【糖質制限vs脂質制限】痩せる食事法はどっち?栄養のプロが徹底解説

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

食事制限の代表的な例として、「糖質制限」「脂質制限」があります。

 

皆さんはそれぞれ糖質や脂質を減らすだけなんて思っていませんか?

そう考えている人は痩せないどころかリバウンドしてしまう可能性がすごく高いです。

 

せっかく努力をして我慢しているのに痩せないなんて悲しいですよね?

 

糖質制限や脂質制限で痩せるためには

  • どういった理由で痩せるのか
  • どういった食材を制限するべきか

を知ることが大切になります。

そのため、この記事ではこれらを紹介していきます。

 

最後には皆さんが一番知りたいと思う糖質制限、脂質制限どちらの方が効果的なのかを紹介していきますので最後まで読んでみてください。

 

糖質制限と脂質制限

どっちがいいのか知る為には糖質制限と脂質制限を区別する必要があります。

現在世の中には多くの情報があり、間違った情報も多くあるんです。

 

糖質制限と脂質制限がどのようなダイエット法なのか知らないと表面上の間違った知識が身についてしまいダイエット成功率は低くなってしまいます。

そのために糖質制限と脂質制限について知ることが重要になるんです。

 

まずは糖質制限と脂質制限について学びなおしていきましょう。

 

糖質制限とは

糖質制限は「糖質」を制限するダイエット法で、短期間の減量や糖尿病の治療食として有名です。

 

具体的に糖質制限で制限するべき食材は、白米・玄米・麺類・パンなど普段主食として食べる食材になります。

 

糖質の摂取する量は、オーソドックスな糖質制限なら70〜100gの糖質になります。

ちなみに茶碗1杯で150gの白米になり、糖質量は約55gです。

ですので、茶碗半分を3食食べることが出来ます。

 

脂質を制限すると、カロリーが少なくなるため、私たちの身体はエネルギー不足になってしまいます。

 

そのため、その分「脂質」と「タンパク質」でエネルギーを補給する必要があるんです。

 

特に脂質は糖質に変わるエネルギー源となるので、糖質制限中は脂質を普段よりも多めに摂取することがおすすめです。

 

脂質制限とは

脂質制限は名前の通り、脂質の摂取量を減らすダイエット法です。

 

具体的に脂質制限で気を付けなければいけない食材は、鳥皮・豚肉・青魚・卵・大豆製品などになります。(絶対に食べたらダメではなく、量に注意)

 

現代では、脂質を過剰に摂取している人が多く、脂質は1gあたり9kcalでタンパク質・糖質よりもカロリーが多いため意識的に減らすことで効果を感じられる場合もあります。

 

脂質は制限しますが、糖質は摂取できますので白米や麺類・パンなどは食べることができます。

ただし、糖質も普段よりも多く摂取してしまうと太りやすくなるので糖質の量は変えない方が良いでしょう。

 

糖質制限のメリット・デメリット

 

どんなダイエットにもメリット・デメリットがあります。

これらを知ることでダイエットについて深く理解することが出来ます。

どちらを選ぶべきか悩んでいる人は参考にしてみてください。

 

例えば、糖質制限の最大のメリットは体重が短期間で落ちることで、反対にデメリットは集中力と意欲の低下があります。

 

他にもメリット・デメリットがありますので是非参考にしてみてください!

 

メリット

糖質制限のメリットは以下の通りです。

  1. 体重が短期間で落ちる
  2. 食事の満足度が高い
  3. 食事管理がしやすい

 

①体重が短期間で落ちる

糖質制限は脂質制限に比べて短期間で体重が減りやすく成果を感じやすいのでモチベーションupに繋がります。

 

短期間で体重が減る理由は、糖質と水分が関係しているんです。

摂取した糖質は水分と一緒に身体の中に貯められているので、糖質の摂取量が減ると身体の中の糖質と水分も減り体重が減ります。

ちなみに糖質1gあたり約3gの水分を糖質は含むと言われている。

 

