
働き方改革が推し進められる中で、副業もだいぶオープンとなりました。
管理栄養士であっても副業を始めている人も同様に増えてきており、その選択肢は、思った以上に幅広く存在します。
日々行っている数々の業務は、管理栄養士としては当たり前のものかもしれません。
ですが、社会においては、その一つ一つの業務は他に代わることのできない非常に専門性のある仕事です。
そのため、求められている場が非常に多くあるのです。
ですが、それぞれの専門性が高いがゆえに、自分のイメージする副業内容とはズレてしまう可能性があります。
せっかく副業を始めたとしても、思うように進められなかったり、本業に支障が出てしまっては元も子もありません。
本記事では、初心者でも安心して自分の納得する副業を始めるにあたって知っておきたい内容について記載しています。
おすすめの副業だけでなく、その探し方や気をつけたいことなどについても詳しく解説しています。
自分の理想の副業を始めたい方は、是非最後までお付き合いください。
目次
管理栄養士におすすめの副業5選
管理栄養士の行う仕事はどれも専門性が高い為、副業するにしても様々な仕事があります。
まずはどのような副業の選択肢があるのか、実際に活躍している人の多いおすすめの仕事をご紹介していきます。
Webライター
この仕事は、Webサイトに掲載する記事を執筆することで、商品やサービスの内容や魅力を伝えることが目的です。
パソコンさえあれば、自宅にいながら自分のペースで仕事ができるため、隙間時間や仕事と家事の合間などに副業したいと考えている方には相性の良い仕事です。
管理栄養士に求められる内容としては、健康や栄養や美容に関するものが多いです。
Webライターの多くが1文字当たりの料金での収入計算となりますが、執筆を重ねて評価が高まると、企業と契約して継続して記事執筆やコラムを持てる可能性もあります。
そのようにして副業としての収入を伸ばしている人もいます。
管理栄養士の場合、その専門性から信頼性の高い内容の記事が執筆できるため、高収入案件が入る可能性は大いにあります。
文章を書くのが得意な人にとっては、初心者であっても取り組みやすい仕事と言えます。
栄養指導
この仕事は、栄養や食事の指導を行うことがメインであり、管理栄養士であれば日常業務で行っている得意とする分野ではないでしょうか。
副業として行う場合に多いのが、スポーツ施設やジム、エステサロンなどでの栄養や食事指導です。
特にダイエットや美容目的の利用者に対して行うことが多く、その方法としては直接対面して指導を行うことはもちろん、オンライン上での指導を行う場合もあります。
オンラインでの指導の例としては、利用者から送られてきた食事の写真を確認し、それに対するアドバイスを返信する、というものがあります。
このような場合、自分の都合のつく時間帯に対応することが可能なため、栄養指導や食事指導を隙間時間でも行って収入を得たい、と思われる場合にはおすすめの仕事です。
最近ではオンラインでの栄養指導も珍しくないため、栄養指導できる人を募集している企業なども増えてきていますが、なかなかそのような求人に出会えない場合もあるかと思います。
その場合は、身近なところで知人や地域から始めてみるのも良いでしょう。
また、SNS発信をすることで少しずつ栄養指導の機会を増やしていくことも可能な時代です。
求人を待つだけでなく、副業をしたいと思う場合は積極的に自分から動いてみましょう。
特定保健指導
この仕事は、40歳から74歳で医療保険加入者に義務付けられている特定健診において「生活習慣病やその予備軍」と診断された人に行う生活指導のことです。
日常生活全般において改善すべき点を指摘し、指導するのが主な内容となります。
この特定保健指導は、栄養指導と同じように、管理栄養士の資格を活かして行える代表的な仕事の一つです。
医療施設や健診施設などで行われているイメージが強いですが、実際には業務委託されるケースも多く、オンライン面談などもあるため、副業として行うことができます。
高単価での求人もみられるため、時間に余裕があり件数をこなせる場合は、まとまった収入が期待できます。
ただし、正社員との兼業不可の案件も多いため注意が必要です。
求人サイトなどにも募集が出ていることが多い為、特定保健指導の経験のある人や、得意な人はこれまでの経験を活かしながら副業ができる、おすすめの仕事と言えます。
献立作成
この仕事は、依頼元からの希望に応じてレシピや献立を作成する内容が主となります。
依頼される内容は多種多様ですが、一般的にレシピ開発をする料理研究家と管理栄養士への依頼内容の違いとしては、特定疾患などに対応したレシピやダイエットレシピなど専門性のある依頼も多くある点でしょう。
