
夜勤勤務者に食事指導を行う際、通常の昼間勤務者とは異なる難しさに直面することが多いのではないでしょうか?
例えば、
「夜勤中の食事で何に気を付けたらよいかわからない」
「夜勤後にどのようなタイミングで食事を摂るべきか悩む」
などといった悩みに、どのように対応すべきか迷うこともあるかもしれません。
こうした悩みを抱える管理栄養士の皆様に向けて、この記事では、夜勤勤務者への効果的な食事指導の流れや具体例、重要なポイント、継続的なサポート方法について、詳しくご紹介します。
そして、あなたが夜勤勤務者の食生活を改善でき、健康になるための後押しができるよう、本記事がしっかりとサポートします!
この記事を読み終えた時には、夜勤勤務者への食事指導に対して自信を持って取り組めるようになり、彼らが抱える食生活の課題を効果的に解決できるスキルを身につけることができるでしょう。
目次
夜勤の食事指導で気をつけること
夜勤勤務者への食事指導は、日中勤務者とは違い「生活リズムが不規則」「疲労が蓄積しやすい」「食事環境に制限がある」という特徴があります。
そのため、栄養学の知識だけでなく、夜勤という働き方に合わせた視点が欠かせません。
夜勤の食事指導で特に気をつけたいポイントは、次の2つです。
1日の食事ではなく数日単位で考える
環境の制約を必ず確認する
1日の食事ではなく数日単位で考える
夜勤勤務者は
- 日勤 → 夜勤
- 夜勤 → 明け → 休み
など、数日ごとに生活リズムが変わります。
そのため、「1日で食事バランスを整える」よりも、『シフト全体を見た食事提案』が必要です。
提案する前に、以下を必ず確認しましょう。
- 1週間の勤務シフト(夜勤の頻度・組み方)
- 夜勤・日勤・休日の過ごし方
- 睡眠時間や眠るタイミングのパターン
これらが分かると、
「どの日を基準に食事リズムを作るべきか」
「どのタイミングで食事量を調整すべきか」
が明確になります。
第2章「夜勤勤務者に対する食事指導の流れ」では、このシフト情報をふまえた指導の流れを詳しく解説します。
環境の制約を必ず確認する
夜勤者の食事環境は職場ごとに大きく違います。
そのため、環境を確認しないまま理想論を伝えても実行が難しくなります。
確認するべき環境の例は次の通りです。
- 休憩時間は何分あるか?
- 電子レンジや冷蔵庫は使えるか?
- 売店・コンビニに行けるか?
- 食堂は夜勤時間に営業しているか?
- 自炊や弁当持参が現実的か?
こういった “現場の条件” を知らずに「温かい汁物を足しましょう」「手作り弁当が良いですよ」と提案しても、実際には続きません。
大切なのは、 その人の環境で本当にできる方法を一緒に探すことです。
コンビニ商品や冷凍食品、レトルトなども積極的に活用して、無理なく続けられる改善案を提案しましょう。
夜勤勤務者に対する食事指導の流れ

夜勤勤務者に対する食事指導の流れを理解することで、より効果的なアプローチが可能になります。
ここでは、初回から改善策の提案までの基本的なステップを詳しく説明します。
食事指導の準備
まず、指導を行う前にしっかりと準備をすることが大切です。
夜勤者の生活リズムや職場の環境、食事のタイミングに対する一般的な知識を把握し、それに基づいたアドバイスができるように準備します。
食事指導の準備として確認すべき具体例を以下に4つ紹介します。
- 問診票や血液検査の数値
- 体調や睡眠の状態も食事に影響を与えるため、生活全般
- 食事内容や好み、アレルギーなどの食事制限
- 体調面での問題(胃もたれや便秘、疲労感など)があるかを聞き、食事が原因となっている可能性の有無
初回問診
初回問診は、夜勤勤務者の生活リズムや食事に関する悩み、現状を詳しく聞き取る場です。
このステップでは、以下のポイントに注意します。
- 夜勤や日勤のときの食事のパターン、時間、頻度
- 夜勤勤務者の勤務シフトや休憩時間、食事を摂るタイミング
- 職場環境によって、どのような食事が用意できるのか
初回問診を通じて、個々のニーズに合わせた食事指導を行うための基盤を作ります。
食事記録の確認
初回問診後、夜勤勤務者に食事記録をつけてもらうことが大切です。
夜勤中だけでなく、日勤や休日の食事も含めた全体のバランスを確認します。
以下では、食事記録を確認する上で大事なことをまとめています。
- 3日から1週間程度、詳細な食事記録(摂取時間、内容、量など)を提出してもらう
- 食事の時間帯が不規則でないか、栄養バランスが偏っていないかなどをチェックする
- 食事内容から、改善すべき部分がないか、見落としがちな栄養素があるかを評価する
食事記録をもとに、どの時間帯にどのような食事を摂っているかを把握し、改善ポイントを明確にします。
改善策の提案
食事記録の確認後は、具体的な改善策を提案します。
夜勤勤務者のライフスタイルに合わせた現実的で実践できるアドバイスを心がけましょう。
- 食事のタイミングの調整
夜勤前の夕食、夜勤中の軽食、夜勤後の朝食といった、適切なタイミングでの食事摂取を提案します。 - バランスの良い食事
夜勤中の食事は消化の良いもの、低脂肪・高たんぱく質の食材を選び、夜勤明けには回復に必要な栄養 素(ビタミンやミネラル)を含むメニューを提案します。 - 間食の工夫
空腹時に甘いものやジャンクフードを選びがちですが、ヨーグルトや果物など、栄養価の高い軽食を勧めると良いです。
これらの提案を実践できるようにサポートしながら、夜勤勤務者の食生活の改善を目指します。
夜勤勤務者の食事例を場面別に紹介

