保健師が栄養指導するときに求められることとは?3つの点から解説!

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

保健師が栄養指導をする際、どのようにするのだろうかと悩まれていませんか?

保健師であっても栄養指導を求められることもあります。

 

急に栄養指導の仕事を依頼されたとき、その準備ができていないと自信をもって指導できません。

それでは対象となるクライアントの力になれないだけではなく、自分のキャリアに対する自信さえ失ってしまいかねません

 

また、保健師だからこそできる栄養指導の面もあります。

管理栄養士の行う方法と同じやり方で行ってもうまくいきませんし、保健師としての強みを活かしていけません。

 

本記事では、保健師が栄養指導するにあたって大切なことや実際の内容、より自信をもって確実に仕事をこなしていくためのポイントなどを具体的に解説していきます。

 

これから栄養指導を行う予定がある保健師の方はもちろん、栄養指導という新たな分野に興味を持ち始めた保健師の方も、是非最後まで読み進めてみてください。

臨床栄養医学指導士とは
臨床栄養医学指導士とは

保健師が行う栄養指導の内容を公開  

「栄養指導」と言うと、管理栄養士が疾患のある人や入院患者に対して行うイメージがあると思います。

それに対して、保健師が栄養指導を行うイメージを持つ人はあまりいません。

 

実際に栄養に関する指導をする業務としては、

  1. 乳幼児健診時の保健指導の一環である食生活についての指導
  2. 特定保健指導においての栄養指導業務

の2つが主に挙げられます。

 

保健師の仕事内容は、皆さんが日ごろから取り組まれている「地域の住民の健康維持や生活の質の向上」が主となりますので、栄養指導のみに特化する機会は非常に少なく、そのために仕事内容があまり広く知られていないのが実情かもしれません

 

ここでは、一度も栄養指導の業務に携わったことのない保健師の人に向けて、その業務内容をご紹介します。

乳幼児健診における栄養指導

まず、乳幼児健康診査(乳幼児健診)における栄養指導の内容についてです。

乳幼児健康診査は、母子保健法に基づいて市町村が実施しているものであり、ほとんどの自治体が3~4か月児、9~10か月児も含めて1歳6か月児、3歳児を対象としています。

 

3か月~10か月の健診の際は、食事内容がほぼミルクと場合によっては離乳食となります。そのため、ヒアリング内容や指導内容は、

  • 母親の母乳の出具合やミルクの飲む量や頻度
  • 離乳の進め方や目安
  • 子どもの月齢、口腔機能の発達に応じた離乳食の食品の種類と組み合わせ、調理形態・調理方法
  • 食物アレルギーに関して(自己判断せず医師に相談することを基本として説明)

などが主体となっていきます。

 

一方、幼児食を開始している3~4歳児の健診の際には

  • 食欲不振、偏食、小食、むら食い、咀嚼拒否等について
  • 間食の時間や内容、量について(食のリズム)
  • 食行動(だらだら食べ・ムラ食い・偏食など)について
  • 家族が揃って楽しく食事ができる雰囲気を作りについて
  • 食事に必要とされる基本的態度
  • 様々な人との共食を楽しむ食習慣

など、具体的な食事内容やその子の状況に応じた支援内容が主体となります。

 

これらの栄養指導に加えて、食生活全般のアドバイスや指導を行っているのが、乳幼児健康診査です

特定保健指導における栄養指導

次に、特定保健指導における栄養指導について見ていきましょう。

 

特定保健指導とは、40歳から74歳で医療保険加入者に義務付けられている特定健診にて「生活習慣病やその予備軍」と診断された人に行う生活指導のことです。

日常生活全般において改善すべき点を指摘し、指導するのが主な内容となります。

 

生活習慣の改善には、適度な運動や十分な睡眠を取ることに加えて、食生活の見直しが必要となります。そこで、食事の管理や実際の食事の内容などについて指導する栄養指導は非常に重要な指導内容となります。

 

特定保健指導の対象となる人は、特定健診結果により「動機付け支援」「積極的支援」の2つに分けられます。

動機付け支援の人に対しては、生活改善の動機付けを行うことが主な指導内容となります。

積極的支援の人に対しては、動機付け指導内容に加え、さらに実践的な食事指導として摂取カロリーや栄養内容に言及した献立などについての指導を行います。


保健指導における保健師と管理栄養士の違い

1章「保健師が行う栄養指導の内容を公開」では実際に保健師が行っている栄養指導の内容について見ていきました。

どちらの指導に関しても、保健師だけでなく、管理栄養士も行います。

では、保健師と管理栄養士との違いは何でしょうか?

