高血圧の人が食事で気をつけたいポイントとは?食事の見直し方も紹介!

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

みなさんは病院などで「血圧が高め」と言われたことがありますか?

日本人は元々、しょうゆなど塩分を多く含む調味料を使用することが多いうえ、現代では気軽に食べられるファストフードや加工食品が増えてきました。

 

その結果、栄養のバランスが乱れたり、塩分を多く摂取する機会が増えてしまいました。

 

そんな高血圧ですが、血圧を下げるためには食生活の見直しが効果的とされています。

しかし、具体的にどのように変えたら良いか分からず、行動に移せない人も多いのではないでしょうか。

 

高血圧の状態を放っておくと、脳卒中などの病気になりやすいと言われています。

もし脳卒中になってしまうと、手足に麻痺が生じたり、上手く話せなくなることもあれば、最悪死に至ることもあります。

 

そのような恐ろしい状態から脱却するために、高血圧の人が食事を見直す時のポイントや、すぐに実践できる理想的な食事の摂り方をここでは詳しくお伝えしていきます。

 

この記事を読み、ただ血圧を下げるだけでなく、健康的な食生活が継続できるようになりましょう!

 

高血圧になる要因は?

生活習慣病とされる高血圧は、日本人の約2人に1人が発症しており、健康診断で引っかかる人も少なからずいるのではないでしょうか。

 

そんな高血圧といえば、よく「食事で改善しましょう」とされることが多いです。

ですが、改善を目指す前に高血圧となり得る要因を知らないままでは、自分が何に気をつければ良いのかが曖昧となってしまいます。

 

そこで、この章では高血圧になる要因をまずは解説していきます。

自分が気をつけるべき要因を一緒に見ていきましょう。

 

高血圧とは

はじめに、高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があります。

二次性高血圧は、甲状腺や副腎などに病気があることで高血圧を起こすものです。

 

それに対し、本態性高血圧は食事や肥満、飲酒など生活習慣による要因が組み合わさることで生じると考えられています。

 

・本態性高血圧:主に遺伝や生活習慣が要因で起こる。

・二次性高血圧:血圧上昇の原因となる、他の病気で起こる。

 

日本人に多いのはこの本態性高血圧の方で、自覚のない人も多いです。

 

では、高血圧の状態ではどのようなリスクがあるのでしょうか?

高血圧の怖いところは、持続的に血管に圧がかかることでダメージが生じ、徐々に動脈硬化を助長させる可能性があることです。

動脈が硬くなり弾力性を失うと、脳卒中や心臓病、認知症などのリスクが高まるため早期に改善したいものです。

 

高血圧の診断基準は日本高血圧学会によると、

「診察室での収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上」

とされています。

 

収縮期血圧とは最高血圧、拡張期血圧とは最低血圧のことです。

 

ちなみに正常血圧は

「診察室での血圧:120/80mmHg未満」

「家庭での血圧:115/75mmHg未満」

とされています。

 

ここで気をつけたいのは、高血圧とされる基準値より低い場合でも、正常血圧より高い人は高血圧予備軍となってしまうことです。

高血圧予備軍の人も今後生活習慣病の発症リスクを増加させる可能性があるため、注意が必要です。

 

では血圧を上げる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

 

出典:日本高血圧学会【高血圧治療ガイドライン2019】

 

食事由来の要因

高血圧の要因は、大きく分けて食事が関係するものとそうでないものがあります。

まずこちらでは、食事由来の要因について詳しく見ていきます。

 

高血圧の原因として、「塩分の摂り過ぎ」は皆さんもよく耳にするのではないでしょうか?

 

ではなぜ塩分を摂りすぎてはダメなのでしょう?