夜勤勤務者の食事管理は、症状や状況によって、食事指導の細かい内容は変わってきます。
一般的に夜勤勤務者で痩せられない人は、そもそもカロリーや炭水化物が不足していることが多いです。
カロリーが不足することにより、栄養バランスが崩れ、体調不良にも繋がります。

夜勤の食事指導では、特にカロリーや糖質が不足しがちな女性の夜勤勤務者に対して、負担なくそれらを増やす方法や食べるタイミングをお伝えすることが重要です。
夜勤のダイエット指導では、カロリー不足や炭水化物不足を防ぎつつ、バランスを崩さずに効率よく摂取できるアドバイスを取り入れるのがポイントになります。
ここでは、夜勤前、夜勤中、夜勤後に分けて、夜勤勤務者の食事のポイントと適切な食事の例を紹介します。
夜勤前の食事
夜勤が始まる前の食事は、エネルギーを適度に補給し、夜勤中に集中力を維持できるようにすることが目的です。
日勤時の朝食をイメージした食事と考えると良いでしょう。
ポイント
- 主食、主菜、副菜がそろった、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 低GI食品(玄米や全粒粉のパンなど)を選ぶことで、血糖値の急上昇を防ぎます
食事例
- 【自炊・持参】
ご飯、味噌汁、肉や魚などのおかず、果物、ヨーグルトなど
- 【コンビニ】
おにぎりもしくは糖質や脂質の少ないパン、カップスープ(味噌汁や豚汁)、
焼き魚やサラダチキン、カットフルーツ、ヨーグルトなど
※コンビニ商品はセブンイレブンのものを使用
夜勤中の食事
夜勤中の食事は、夜間の活動に適したエネルギーを補給しつつも、消化機能の抑制を考慮して、消化に負担がかからないようにすることが重要です。
また、眠気や疲労を避けるためにも軽めの食事がおすすめです。
消化に良い食品や血糖値の安定に役立つヨーグルトや果物を取り入れ、糖分が多すぎるものや脂っこいものは避けましょう。
ポイント
- 消化に時間がかかる食材を避けましょう(例:揚げ物などの、脂っこいもの)。
- 軽いタンパク質源を摂取するとよいでしょう。
- 簡単に摂れる野菜スティックやスープ類を加えると、ビタミン・ミネラル補給も可能になります。
食事例
- 【持参】
おにぎりやサンドウィッチ、温野菜、蒸し豚や鶏肉、温かいスープなど - 【コンビニ】
サラダパスタ、おにぎり、カップスープ、ゆで卵、サラダチキン、ヨーグルトなど

※コンビニ商品はセブンイレブンのものを使用
夜勤後の食事
夜勤後は、体を休め、リラックスするために、回復を促せる消化によい食事を選ぶことが大切です。
また、朝食を摂るタイミングになるため、栄養バランスの取れたメニューが理想です。
胃に負担をかけない温かいスープやお粥、またはタンパク質とビタミンが豊富な食材を使った軽めの食事が理想的です。
食事後はすぐに寝るのではなく、少し時間を空けてから休息を取ると良いでしょう。
ポイント
- 寝る前に食事をする場合、消化の良いものを選びましょう。
- タンパク質と炭水化物を少量摂取することで、疲労回復とエネルギー補給が行えます。
食事例
- 【自炊】
うどんや卵雑炊、温野菜、豆腐料理など - 【コンビニ】
おでん、ミネストローネなどの野菜の汁物
夜勤勤務者へ食事指導を行う際のポイント