 

ここからは、保健師と管理栄養士の保健指導における役割の違いを詳しく解説していきます。

保健師の役割

結論から言うと、保健師の役割は「食生活を含めた生活全般における指導」です。

この全般的な保健指導の中から栄養指導も行えることに強みがあります。

 

保健師になるには、保健師免許と看護師免許の両方を取得する必要がある、ということは皆さんご存じだと思います。

看護師が主に病気の治療をサポートするのに対し、その予防に携わるのが保健師です。

ですので、保健指導においても予防分野に強みを持っているのが保健師と言えます

 

乳児から高齢者まで幅広い地域の人々が健康に過ごせるよう保健指導と言う形でサポートすることを最大の任務とする保健師ですが、その一環から栄養指導する機会も少なからずあります。

特に、上でも述べたように特定保健指導において栄養指導に携わることもあります。

 

もちろん特定保健指導においては厚生労働省による実施マニュアルもあるので、それに基づいて実施しますが、保健師として実施する中で「自信をもって指導できた」と思う人はなかなか多いとは言えないようです。

 

ある調査においては

「栄養学や日本人の食事摂取基準や関連ガイドラインを理解して進める」

という項目を含む、特定保健指導の栄養指導に関する多くの項目に対して、経験がなくて難しいという回答があったとされています。

 

つまり、保健師の多くが

「食事摂取基準や関連学会ガイドラインを思うように活用できておらず、食事指導や栄養学に関する保健指導の技術に自信がない」

という思いを抱えながら栄養指導を行っているということです。

実践的な栄養指導に求められるような

「健診結果と代謝や食事内容との関係を、栄養学などの科学的根拠に基づいて分かりやすく説明する技術」

というものは、日々の業務で多くの経験を積む管理栄養士には得意分野ですが、保健師の日常の業務や研修の中ではなかなか身につけることはできません

 

以上のことから、保健指導において保健師が得意とする分野は「食生活を含めた生活全般における指導」ということが分かります。

多岐にわたる内容を含む「保健指導」において、保健師の役割は

  • 健康診断の結果を分析し、改善のために必要とされる情報を提示して支援する
  • 栄養・運動・休養のバランスが取れた生活習慣を確立するための支援
  • 禁煙支援や適正飲酒の啓発
  • ストレスマネジメントの指導

などが中心となっていきます。

 

出典:特定保健指導における職種別保健指導技術の比較

管理栄養士の役割

管理栄養士は言わずと知れた「栄養のプロ」です。

その専門的な知識で、健康な人からけがや病気で療養中の人など、あらゆる人に対して栄養指導や栄養管理を行います。

 

保健師と同じガイドラインに沿って指導をする特定保健指導において、管理栄養士について比較してみましょう。

 

同じ調査の中で、管理栄養士が自信をもって指導できたという回答には、「生活習慣病に関する説明やその改善」が多かったのに対し、自身のなさが表れていたものとして「禁煙支援」がありました。

喫煙は様々なリスクがあるので禁煙を支援する、ということは特定保健指導の中でも重要な内容です

そして、禁煙することで体重増加のリスクもあるため、専門性を活かしてその指導に当たりたいところですが、なかなか難しく感じているとの結果が出ています。

 

また、「企画・立案・評価技術」の領域の技術経験の割合が低かったことも示されています。

健康診断の結果から課題を把握して的確な保健指導に結びつけることは非常に大切ですが、この点は保健師の方が得意とする点であることが分かります。

 

以上のことから、保健指導において管理栄養士が得意とすることは「栄養指導」の分野であることがお分かりだと思います。

「保健指導」において、管理栄養士の役割は

  • 健康診断の結果や血液検査数値から、改善に必要とされる実際の食事例を提示する
  • 食事摂取状況や食行動をアセスメントし、指導に活かす
  • 実際の食事内容と生活習慣病の関連を説明しながら栄養に関する指導をする
  • 対象者に合った食生活の改善方法を提案する

など具体的な栄養や食事内容に関する指導となります。

 

出典:特定保健指導における職種別保健指導技術の比較


保健師が栄養指導をする際に必要な3つのこと

先ほどは、保健指導における保健師の役割について詳しく見てきました。

では、保健指導の中でも栄養の指導をするにあたり、保健師にはどのようなことが必要となるでしょうか?