それは塩分を摂り過ぎると血管内の塩分濃度も高まるためです。

体内には濃度が高まると薄めようとする作用が働き、血管内の水分を増やそうとします。

その結果、血液量が増えることで血管にかかる圧が高まり、高血圧となるのです。

 

塩分過多以外にも要因は色々あり、

  1. ミネラルなどの栄養素不足
  2. 過剰な飲酒
  3. 肥満

などが関わってくるとされています。

それぞれの要因が高血圧とどのように関係するか詳しく見ていきましょう。

 

1.ミネラルなどの栄養素不足

特にミネラルの一つであるカリウムには、主に果物や芋類・緑黄色野菜などに含まれており、体内の余分なナトリウム(食塩)を排出する作用があります。

そのためカリウムが不足すると、血管内に水分(血液)が多くなってしまい、高血圧の状態を引き起こす可能性があるとされています。

 

2.過剰な飲酒

過剰な飲酒は自律神経の一つである交感神経の活動を高めるため、血管の収縮を強くします。

血管が収縮すると、血液が通る道が狭くなるので心臓からより多くの血液が送り込まれ、結果として血圧が高くなる可能性があります。

 

3.肥満の状態

必要なカロリー以上に食べ続けると、体は脂肪を蓄えていきます。

脂肪は脂肪細胞が集まってできていますが、特に内臓の周りにつく脂肪細胞からは血圧を上げる物質が分泌されてしまいます

 

また、必要以上に栄養が体内に入ると、過剰にインスリンが分泌されます。

すると交感神経が活発化し、血管の収縮を引き起こしてしまうのです。

 

インスリンとは糖の代謝を調整し、血糖値を正常に保つために分泌されるホルモンのことです。

このインスリンは、脂肪が多くなると効きが悪くなります。

そうなると血管内に多くなった糖を薄めようと、血液量が多くなり高血圧となることもあります。

 

ここまで見ていくと、食べるものが高血圧の要因に大きく関わってくることが分かりますね。

 

食事以外の要因

食事以外の要因としては

  • 運動不足
  • ストレスなどの精神的な要因
  • 喫煙
  • 睡眠不足

などが挙げられます。

 

運動不足やストレスなどは、高血圧の要因になるイメージがあるかと思いますが、他にも睡眠不足が血圧を上げる要因になることがあります。

そんな睡眠不足は、活動量が少なかったり昼寝をしすぎたなどの原因で起こりますが、実はそれ以外に栄養が関わってくることもあります。

 

例えば睡眠に関わる「メラトニン」などのホルモンは、栄養不足では少なくなってしまい、上手く寝付けなくなることに繋がっていきます。

単純に睡眠不足といってもその原因となることがあるため、睡眠の質を高めるためには栄養面からも見直していく必要があると言えるでしょう。

 

食事で気をつけたいポイント4点

1章で高血圧の要因は食事由来の部分が大きいという点について見てきました。

ここからは、食事のどのような部分に気をつけたら良いか、具体的に見ていきましょう

 

塩分量を見直す

食塩摂取量の目標値は【日本人の食事摂取基準(2020年版)】にて成人男性7.5g未満、成人女性6.5g未満とされています。

また高血圧患者における減塩目標は日本高血圧学会より1日6g未満を推奨しています。

 

数字だけではイメージが湧きにくいので、例を見てみましょう。

例えば醤油ラーメンを1杯完食すると、麺と具だけ食べた場合は塩分約1.2g、汁まで飲み干すと塩分約4.5g摂取することになります。

汁まで完食してしまうと、1日の塩分推奨量の半分以上を1食で摂取してしまうのでこれは気をつけたいところです。

 

ではここで、普段の食事で塩分過多となっていないか実際にチェックしてみてください。

市販品の成分表にナトリウムの記載がある場合、ナトリウムは食塩の主成分であるためナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)で計算ができます。

 

またおすすめのチェック法としては、無料サイトである「カロリーSlism」を使用することです。

食事内容を入力すれば、食事全体の食塩相当量を知ることができます。

 

【出典】

日本人の食事摂取基準(2020年版)

カロリーSlism

 

PFCバランスの良い食事を心掛ける

高血圧の要因の一つに栄養素の不足があります。

その中でもカリウムなどのミネラルや食物繊維は、食事のバランスが整っていないと不足しがちです。

 

ではなぜ不足しやすいのでしょうか?