その専門性を活かした栄養や健康に配慮したレシピの作成に加え、料理の写真撮影技術も持ち合わせていると、さらに高単価での仕事を受注しやすくなります。
料理好きな人や、レシピ考案が得意な人、料理を作るだけでなくその写真撮影も得意な人には特におすすめの仕事です。
栄養価計算
この仕事は、「日本食品標準成分表」に記載されている成分値に基づいて栄養価を算出するのが主となります。
使われている食材の選び方から調理による変化など、栄養価を正確に計算するために考慮すべき点が多い仕事ですが、今では無料の栄養価計算ソフトの利用も可能ですので、割と取り組みやすいのではないでしょうか。
栄養価計算は、飲食店や弁当の献立、介護福祉施設、書籍・Webメディア掲載のレシピなど、幅広いジャンルで必要とされています。
栄養価計算は管理栄養士の業務内容の中でも代表的な仕事の一つですので、その専門性と信頼度の高さから、管理栄養士の副業のなかでも需要が高いといえます。
地道にコツコツと計算するのが得意な人や栄養価計算を苦と思わない人にはおすすめの仕事です。
管理栄養士が副業で得られる3つのメリット
厚生労働省による「働き方改革」が行われて以来、副業はかなり推進されてきたイメージがあります。
管理栄養士の副業も今では増えてきているように思われますが、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは3つのメリットについて解説していきます。
新たな収入が得られる
管理栄養士はかなり専門性の高いスキルが求められる仕事を日々こなしています。
ですが、給料面については決して高いものとは言えません。
厚生労働省が令和5年度に行った「賃金構造基本統計調査」によると、管理栄養士の平均年収は、38.3歳で390万円ほどとなっています。
この金額が仕事に見合っているかどうかのとらえ方は人それぞれですが、業界平均で比較すると、管理栄養士の年収はやや低い傾向にあると言えます。
このような現状で、生活をするうえでさらなる収入を得たい、と思っている人も少なくないのではないでしょうか?
第1章「栄養士におすすめの副業5選」で記載しましたが、管理栄養士のできる副業の中には高収入が期待できるものもあります。
これまでのスキルや経験を活かすことで新たな収入が得られるのは、非常に大きなメリットと言えます。
【出典:令和5年賃金構造基本統計調査】
専門性を磨きながら新たな知識やスキルが身に付く
管理栄養士として働いている人の中には
「今の職場に採用されて、その専門性を思う存分活かして仕事しよう!と意気込んでいたのに、実際の職務は事務作業ばかり」
と不完全燃焼な気持ちの人もいるのではないでしょうか?
実際に、事務や給食管理の時間が大きく、管理栄養士としての専門性が発揮しにくい職場は多くあります。
そのような場合、第1章「栄養士におすすめの副業5選」で紹介した栄養指導や特定保健指導などは専門性を活かせる副業となります。
また、現在栄養指導など専門性を発揮して仕事をしている場合であっても、副業する未知の仕事内容や属する企業などによっては、新たな知識やスキルを必ず学ぶこととなります。
例えば、Webライターは依頼先の企業や求められる内容について、少なからず調査したり学ぶこととなりますし、献立作成の際にも、求められるレシピの目的によっては、新たに調査や勉強をすることとなります。
仕事をする際には、必ず勉強や新たな学びをすることとなります。
それは本業だけでなく、副業も同じことです。
副業をすることで、管理栄養士としての専門性が磨かれるだけでなく、場合によっては異分野の学びも得ることができます。
スキルアップから新たなキャリアの発展への可能性がある
管理栄養士の携わる仕事として、医療や福祉分野がメインとして知られています。
ですが、意外にも美容やスポーツをはじめとする他分野とも関係性が深い為、異業種と思われるこれらの仕事に副業として携わることで、新たな知識やスキルが培われます。
そうして培われた知識やスキルを活かして新たな職場へ転職したり、場合によってはフリーランスとして独立する人もいます。
はじめから独立することを目的に副業をスタートさせるパターンは少ないと思いますが、やはり、副業として少しずつスキルを磨き、実績を積み重ねることがフリーランスへの着実な歩みとなります。
独立してフリーとなっても、クライアントからの信頼が得られなければ事業は継続していけません。
特に独立を目指して副業を始めるわけではないとしても、仕事を着実にこなしていくことで、確実に実績を積み重ねることができますし、それによって必ず信頼や信用度も増します。
確実にキャリアを発展させることへとつながる、という点はかなりの大きなメリットでしょう。
管理栄養士が副業を探す方法
ここまで、管理栄養士の副業としておすすめの仕事やメリットについて見てきました。