ここからは、実際の栄養指導において求められる点を3つ、詳しく解説していきます。

栄養に関する研鑽を積む

保健師が保健指導をする際「対象者の食事内容の栄養について実際に指導する」機会はあまり頻繁にはありません。

そのため、実務経験不足という点から自信をもって行えない、ということが考えられます。

また、栄養のプロである管理栄養士は、日常的に栄養指導業務をこなしているため経験豊富であるのはもちろん、その知識も高い場合のことが多いです。

 

実際に、2章「保健指導における保健師と管理栄養士の違い」でご紹介した調査においても、保健師はOJT研修の実施や自主的な研修受講が少ないという結果が報告されています。

そしてその点が、保健師が自信をもって保健指導できなかった理由として指摘されています。

事例検討会やカンファレンスなどのOJTの積極的な活用は、自己や他者の実践を振り返り、経験に意味を持たせることに繋がります。

 

さらに、栄養指導を自信をもって行うためには、やはり食生活というマクロな分野だけではなく、栄養学や人体生理学など専門的な知識とその応用が必要となります

そのためには、自分で勉強することも大切ですが、専門機関や専門家の開催するセミナーや勉強会に参加することが、時間的にも労力的にも効率的です。

 

このようなセミナーや講座は、最近では一般公開されていることもありますので、栄養分野に強くなりたい人は、積極的に調べて、参加されることをおすすめします。

保健指導や栄養指導の経験数を積む

本記事で何度も言及していますが、管理栄養士は保健師と比較して、圧倒的に栄養指導の経験数が多いです。

それは保健師と管理栄養士の根本的な役割の違いによるもので、変えがたい事実です。

 

ですが、保健師であっても栄養指導の経験を積むことは可能ですし、その経験を活かして保健指導の中で積極的に栄養指導をしていくことも可能です。

 

保健師の活躍の場はたくさんありますが、中でも一般企業や事業所に勤めている産業保健師の場合、栄養指導の機会は多いでしょう。

産業保健師の業務の一つとして、その企業や事業所の定期健康診断の実施やその後の指導があります。

定期健診後の指導というと特定保健指導というイメージが強いですが、実際には40歳未満の従業員も健診を受けます

このような対象外の人の健診結果後の指導なども受け持つことになるため、栄養指導を含めた保健指導の様々なパターンの経験を積むことができます

 

産業保健師は一つの例であり、保健師であっても栄養指導の経験を積む場面は意外と存在します。

実際の栄養指導の経験を積みたいという場合は、保健師の活躍している様々な職場を調べてみることをおすすめします。

実施した指導を振り返り自分の自信につなげる

栄養学や栄養指導に関するセミナーや講座の受講が難しいために、自信をもって栄養指導ができない、と悩む人も中にはいるでしょう。

ですが、実際に栄養指導をする機会があるのであれば、その機会を活かさない手はありません。

 

栄養指導に限らず、日頃の保健指導を思い浮かべてみてください。

もちろん日常生活における生活上での保健指導と、食事に関しての栄養指導とでは内容は全く異なります。

ですが、誰かに対して指導をしたりアドバイスする、という点では日頃の保健指導も栄養指導も方法はそこまで変わらないはずです

 

日常業務として保健指導を行っているとしても、対象となる人は毎回異なります。

日頃保健指導のために行う勉強や、実際に指導する中で学ぶこと、指導していて悩んだことや疑問となったことと、それを解消するために行動すること。

様々なことを保健指導のなかで行い、自分の経験として積み重ねることで、今の自信へとつながっているはずです。

 

それと同じことを、栄養指導を実施するたびに行うことで、いつもの保健指導のように自身へとつなげていけるはずです。

「毎回行う栄養指導が、これからの自分の糧になる」

そのような思いで一回一回の栄養指導に臨み、指導後に振り返ることで着実に自分の財産へと変えていけるよう取り組んでみてください。


保健師が自信をもって栄養指導するために

ここまで、保健師の保健指導における役割や、栄養指導の際に必要なことをお伝えしてきました。

中には栄養指導を積極的に行っていきたい、という思いが強くなってきた人もいるのではないでしょうか?