 

原因として考えられるのは、現代人の食事は炭水化物不足・タンパク質や脂質過剰となりやすい傾向にあるからです。

ミネラルや食物繊維を含む食材はほとんど炭水化物に含まれます。

そのため、このような食事を続けるとミネラルや炭水化物が不足し、バランスが崩れてしまうのです。

 

そんな食事のバランスを整えるために、意識してみてほしいのがPFCバランスです。

PFCバランスとは、タンパク質・脂質・炭水化物の摂取比率のことです。

 

PFCの良好なバランスは、厚生労働省よりP(タンパク質)が13〜20%、F(脂質)が20〜30%、C(炭水化物)が50〜65%とされています。

このバランスは定食のような食事に近づけると整いやすいので、ぜひ参考にしてみてください。

実際に自分の食事バランスを知りたい人は、第5章で詳しいPFCバランスの整え方とともに解説していきます。

 

普段の食事を思い出しながら読み進めてみてください。

 

出典:厚生労働省「エネルギー産生栄養素バランス」

 

脂質の摂り過ぎに注意する

現代人はタンパク質・脂質過剰の傾向があると述べましたが、脂質が多くなると動脈硬化を助長し高血圧となってしまいます。

 

ソーセージなどの加工食品やコンビニ弁当、ファストフードに脂質が多いことはよく知られていますよね。

しかし自炊する際にも、意外と脂質をたくさん摂取している可能性があるのです。

 

例えば豚バラ肉を使うことが多かったり、鶏肉の皮まで食べる人は注意が必要です。

豚肉は、肩肉とバラ肉を比較すると、バラ肉の方が100gあたり約170kcal多くなります。

 

外食のみならず、脂身の多い肉を食べる頻度や調理の際に油を多く使用していないかなど、一度普段の食事を振り返ってみると良いでしょう。

 

お酒はしっかり食事を摂りながら楽しむ

アルコールは適量であれば、一時的に血管を拡張し血圧を下げる効果があります。

ですが、毎日摂取したり飲酒量が多いと逆に高血圧になりやすいとされています。

 

みなさんは普段お酒を飲む時、どのように楽しんでいますか?

少量のおつまみやお菓子などと一緒に楽しむ人もいるのではないでしょうか。

 

しかしその行為によって、PFCバランスが崩れながらカロリーを多く摂取していたり、塩分量が多くなっている可能性があります。

 

そんな人は普段の食事に合わせてお酒を嗜むことで、余分なカロリーや塩分量を摂取してしまうことは抑えられるでしょう。

 

ちなみに節度ある適量な飲酒として、厚生労働省は【健康日本21】の中で男性における1日平均純アルコールは20gとしており、女性はこれの1/2~1/3gとしています。

 

飲酒量だけ気をつけるのではなく、頻度も毎日飲酒をすることで肝臓に負担をかけてしまう為、休肝日を週2日程度設けるよう気をつけましょう。

 

たくさん飲み過ぎてしまうという人は、下の表を参考にしてみてください。

 

出典:厚生労働省【健康日本21】

 

高血圧の人が摂り入れたい食材

高血圧の要因として、食事由来の要因が大きいことを見てきました。

その中で塩分過多についての解説や、塩分の摂り方について気を付けるポイントを紹介しました。

では、ここからは塩分過多にならないために取り入れて欲しい食材を紹介していきます。

 

塩分の排出を促すカリウムなどのミネラルや、ナトリウム(食塩)を吸着し体外へ排出する作用がある食物繊維などを多く含む食材は

  • 果物:バナナ、キウイフルーツ、みかんなど
  • 芋類:さつまいも、じゃがいもなど
  • 緑黄色野菜:ほうれん草、かぼちゃ、小松菜など
  • 海藻類:ひじき、わかめなど

などがあります。

 

これらの食材は可能であれば毎食摂取することで、栄養素不足の問題も解決できます。

 

ただし、腎機能が低下している人は排泄機能の低下により高カリウム血症などを引き起こす可能性があるため、主治医などにどの程度摂取して良いか確認しましょう。

 

上に挙げた食材を摂り入れるほかに、調理過程で減塩する方法もたくさんあります。

例えば

  • 旨みの強い昆布や削り節などで出汁をきかせる
  • こしょうや七味唐辛子などの香辛料で味にアクセントをつける
  • しょうがやにんにく、ねぎなどの香味野菜で香り付け
  • レモンやすだちなどで香りや酸味をプラスする
  • 牛乳やチーズなどの乳製品でコクを出す