では、実際にこれらの仕事をどのようにして探したらよいのか、その方法について解説していきます。
管理栄養士の就職・転職・副業紹介サイト
最も簡単に探し始めることができるのがこの方法です。
就職や転職の際に求人サイトを検索するのは常識となっています。
最近では専門性に特化したものや、特定の資格専門の求人サイトも増加してきています。
同じように管理栄養士に向けた求人サイトも数多くあるため、様々な求人を検索することができます。
しかし、正社員での雇用が多く掲載されているため、副業として検索する場合は「業務委託形式」の案件を検索する必要があります。
また、副業として在宅ワークを希望する人も多いと思いますが、在宅勤務の条件として「一定期間の実務経験」を求められることが少なくありませんので、その点も考慮して選ぶ必要があります。
クラウドソーシングへの登録
副業を探すもう一つの方法として、最近増えてきているクラウドソーシングへの登録という方法を解説します。
クラウドソーシングとは、簡単に言うとマッチングシステムです。
インターネットを介して、仕事を発注したい企業側と仕事を受注したい個人とをそれぞれの条件に合った形で結び付けてくれる仕組みとなっています。
特にWebライターの仕事はこのクラウドソーシングへの登録を行うことで、案件を受けやすくなります。
管理栄養士という専門的な職業を探している企業も少なくない現状ですので、検索欄やフリーワード管理栄養士と入力して検索すると、案件が見つけやすいでしょう。
一方で、クラウドソーシングには様々な分野の仕事が求められています。
健康や栄養など管理栄養士の得意とする分野とは全く別の分野での副業を考えている場合にも、利用しやすいツールです。
管理栄養士が副業をする際に気をつけたいこと
ここまでの解説で、管理栄養士が副業をするには、ハードルはそこまで高くない、という印象を受けたのではないでしょうか?
確かに、専門性を兼ね備えた管理栄養士を求める案件は少なくなく、副業を探すにも苦労はあまりないように思います。
ですが、副業をする際に注意しておきたい点がいくつかあります。
下の4点についてひとつづつ詳しく見ていきましょう。
- 職場の規定を確認しておく
- 本業に影響しない範囲にとどめる
- 家族や職場の同意を得る
- 必要に応じて確定申告を行う
1.職場の規定を確認しておく
副業を始める前提として
「現職場の雇用契約書や就業規則において、副業が認められているかどうか」
について必ず確認しておくことが必要です。
副業に対して柔軟な企業も増えてきてはいますが、依然として禁止している職場もあります。
この点を確認せずに副業を始めると、思わぬトラブルに発展したり、場合によっては解雇ということにもなりかねないので、必ず確認しましょう。
禁止していなかったとしても、申請が必要な職場もあります。
また、守秘義務や競業避止義務の規定がされている場合もありますので、細部まで確認し、不明な点がある場合には必ず上司や職場長などに相談しましょう。
公務員の場合は法令によって副業が厳しく制限されていますので、必ず確認が必要です。
2.本業に影響しない範囲にとどめる
職場での副業が認められていたとしても、副業が軌道に乗ってきて本業を圧迫するようでは本末転倒です。
副業を始めた頃は、本業がメインの生活リズムであったとしても、副業に慣れて業務も徐々に増やしているうちに、副業の方に熱が入ってしまうパターンがあります。
たとえ業務量は抑えていたとしても、副業をすることで体力的に疲弊していたり、時間が圧迫されて余裕がなくなってしまったりと何かしら影響をきたすこともあります。
本業と副業を両立させるためには、無理のないスケジュールをあらかじめ立てておくことが大切です。
管理栄養士の業務は体力的にも精神的にもエネルギーを費やすものばかりです。
体力と時間のバランスを考え、可能な範囲での副業を行いましょう。
3.家族や職場の同意を得る
管理栄養士の副業に限らず、どのような副業を始めるにしても必ず必要なことがあります。
それは、家族や周りの関係する人々の同意と協力です。
例え、家庭の収入を増やす、子供の教育資金の補填として収入を得る、という明らかに家族の為に行う副業であったとしても、本業以外の時間は家族との時間ともとらえることができます。
その時間を副業に当てても良いかどうかは、やはり家族の同意が必要でしょう。
また、本業以外の時間を副業に費やすとはいえ、いつ何が起きるか分からないので、やはり職場の仲間からの理解も有るに越したことはありません。
信頼関係を保ちながら副業を行うためにも、事前に話し合いを行っておくことをおすすめします。
4.必要に応じて確定申告を行う
管理栄養士が副業を行う場合、案件によって高収入になる可能性は大いにあります。