 

栄養指導の際には「栄養についてのセミナーや勉強」が必要なことを上で述べました。

では、実際にどのようなセミナーや講座を受けるべきか、という点で悩むかと思います。

栄養学に関連した講座は今やたくさんあって選ぶのが大変なほどです。

 

そこで、保健師で栄養指導をしたい、と思われている人におすすめの資格をご紹介します。

それは、一般社団法人 臨床栄養医学協会が認定する「臨床栄養医学指導士」です。

 

この資格は協会の主催する「臨床栄養医学指導士コース」という講座を受講し、認定試験に合格することで取得することができる民間資格です。

民間資格ではありますが、一般の人はもちろん、管理栄養士や栄養士、保健師、看護師、などそれぞれの分野のプロも多く受講している資格取得講座です

 

講座内容は、栄養学の基礎から応用まで、徹底的に3か月という短期間で幅広く学ぶことができます。

全て動画配信され、24時間自分の時間に合わせて視聴することができるため、仕事をしながらでも受講が可能です。

また、質問も24時間受け付けているため、疑問点もストレスなく解消することができます。

ライブでの講座配信や質問日も設けられているため、参加できる時にはその臨場感ある中での勉強が可能です。

 

そして、すべてを受講した後、認定試験としてレポートを作成しますが、実際の症例に対する栄養指導という観点から、自分で分析しながらレポートを作成していきます。

認定試験を受けながら、実際の栄養指導をしている状態を経験し、さらにそのフィードバックを受けることができるので、栄養指導をしたいと思う人にとってはまたとない機会です。

 

講座の中で基本から応用まで栄養学を徹底的に学ぶ中で、栄養指導のスキルへつながる内容も同時に学ぶことができます。

様々な症状の解説の中で、なぜそうなるのか栄養や生理学や生化学に紐づけて学ぶことで、より解析する癖をつけることにもなりますし、そのような繰り返しを最終的にレポートとして自分のスキルに結びついていることを見える化していくことができます

このプロセスを経るからこそ、栄養指導に対して自信を持ってできるようになるのです。

 

一般的な栄養関連の講座は認定試験に合格して資格を取得することで完結ですが、この講座は違います。

むしろ合格してからスタートラインに立つ、という講座です。

 

認定試験合格後は、希望者は協会のオンラインサロンに無料で入会することができ、さらにそこで研鑽を積むこととなります。

さらなる講座受講での資格取得が可能であり、その中にはビジネスに関する講座も設けてあります。

 

このビジネス講座がこの協会の最大のポイントとも言えます。

栄養に関して学ぶだけで終わってはもったいない。

それを活かせなければ意味がない。

そのため、資格取得後に学んだ知識とスキルを最大限生かしていけるよう、ビジネス展開のサポートを行っています。

 

栄養指導に限らず、食事や栄養に関する仕事をしていきたい、これまで健康関連の仕事をしてきたけれど独立してビジネスとして確立させていきたい

このような思いのある人は、特におすすめの資格講座です

 

保健師として

  • 現在行っている保健指導の一環として自信をもって栄養指導も行いたい
  • 栄養指導に特化して活動していきたい
  • 保健師の資格と経験を活かして独立して活躍していきたい

このように思われている人は、是非協会の公式サイトをご参考ください。

 

【出典:一般社団法人 臨床栄養医学協会 臨床栄養医学指導士コース


まとめ

ここまで、保健師の保健指導における役割や、栄養指導するために必要な点などについて解説してきました。

保健師にとって栄養指導というと

「実際に行ってはいるものの自信が持てない」「一歩踏み出せない」「正解なのかが分からない」

など悩みの尽きないものだと思います。

 

ですが、ご紹介したように、自信をもって栄養指導できるようになる方法はいろいろあります。

本記事が、これから栄養指導に従事したい、これまで以上に自信をもって指導していきたい、と思われる方の参考となれば幸いです。

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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