などです。

 

市販品の減塩加工食品や減塩調味料を上手に使うのも一つの手です。

 

ちなみに、塩をそのまま使う場合は精製塩ではなくミネラルを含む自然塩(天然塩)を使用すると良いでしょう。

 

出典:女子栄養大学出版部,減塩のコツ早わかり,女子栄養大学出版部,2015年

 

高血圧の人が避けたい食材・食品

次に高血圧の人が極力控えたい食材や食品を紹介していきます。

 

まず塩分を多く含むものとして、

  • インスタントラーメン、カップ麺
  • 梅干しや漬物
  • 肉や魚の加工食品
  • 惣菜パン
  • スナック菓子

などがあります。

 

忙しい現代人にとって手軽に食べられる物が多く、購入することもよくありますよね。

これらのものを完全に避けることはなかなか難しいと思います。

 

もし塩分の多い食材・食品を口にする場面があったら、食べ過ぎないために豆腐や野菜、果物などの塩分ゼロ食材と組み合わせてみると良いでしょう。

 

また、濃い味が好みという人も多いと思います。

調味料では塩、醤油、味噌の順に塩分量が多いため、使用する量には注意が必要です。

 

ちなみに醤油は濃い口醤油よりうす口醤油の方が塩分量は若干多めだと知っていましたか?

 

家庭で使用している調味料を一度見直してみるのも良いでしょう。

 

塩分に気をつける以外にも、高血圧の要因となる過剰な脂質の摂取は控えたいところです。

 

脂質を多く含む食べ物は2-3「脂質の摂り過ぎに注意する」でもお伝えしましたが、

  • ベーコン、ソーセージなどの加工食品
  • ファストフード
  • 牛や豚のバラ肉、鶏皮
  • 揚げ物
  • 油を多く使った炒め物

などがあります。

 

脂質の少ない肉の部位を購入してみる、揚げ物は週1回未満にするなどできそうなことから始め、脂質量を抑えていきましょう。

 

すぐ実践できる!1日の食事の摂り方

ここまでは高血圧の要因や、高血圧の人が摂り入れたい食材・避けたい食材について詳しく見ていきました。

ここからは実際に食事内容を改善する方法をポイントごとに解説していきます。

 

摂取カロリーを計算し、自分にあったPFC量を確認

自分が1日どれくらい食べていいか分からない人も多いと思います。

そこで、まずは目安となる1日の摂取カロリーを計算してみることから始めましょう

 

計算する時は、メディカルズ本舗を使用するとスムーズに割り出すことができます。

メディカルズ本舗とは、体重・身長などを入力すると、下の画像のように簡単に基礎代謝や推定エネルギー量などを算出してくれる無料のサイトです。

 

では、実際に計算してみましょう!

推定エネルギー量とは、1日の活動に必要とされるエネルギー量のことです。

私たちは、1日生活するためのエネルギーを食事で摂取する必要があります。

そのため、推定エネルギー量が分かれば、1日の摂取カロリーの目安にすることができるのです。

 

摂取カロリーが分かったら、次は自分に合ったPFC量を確認してみましょう。

 

2-2「PFCバランスの良い食事を心掛ける」で解説したように、PFCの良好なバランスは、P(タンパク質)が13〜20%、F(脂質)が20〜30%、C(炭水化物)が50〜65%でしたね。

 

例えば1日の摂取カロリーが2000kcal/日であれば、P=260〜400kcal、F=400kcal〜600kcal、C=1000〜1300kcalになります。

炭水化物を例にすると、1日1000kcal〜1300kcalなので、1日3食だと1食は約300〜430kcalです。

お茶碗1杯(約150g)は約250kcalなので、芋やかぼちゃ、果物などその他の炭水化物を合わせて1食300〜430kcalにすると良いでしょう。

 

