事とする3つの方法

では、現在栄養士のみの資格保持者は、保健指導や栄養指導などの業務を諦めるべきでしょうか?
いえ、そう思うのはまだ早いです。
栄養士であっても、保健指導や栄養指導に携わっていける道はいくつもあります。
ここからは、その方法について詳しく解説していきます。
管理栄養士の資格を取得する
栄養士養成課程を経て免許を取得していれば、そのまま栄養士として従事している場合でも、そうでない場合でも、管理栄養士の資格を取得することができます。
ご存じのように、管理栄養士の資格を取得するためには、国家試験の受験をして合格する必要があります。
その国家試験を受験するための条件を満たす方法として、3つのパターンがあります。
栄養士養成課程修了年数 | 実務経験に必要な年数 |
4年制修了 | 1年以上 |
3年制修了 | 2年以上 |
2年制修了 | 3年以上 |
上の表で確認していただけると分かりますが、何年の養成課程を修了していたとしても、その年数に合わせて実務経験を積むことで、受験することが可能となります。
管理栄養士として栄養指導や特定保健指導を行いたい、と思われるのであれば、栄養士として現場で経験を積みながら、同時に国家試験の勉強を行うのが良いでしょう。
当協会のブログにて、栄養士が管理栄養士になるための方法について詳しく解説している記事があります。
勉強して国家試験に挑みたいと思われる方は是非下記をご参考ください。
食事や栄養関連の民間資格を取得して副業をする
栄養士として、給食の献立作成や衛生管理を主とした仕事ではなく、疾患のある人に対して栄養指導などを行っていきたい、と思う人は管理栄養士に向けて行動するのが最短の道かもしれません。
ですが、管理栄養士の資格を取得するまでの期間や労力をつぎ込む余裕がない、という場合もあるかと思います。
今の業務を継続しながら、並行して栄養指導や保健指導をしたい、と思われる場合におすすめなのが、副業として行う、というパターンです。
もちろん国家資格としての管理栄養士資格は保持していないため、医療機関や公の場での栄養指導などは法律上難しいです。
ですが、民間の資格を取得し、その資格取得講座の主催団体の斡旋する場での栄養指導を行なったり、自らセミナーなどの場を開いて栄養に関する指導を行うことは可能です。
必ずしも管理栄養士の資格を取得しないと、健康や栄養に関する指導はできないというわけではありません。
何かしら始めてみたい、と思われる場合は、民間の行っている資格取得講座などを調べるところから開始してみることをおすすめします。
栄養士が副業するにあたっての詳しい内容に関して、こちらも当協会のブログにて解説している記事があります。
興味のある方は、是非下記をご覧ください。
栄養士でも栄養指導できる職場へ転職する
ここまでは、「栄養士は栄養指導できない」という前提で解説してきました。
ですが、実は栄養士でも栄養指導できる職場は存在します。
求人サイトなどを探すと、栄養士でも求められている職場がヒットすることがあります。
ただし、そのような職場が多く存在するわけではありません。
しかも、同じ職場に管理栄養士も在中する場合、やはり栄養士が栄養指導できる機会や、担当できる対象者には限りがあるでしょう。
栄養士でも栄養指導できる職場を見つけた際は、募集されている要綱やホームページ、面接などで、自分の望む内容と一致しているかどうかをしっかりと確認しておくことが必要です。
栄養指導したい栄養士におすすめの民間資格

上の章では、栄養士でも栄養指導ができるようになる方法を3つお伝えしてきました。
そのなかでも2つ目の、民間資格を取得して副業として行っていく方法が一番現実的でしょう。
栄養に関する民間資格はたくさん存在します。
調べてみても、違いが分かりにくいなど、自分の求める資格取得講座を見つけるのはなかなか難しいと思います。
その沢山ある資格講座の中で、栄養指導をしていきたい、と思われている栄養士の人におすすめな民間資格が「臨床栄養医学指導士」です。
この資格は、一般社団法人 臨床栄養医学協会が主催する民間資格ですが、3か月間という短期間で、生理学・生化学に基づいた根拠あるセミナー内容を一から学んでいきます。
栄養士養成課程を修了している人からすると、「基礎から学ぶことができる」という点は、逆に遠回りな印象があるかもしれません。
もちろん栄養に関して素人でも理解できるように基礎から学ぶのですが、かなり専門的な分野まで幅広く論文ベースで学ぶこととなりますので、栄養の専門家であっても満足いく内容に思われるでしょう。
実際に、この講座の受講生には、栄養士はもちろん、管理栄養士や理学療法士など各専門分野の人々が名を連ねています。
講義はすべてオンライン受講のため、自分の好きな時間に学ぶことができますし、質問も24時間受付となっています。
もちろんリアルセミナーも曜日によって設けられており、その際に直接質問することもできます。
最終試験では、実際の症例を基に栄養指導のレポート作成を行うことになりますが、最後までやり遂げられるよう手厚いサポートが組まれています。
この試験に取り組むことで、終了後には、学んだ専門的知識やスキルを活かし、自信をもって栄養指導などを行うことが可能となります。
栄養指導を行いたい、と思われている栄養士にとって、実際の症例を基に栄養指導をしている状態を味わえるこの最終試験は、レポートとはいえ、非常にやりがいを感じられるものになるのではないでしょうか?
もちろん、試験に合格することで、自信をもって栄養指導を行っていくことが可能です。
ですが、実はこの講座の最大の特徴は、学びをその後のビジネスへと活かしていける点にあります。
試験を修了して「臨床栄養医学指導士」として認定を受けた後はオンラインサロンに入会して、さらに学びを深めていける仕組みとなっています。
このさらなる学びにはビジネスの学びも含まれており、実際に栄養士として培ってきた経験と、この講座を通して身につけた知識とスキルををどのように仕事として活かしていくか、深く学び、実行に移していくことが可能となります。
管理栄養士の国家試験を受験して合格しなければ、栄養指導や保健指導はできない、と諦めていた人には、栄養士であっても、独立してフリーランスとして活躍していくこともできるチャンスです。
ここまで読み進めて興味のある人は、こちらをご参考ください。
まとめ
本記事では、栄養士が栄養指導や保健指導ができるようになる方法などについて解説してきました。
栄養指導や保健指導は管理栄養士の仕事、というイメージが非常に強いですが、必ずしもそうではない、ということがお分かりになったかと思います。
そして、栄養士でも可能となる手段は意外とある、ということも伝わったのではないでしょうか?
今の時代では、「栄養指導や保健指導だけ」「今の職場」ということにこだわる必要性は薄れてきています。
現在の仕事を続けながら、副業で民間資格を活かしていく、ということも珍しいことではありません。
この記事が
「今、自分が何をどのような形でやっていきたいのか」
ということを明確にして、悔いのないよう進んでいただくための、一つのヒントとなっていれば幸いです。



コメント