夜勤勤務者への食事指導を行う際には、夜勤の生活リズムに合わせた食事内容やタイミングの工夫が必要です。
通常の昼間の勤務者とは異なるため、ポイントを押さえて指導を行うことが効果的です。
ここでは、主なポイントを3つ紹介します。
食事のタイミングと内容の調整をする
夜勤勤務者の食事指導で念頭においておくべき点として、「昼夜が逆転しやすく、食事のタイミングや内容を適切に調整すること」が挙げられます。
夜間勤務により、生体リズムが乱れやすく、これにより消化器官や代謝機能が影響を受けることがあります。
このような状態で、夜勤中に栄養バランスの偏った食事や高脂肪、高糖質の食事を摂ると、消化不良や血糖値の乱高下が生じやすく、集中力低下や体調不良につながるリスクが高まってしまいます。
上記のようなリスクを避けるために
- 夜勤前
軽めの食事で、エネルギーを補充しつつ、消化負担を軽減できる内容 - 夜勤中
消化の良い炭水化物やタンパク質を中心に、エネルギーを安定的に供給できる内容
脂質やカフェインの摂取を避け、胃腸への負担を軽減することも大切 - 夜勤後
軽食やバランスの取れた朝食で消化に優しい食品を選び、就寝を妨げない内容
をそれぞれおすすめしましょう。
カフェインや甘いものの摂取管理をする
夜勤中、眠気を防ぐためにカフェインや甘いものに頼りがちですが、過剰摂取は注意が必要です。
カフェインは覚醒効果があるため、夜勤開始時に摂取するのは有効ですが、勤務終了前の数時間は控えるように指導しましょう。
カフェインは過剰に摂取すると、寝付きにくくなり、限られた時間の中で十分な睡眠を確保できず、逆に睡眠を妨げる原因になります。
また、甘いものは一時的なエネルギー補給にはなりますが、血糖値の急上昇と急降下を引き起こし、疲労感や集中力低下を招きやすいです。
夜勤中に甘いものがどうしても食べたくなる時には、果物など、血糖値の上昇が緩やかなものを提案しましょう。
夜勤勤務者の生活習慣に合わせたアプローチをする
夜勤勤務者は、日中勤務者とは異なる生活習慣を持っています。
そのため、個別の生活リズムに合わせた食事指導を行うことが大切です。
実際に2つの例を挙げて見ていきましょう。
①家族との食事を楽しみたい場合
普段から家族の団らんとして、家族と共に食事をすることが生活の大切な一部である夜勤勤務者は多いです。
そういう方は夜勤の日であってもその習慣は崩したくないと考えています。
そのような場合は、家族と同じ時間に消化に良い食事を取り、量を調整して夜勤中の軽食や食事として持参するというような方法で提案することもできます。
これにより、家族との団らんを楽しみつつ、勤務中の栄養バランスも保つことが可能です。
➁夜勤が続いて日中の睡眠時間が短くなる場合
睡眠不足から体調や食事面にも影響が出ることもあるので、できるだけ睡眠時間が取れるタイミングは逃したくないところです。
日中にできる限り質の良い睡眠を確保することが理想ですが、夜勤続きではなかなかそれも叶いません。
そのため夜勤中の休憩時間も、可能な限り睡眠に回したいと思われている夜勤勤務者も多いです。
そのような方には、休憩中に短時間で素早くエネルギー補給ができる、バナナやぶどう、ミニおにぎりなどの提案ができると思います。
これらをうまく活用し、睡眠時間を確保しながらも、体調管理を万全にすることができます。
このように、個々の生活背景を考慮し、無理のない範囲で実践と継続ができる食事プランを提案することが大切です。
夜勤勤務者への食事指導は継続的なサポートが重要

夜勤勤務者に対する食事指導は、一度指導を行うだけでは十分ではありません。
夜勤は生活リズムが不規則になるため、食習慣を整えるには時間がかかることが多いです。
そのため、継続的なサポートが非常に重要です。
初めに夜勤の基本的な食事の考え方を伝えた後、定期的にフォローアップを行い、食事内容やタイミングが適切かどうか確認することで、夜勤者の食生活をより良い方向に導くことができます。
実際に夜勤中の食事や生活リズムの変化に応じて、アドバイスを調整し、個々の状況に応じた指導を行うことが大切です。
また、夜勤勤務者にとっては、疲労やストレスが食生活に大きな影響を与えるため、心理的なサポートも含めた包括的なアプローチが求められます。
管理栄養士として、夜勤勤務者と信頼関係を築き、食生活の改善を長期的に支えていくことが成功のカギとなります。
継続的なサポートを通じて、夜勤者が健康的な食習慣を身に付けられるよう、段階的に改善を繰り返していくことが大切です。
臨床栄養医学協会では、そういった個別の生活習慣や個人の体調に合わせた栄養指導ができるようにカリキュラムを組んでいます。
興味がある方はこちらの記事を参考にしてみてください!
参考:臨床栄養医学指導士とは?取得すべき4つの理由と受講生のリアルな声を紹介
まとめ

この記事では、夜勤勤務者に対する食事指導の流れと重要なポイントを具体例を交えて解説してきました。
常に念頭に置いておくべきは、
「個々のライフスタイルに寄り添いながら、悩みを解決し、健康的な生活をサポートすることが管理栄養士としての重要な役割」
ということです。
夜勤勤務者に対する食事指導もその点は同じであり、ベースとなる指導方法は普段おこなっているものと変わりません。
その上で、さらに夜勤勤務者への食事指導では、彼らの生活リズムや習慣に配慮しながら、勤務時間に合わせた柔軟なアプローチを取ることが求められます。
同時に、エネルギー不足を防ぎつつも消化に負担をかけない食事内容を提案することが重要です。
食生活の改善は一朝一夕ではないため、普段の食事指導と変わらず、定期的なフォローアップを行い、長期的な視点で夜勤勤務者の健康を支援していきましょう。
本記事を参考に、夜勤勤務者の健康や食生活の改善に繋がる、食事指導を行っていただければ幸いです。



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