次に、実際の食事においてバランスが取れているかを確認する場合について見ていきましょう。

食事内容からバランスを知りたい時は、カロリーSlismを使用すると、グラフや数値でPFCバランスが分かります。

また不足している栄養素も知ることができ便利です。

使い方としては、上の画像のようにカロリーSlismに食べたものを入力すると、食材に含まれているタンパク質・脂質・炭水化物の量(g)がそれぞれ出てきます。

その数値を使って、次の計算式に当てはめていきましょう。

 

【P(タンパク質)の場合】

タンパク質のエネルギー比率(%)=タンパク質量(g)×4(kcal)÷全体のエネルギー量(kcal)×100

 

【F(脂質)の場合】

脂質のエネルギー比率(%)=脂質量(g)×9(kcal)÷全体のエネルギー量(kcal)×100

 

【C(炭水化物)の場合】

炭水化物のエネルギー比率(%)=炭水化物量(g)×3.75*1(kcal)÷全体のエネルギー量(kcal)×100

 

例えばタンパク質の比率を計算すると、

39.43(g)×4(kcal)÷797(kcal)×100=19%

となります。

 

それぞれのパーセンテージを足してみると、100%とならない場合がありますが、あくまで傾向を見るものなのでそこは気にせず計算してみてください。

 

ではいつもの食事バランスが分かったところで、実際に食事内容を変えてみましょうと言いたいところですが、ちょっと待ってください!

 

ここで注意して欲しいことがあります。

 

今まで炭水化物不足だった人が、急に多くの炭水化物を摂取すると、血糖値の乱高下を起こしやすくなります。

すると、食事の1〜2時間後に眠くなるなどの症状が出現する可能性があります。

 

始めはバナナを1本増やしてみたり、豚肉をバラ肉から豚ロースにして脂質を抑えるなど、少しずつ変えていきましょう。

 

目安としては炭水化物を増やし、食後の眠気やお腹の張りなど胃腸の不快感が出現しなければ、次の1週間でまた少し増やすといったサイクルで行うと良いです。

 

*画像は日本食品標準成分表2023年版(八訂)以前のものであるため、炭水化物1g=4kcalで計算されています。

【出典】

メディカルズ本舗

カロリーSlism

 

摂り入れたい食材を活用していく

減塩しつつ栄養素をしっかり摂取するために、3章「高血圧の人が摂り入れたい食材」で紹介した食材を実際の食事に組み込んでみましょう。

 

例えば、

  • 果物を毎食食べるようにする
  • 主食をご飯のみでなく、さつまいもをプラスする
  • 味噌汁にほうれん草やかぼちゃなどを入れる

など、自分にできそうなことから始めればOKです。

 

また家庭で調理をする際は、塩分量を減らせるチャンス!

  • 昆布や煮干しなどが入った食塩不使用の出汁パックで味噌汁を作る
  • 煮物に減塩醤油を使用し、約50%減塩する

など方法はたくさんあります。

 

もし減塩調味料を使って物足りないなと思えば、出汁をしっかりとったり香味野菜や香辛料で風味をプラスすると、味気なさをカバーすることができるでしょう。

 

また、汁物は具沢山にすると口に入る汁が少なくなります。

そうすると摂取する塩分量も少なくなる上、栄養バランスも良くなるのでお勧めです。

 

お勧めレシピを取り入れてみる

最近は減塩されたレシピをネットや本でたくさん取り扱っているので、まずは1食から取り入れてみるのも良いでしょう。

 

ここではメインのおかずを減塩するレシピを一部紹介しますので、今晩のおかずからぜひ参考にしてみてください

 

<豚肉の生姜焼き>

1人分の塩分量:1.0g

 

材料 2人分

材料

分量

豚ロース薄切り肉

160g

こしょう

少々

小麦粉

小さじ1

サラダ油

小さじ1と1/2

【タレ】

玉ねぎ(すりおろし)

大さじ2

おろししょうが

小さじ1/2

しょうゆ・酒

各小さじ2

砂糖・酢

各小さじ1

【付け合わせ】

キャベツ・青じそ(ともに千切り)

各2枚分

 

作り方

①豚肉はこしょうと小麦粉をまぶし、味がからみやすくしておく。

②フライパンに油を中火で熱し、①を広げて焼く。焼き色が付いたら一度取り出す。

③②のフライパンに、合わせたタレの材料を入れ煮たったら、②の豚肉を戻し入れて強火でタレとからめる。

④キャベツと青じそを合わせて器に盛り、③の豚肉を盛ってタレをかける。

*タレは玉ねぎのすりおろしを加えることでコクと旨みをアップ!

