理学療法士にとって、解剖学はとても重要な知識の1つです。
重要であるが故に、覚えなければならない知識もかなり膨大です。
そうは言っても、理学療法士はヒトの身体をみる専門家なので、解剖学の知識がないと仕事にならないんです。
患者さんと関わる際に解剖学を知らないと、身体の状態がどうなっているのかを判断することができません。
また、状態がわからないため、どのようなリハビリをすればいいのかも判断ができないんです。
そうならないために入学して解剖学の講義を学ぶわけですが、覚える知識の量に驚き、頭が真っ白になるかもしれません、、
でも大丈夫です。
この記事では、これから理学療法士を目指す方のために、養成校で学ぶ解剖学の内容、そして、なぜ解剖学を学ぶ必要があるのかについて、わかりやすく解説していきます!
最後まで読んでいただくと、これから理学療法士を目指すあなたが解剖学を勉強する上での不安も軽減できると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
理学療法士が学ぶ解剖学とは
理学療法士が学ぶ解剖学は筋肉や骨の名前、そして、その働きについてなどです。
また、関節を構成している組織には、どのようなものがあるのかなども含まれます。
これらは総じて、筋骨格系と呼ばれています。
少し具体的なことを言いますと、筋肉は全身に640個あり、その筋肉が206個の骨に付着します。
また、全身の関節は260か所以上あると言われています。
解剖学の講義ではまず、こういった筋骨格系について学んでいきます。
この時点で頭を抱える学生も多いのですが、しかし、実は解剖学とは筋骨格系以外にも
・神経系
・消化器系
・循環器系
というように、解剖学の中でも分野が別れているのはご存知でしょうか?
しかも、筋骨格系が特に重要というわけではなく、すべての分野の知識が大切になります。
その理由はシンプルに人間は筋肉と関節だけで生きているわけではないからです。
筋骨格系には先ほど挙げた筋肉や骨以外にも、さらに、その筋肉をコントロールしている神経がそれぞれの筋肉で別々に存在しているため、ある1つの筋肉が働く動きの方向も様々です。
これらをまとめると、筋肉の名前とそれをコントロールしている神経、その筋肉が動く方向をセットで覚えなければなりません。
ここまで、筋骨格系の話を中心に進めてきましたが、この他にも脳梗塞の方のリハビリを行う病院で働く理学療法士は、脳や脊髄などの神経の知識が必要です。
肝臓や胃、腸などの消化器の病気の方、また、心臓や肺などの循環器の病気の方のリハビリをする場合、それぞれの解剖の知識がなくてはなりません。
働く病院によって、必要とされる知識に差はありますが、基本的には筋骨格系、神経系、消化器系、循環器系全ての知識が重要になります。
理学療法士養成校では、その分野ごとに分かれて講義があり、カリキュラムを順に学んでいきます。
解剖学は定期テストで不合格となる学生が多い
ここまでを読んで頂いただけでも、たくさんの知識が必要となることはお分かりになると思います。
こんなにも幅広い量を覚えられるのだろうかと不安になる方もいるかもしれません。
実際に、私自身も養成校に通っていましたが、解剖学のテストで不合格になる学生は多いです。
テストに合格することができなければ、進級することはできませんし、ましてや理学療法士になることはできません。
ここまで聞くと、さらに不安になってしまいますよね。
でも、安心してください。
確かに覚えなければならない知識は多いですが、実はそれで留年する学生はあまり多くないんです。
なぜなら、必ず再試があり、そこで出題される問題の傾向性もある程度、わかることが多いからです。
例えば、1回目の試験問題と再試の問題がほとんど同じということもあります。
ですので、解剖学の全ての知識が試験の段階で覚えられていなくても、留年する可能性はそれほど大きくはありません。
しかし、解剖学は大事な内容ですので、しっかり覚えましょう!
理学療法士が解剖学を学ぶ理由
リハビリは何らかの病気や症状がある方に対して、少しでも生活をしやすくするための提案や援助をすることが仕事です。
リハビリが必要な方の例として、長年、膝や腰が痛い方もいれば、怪我をしてしまい、仕事を休まなければならなくなった人などがいます。
これらは筋骨格系の知識が主に必要になり、整形外科でリハビリをします。
例えば、あなたが膝が痛い方のリハビリを担当するとします。
よく聞く筋肉の名前でハムストリングスや大腿四頭筋などはご存知かもしれません。
整形外科で患者さんが訴える症状は圧倒的に痛みが多いですが、では、痛みはなぜ起きてしまうか知っていますか?