その場合、意外に見落としがちですが、確定申告を行う必要があります。
年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。
確定申告が必要か否かの判断には、収入だけでなく必要経費や扶養の条件なども関わるため、ある程度の収入が見込めるようになってきた場合、早めの準備が大切です。
確定申告に関しては、こちらの国税庁のサイトをご参考ください。
【出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁】
管理栄養士が副業するには資格取得がおすすめ
ここまでは、管理栄養士が副業するにあたって必要なことについて解説してきました。
ここからは少し視点を変えて、管理栄養士が副業するにあたってさらに学びを深めることで得られる内容について、お伝えしていきます。
学びを深めるには、各企業や専門機関の開催するセミナーや現職場の学習会など、様々な方法があります。
もともと管理栄養士は専門性が高く、国家資格でもあるので、わざわざ他の資格取得は必要ない、と思われている人も多いと思います。
確かに、栄養や健康のプロからすると、今以上に内容のある資格取得講座はないように思えます。
ですが、副業において求められることは「栄養」「健康」などの内容以外にもあります。
例えば、第1章「栄養士におすすめの副業5選」で紹介したWebライターについて考えてみましょう。
パソコンは職場でも使っているから大丈夫、と思う人もいますが、実際に始めようと思ってすぐに取りかかかれるでしょうか?
案件を入手するところから提出方法はもちろん、いざ書こうとすると「どうやって文章を書けばよいのか」という点で悩む人が少なくありません。
この場合、事前に「文章の書き方」や「文章を書くために必要なこと」を学ぶ資格取得講座を受講しておくと、悩むことなくスムーズに副業を進めていくことができるでしょう。
このように、実際に始めようと思って初めて学びが必要なことを知る、ということは他の副業にも言えるのです。
そのため、あらかじめ資格取得講座で学ぶことで、そのスキルを身につけることに加え、「資格取得」という信頼性を得ておくことは非常に大切です。
また「栄養」「健康」分野の講座の中にも、より専門性を深めるなど、副業を始める際に役立つ講座はあります。
「臨床栄養医学指導士」は、管理栄養士として専門性をさらに磨いて副業に役立てられるおすすめの資格取得講座です。
この講座は「一般社団法人 臨床栄養医学協会」が主催するものです。
一般の人はもちろん、管理栄養士や栄養士、保健師、理学療法士、作業療法士などの専門分野で活躍する人も多く受講している講座です。
栄養学については基礎から応用までしっかり学べるのはもちろんですが、学んだ先の活用方法までしっかり自分のものにすることができます。
例えば、これまで行ってきた栄養指導を、より確実に結果が出せる内容にすることができるようになります。
これは、これまで管理栄養士養成施設などで学んで使いこなしていた栄養学とは違う、今を生きた栄養学を学びに取り入れていくことができるからです。
さらに、この講座の最大の特徴ともいえる、学んだ後にビジネスとして展開していく方法についても学ぶことができます。
始めるのは副業であって、ビジネス展開ではない、と思われる人もいますが、副業として自分でビジネス展開するパターンも大いにあります。
必ずしも企業などから案件の依頼を受けて仕事をすることだけが副業ではありません。
生きた栄養学を学び、それを基に自分でコンパクトなところから事業展開したり、徐々にビジネス展開することも副業ならではの始め方ではないでしょうか。
自分がどのような副業を行いたいのか、をしっかりと見極めて、必要に応じて資格取得講座を受講する、ということも視野に入れておくと、スムーズに副業がスタートできるでしょう。
【出典:一般社団法人 臨床栄養医学協会】
まとめ
ここまで、管理栄養士が副業するにあたっての、メリットやおすすめの仕事内容などについて解説してきました。
働き方改革がなされてから、副業はかなりオープンとなっています。
それに応じて管理栄養士が求められる副業も数多く存在します。
是非こちらで紹介した副業の探し方を利用して、自分の求める内容の仕事を手に入れてください。
希望する副業を始めるためには、まずは自分がどのような仕事内容や働く形態を求めているのかをしっかりと分析し、必要であれば事前に勉強したり、資格取得をするなどしてみましょう。
この記事が少しでも、管理栄養士の皆さんが副業を始めるためのお役に立てていれば幸いです。
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