*千切りキャベツに青じそをプラスすると風味が豊かになってgood!

 

<肉じゃが>

1人分の塩分量:1.55g

 

材料 2人分

材料

分量

じゃがいも

200g

玉ねぎ、人参、しらたき

各50g

牛肩ロース薄切り肉

50g

サラダ油

小さじ1/3強

さやいんげん(青み、筋を除く)

10g

だし

200g

大さじ1

しょうゆ

大さじ1と1/2強

砂糖

大さじ1と1/2強

 

作り方

①じゃがいもは6〜8等分に切り、牛肉は一口大に切る。

②人参は食べやすい大きさに乱切りし、玉ねぎはくし形に切る。しらたきは食べやすい長さに切る。さやいんげんはさっとゆで、食べやすい長さに切る。

③鍋に油を熱し、牛肉を炒める。牛肉の色が変わってきたら玉ねぎ、人参、じゃがいもを加えて炒める。しらたき、だし、調味料を加えて落し蓋をし、弱火〜中火で約20分ほど煮る。

④じゃがいもがやわらかくなり、煮汁がほとんど無くなったらさやいんげんを加える。

*だしを多くすることで、通常の適塩レシピより35%減塩可能!

 

<ぶりの照り焼き>

1人分の塩分量:1.0g

 

材料 2人分

材料

分量

ぶり(切り身)

2切れ(160g)

粗挽き黒こしょう

適量

小麦粉

少々

大根

4cm(150g)

ししとう

6本

サラダ油

小さじ2

A

酒・水

各大さじ1

しょうが(薄切り)

10g

B

酢・みりん

各大さじ1

しょうゆ

小さじ2

だし汁

80ml

 

作り方 

①大根は1cmの厚さに輪切りにして約5分下茹でし、水けをきる。フライパンにサラダ油を熱し、大根とししとうをこんがり焼いて器に盛る。

②ぶりはこしょうを振り、小麦粉をまぶす。①のフライパンに入れて焼き、焼き色が付いたら裏返す。Aを振ってしょうがを加え、蓋をして約3分蒸し焼きにしたら一度取り出す。

③②のフライパンにBを入れ、煮たったらぶりを戻し入れる。タレをからめて照りを出し、①に盛り合わせる。

*たれは漬け込まずに、最後にからめると減塩に!

*ぶりに小麦粉をまぶすことでタレがからみやすい!

 

【引用】

女子栄養大学出版部『栄養と料理』,塩分1日6g はじめての減塩,女子栄養大学出版 部,2015年

女子栄養大学出版部,減塩のコツ早わかり,女子栄養大学出版部,2015年

 

まとめ

まとめ

高血圧の食事療法として、摂取する塩分量や食事バランスが大きなポイントであることを解説してきました。

 

この記事を読み、「今から3食全て減塩しよう!」「全部自炊してPFCバランスを整えよう!」と思うことはとても素晴らしいことです。

 

しかし、そのマインドでは長続きせずに失敗してしまう可能性が高いです。

 

まずは普段の食事に果物や芋類をプラスしてみたり、調理中に減塩調味料や旨み成分を含む食材を使用するなど、自分にできそうなことから始めてみましょう。

 

また、正しい栄養の知識をより確かに身につけたい人には、臨床栄養医学協会の講座受講がお勧めです。

臨床栄養医学協会では、生化学や生理学に基づく栄養の知識を論文ベースで学ぶことができます。

そして講座受講後は、膨大なネット情報に流されず、自信を持って食事を見直すことができるようになるでしょう。

 

正しい方法で食事を変えてみた結果、高血圧が改善しただけでなく、普段の体調も良くなったと感じ始めたら食生活の見直しは大成功です!

 

健康な毎日を送るため、継続して食事と向き合っていきましょう。

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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