糖質制限が短期間で体重が落ちる理由は、身体に糖質が入ってこないことにより身体に蓄えられていた糖質と水分が無くなるからです。

 

参考文献:Cell Metab.2015 Sep 1:22(3):427-36

 

②食事の満足度が高い

糖質制限では脂質を含む肉や魚を多く摂取するので満足感が高く、食事と食事の間の空腹感は脂質制限に比べて感じにくいです。

 

また、タンパク質と脂質でカロリーのほとんどを摂取するので人によっては量が多く感じ、ダイエットをしている感じがしないという人もいます。

 

ダイエット中に空腹感に耐えられない、ダイエット中に食欲が抑えられない人にはおすすめです。

 

③食事管理がしやすい

今までの食事から糖質を抜いておかずのみの食事になり、管理がしやすいです。

 

例えば、今までご飯を茶碗1杯食べていた人なら半分にするだけで糖質の摂取量を減らせます。

 

また、糖質以外に制限があまりなくダイエット中は食べられないイメージのステーキも食べることが出来ます

 

脂質制限よりも考えることが少ないので継続しやすいと感じるでしょう。

 

デメリット

逆に糖質制限のデメリットは以下の通りです。

  1. 集中力と意欲の低下
  2. 糖質を処理する能力が低下
  3. 腎臓や肝臓に負担がかかる

 

①集中力と意欲の低下

身体で一番糖質を使うのが脳であり、糖質全体の25%も脳で使います。

その糖質を長期間制限することで集中力低下や意欲低下を引き起こす可能性があるのです。

 

朝食を抜いた時に日中、集中力と意欲の低下を感じたことはありませんか?

それは糖質不足で起こってしまっている可能性が高いです。

 

糖質制限を行うとそのような状態が長く続いてしまう可能性があります。

 

糖質制限開始直後は、それまで摂取していた糖質が身体の中にあるので影響は少ないですが、長期的に行うと影響が出やすくなります。

 

②糖質を処理する能力が低下

糖質制限では糖質を処理する能力が低下してしまいます。

 

これは身体を動かさないと筋肉が衰えてしまうのと同じで、糖質を摂取していないと糖質をエネルギーに変える力が低下してしまうんです。

 

糖質をエネルギーに変える力が低下すると、身体に糖質が余ってしまいます。

その結果、糖質が血中に溜まり血糖値を上げてしまうんです。

 

血糖値が急激に上がると身体は急激に血糖値を下げようとするので注意が必要です。

 

③肝臓や腎臓に負担がかかる

身体は糖質が無くてもエネルギーとなる糖質を作り出すことが出来ます。

 

しかし、糖質は身体で主要なエネルギー源となるため、不足することは身体にとっては非常事態なんです。

 

そんな非常事態の際に糖質を作り出すのに働くのが肝臓と腎臓になります。

 

糖質制限ではこれらの臓器が頑張って糖質を作ろうとするんです。

 

ですがこの働きは肝臓と腎臓に大きな負担をかけています。

 

仕事に例えると、通常業務があるにも関わらず突然上司から大量の仕事を振られた時、負担がかなり大きいのはイメージできますよね。

 

肝臓は食べた栄養素を貯めておく役割があり、腎臓は身体に必要のない物や余分な塩分を尿として身体の外に出す役割があります。

 

肝臓・腎臓に負担がかかることで上記の役割が果たせず、痩せるどころか疾患のリスクを上げてしまうんです。

 

また、肝臓や腎臓に負担がかかることで消化吸収能力が低下し、食べた物を身体の中で使うことが出来ずに腸内環境を悪くしてしまうこともあります。

 

脂質制限のメリット・デメリット

脂質制限も糖質制限と同じく、メリット・デメリットがあります。

例えば、脂質制限の最大のメリットはご飯やパン・麺類を食べられる、反対にデメリットは体重の減少が緩やかなところです。

他にもメリット・デメリットがありますので是非参考にしてみてください!