それは、癖や習慣です。
痛みが生じている場所は、悪い場所と思われがちです。
しかし、実はそうではなく、痛みの原因の多くは何らかの姿勢や動きの癖、習慣によって、その関節に負担がかかり続けることなんです。
つまり、痛い場所は被害者です。
そこで、この原因を考える上で、ある筋肉しか知らなければ、問題を解決できないことは容易に想像できると思います。
また、もちろん痛みを出している組織は膝であるため、その膝を構成する何の組織が痛みを出している原因組織なのかを考えなくてはなりません。
そこで、解剖学の知識が必要になってくるわけです。
さらに、その癖や習慣に関係する筋肉や関節はどこなのかなど、根本的な原因を考える上でも解剖学の知識を知らないと辿り着くことは出来ません。
解剖学を勉強する上で大切な3つのこと
これからお伝えする3つのポイントは理学療法士養成校に通っていた私自身が、実際に行っていたことで、効果を実感できた方法です。
色々と覚える方法を試してみた結果、これらの方法で覚えることで記憶に定着しやすく、働いている今でも覚えていて、活用できています。
それぞれを具体的に説明していきますね。
解剖を教科書として暗記しない
先程、お伝えしたように、筋肉を勉強する場合、筋肉の名前、その筋肉が付着する骨の部位、コントロールしている神経、その筋肉の働き(動く方向)をセットで覚えなければなりません。
結論から言いますと、解剖を覚える場合、身体のイメージとして覚えた方が後々役に立ちます。
なぜかというと筋肉で言えば、教科書には各部位ごと(腕や脚、体幹)に載っていますが、それをただ暗記したのでは、教科書1ページのイメージとして覚えているに過ぎません。
それでは、解剖学の試験には合格できるかもしれませんが、意味を理解しない覚え方では、その後に理学療法士として、身につけた知識をどのように活用すれば良いのかわからなくなってしまいます。
例えば、最近では解剖をスマホのアプリで見ることができるため、筋肉が伸び縮みする様子を見ることができます。
これにより、部位の名前やその関連する知識と実際の動きのイメージという両方の情報があることで記憶に残りやすく、将来、患者さんをリハビリする際にも使える知識になります。
自分の身体を使って覚える
上記の覚える方法と似ていますが、自分の身体を動かしながら覚えることで、記憶に定着しやすくなります。
なぜなら、記憶の定着にはインプットとアウトプットをセットで行うと効率がいいからです。
目で見てインプットしたことを身体を通して動かすことが、アウトプットしていることになり、記憶の定着につながります。
しかも、実際の筋肉や関節の動きを行いながら記憶することで、ただの記憶ではなく、将来的にも使える知識になります。
運動学や生理学と繋げて覚える
運動学や生理学という分野もイメージが湧きにくいかもしれません。
それぞれを簡単に説明すると、
運動学:身体のつくりの知識と身体の動きの知識が合わさった学問
生理学:ヒトがどうやって生きているのか、生きていられるのかを知る学問
になります。
運動学とは解剖学で学んだ構造が実際にどのように動きとして関連し、機能するのかを学ぶ学問です。
例えば、理学療法士は歩く動きを細かく分けて観察・分析する動作分析ということを行います。
そのために、足が床に着いているときや浮いているときなど、どのタイミングで、どの関節や筋肉が働くかなどを学んでいきます。
生理学はさらにもっと細かくそれぞれの組織を構成する細胞単位での身体の各組織の働きやメカニズムを紐解いていく学問です。
例えば、筋肉が伸び縮みするのはミクロレベルでは、2つの繊維が滑り合っており、その際にはマグネシウムやカルシウムといったミネラルの働きが必要になるというようなメカニズムがあります。
このように、解剖学と併せて運動学や生理学の知識を繋げて考えることで、実際にリハビリを行っていく際に、意味のある使える知識になります。
運動学や生理学は実際に講義を聴いてみないとわからないと思いますので、それらの講義を学んだときに、それぞれの知識をつないで理解していくと良いと思います。
まとめ
以上、このような理学療法士が学ぶ解剖学やその理由についてまとめてみました。
これから解剖学を学ぶ方にとって、少しイメージが沸いたのではないでしょうか?
ただ試験に合格するための目先の知識としての覚え方ではなく、理解して学ぶことが大切です!
ぜひ、この記事の内容を参考にみなさんの今後に活かして頂きたいと思います。
もし、今から興味が湧いた方はインターネットで簡単に調べることができるので、筋肉などを検索してみましょう!
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
コメント