 

メリット

脂質制限のメリットは以下の通りです。

  1. ご飯やパン・麺類を食べられる
  2. 和食・定食系の食事ができる
  3. カロリーを減らしやすい

 

①ご飯やパン・麺類を食べられる

糖質を摂れるのが脂質制限最大のメリットと言えるでしょう。

 

ダイエット中は食べてはいけないというイメージがある糖質ですが、脂質制限では糖質が身体を動かすエネルギーとなるので必ず食べる必要があります。

 

ご飯やパン・麺類以外で食べられる食材は、

  • バナナなどの果物
  • さつまいも
  • かぼちゃ
  • じゃがいも

などがあります。

 

糖質を摂れる量については、ご飯を例に挙げると茶碗1杯を3食食べることができるので、1食1食の満足感がかなりあるでしょう。

 

②和食・定食系の食事ができる

和食・定食系の食事は今までで一番食べてきた食事ではないでしょうか。

 

今まで食べてきた食事だからこそ、長く継続しやすいですし、食べ慣れているのでダイエットをしているという気持ちも糖質制限よりないでしょう。

 

また、和食・定食系の食事はタンパク質・脂質・糖質はもちろんビタミンやミネラルといった健康を保つために必要な栄養素を満遍なく摂ることができます。

 

③カロリーを減らしやすい

脂質は1gあたり約9kcalで、タンパク質と糖質は1gあたり約4kcalになります。

 

カロリーを減らすなら、タンパク質・糖質の量を減らすよりも脂質を減らす方がカロリーは簡単に減らすことができるんです。

 

先程もお伝えしましたが、現代では脂質を過剰に摂取している人が多く、それが原因で太ってしまう・痩せない人が多くなっています。

 

ですので、その原因を解消するためには脂質制限がおすすめです。

 

デメリット

逆に脂質制限のデメリットは以下の通りです。

  1. 体重の減少が緩やか
  2. 外食が難しい
  3. ホルモンバランスに影響を与える危険

 

①体重の減少が緩やか

糖質制限に比べると体重の減少はかなり緩やかになるので、モチベーションが低下することが考えられるでしょう。

 

脂肪を落とすにはすごく時間がかかるんです。

その理由としては、脂肪を1kg減らすためには約7200kcal消費しなければならないからです。

1か月で1kgの脂肪を減らすためには、240kcal(7200kcal÷30日=240kcal)のマイナスを作る必要があります。

 

例えば1日1800kcal消費する方の場合なら、1560kcal(1800kcal-240kcal=1560kcal)を1日に摂取する生活を一か月続けることで脂肪が1kg減ると考えられるでしょう。

 

一方で糖質制限では、体内にあるグリコーゲンや水分が減りやすいため体重が早く減るんです。

 

ただ糖質制限で脂肪が大きく落ちるという訳ではありません

 

②外食が難しい

脂質制限は糖質制限に比べて外食をするのが難しくなります。

 

理由は、脂質が多く含まれるものが多いからです。

定食系の食事がおススメですが、野菜炒め定食と聞くとヘルシーでダイエット向きと感じるかもしれません。

 

しかし、炒め物には大量の調理油が使われており1食で脂質20〜30g摂取することになるんです。

 

具体的な例を出すと、定食メニューが多い大戸屋のメニューは大体が脂質20〜30gはあり、多いものだと40gというメニューもあります。

 

外食は脂質が多くなるので、脂質制限中は行けるお店がかなり減ってしまうでしょう。

 

③ホルモンバランスに影響を与える危険がある

脂質はダイエットにおいて悪者と思われがちですが、三大栄養素の1つに含まれており、身体に欠かせない栄養素です。

 

その脂質を過剰に減らすのは危険があります。

 

脂質はホルモンを作る上で欠かせない栄養素になるので、摂取カロリーの20〜25%は摂取するようにしましょう。

具体的なグラム数は、1日に1500kcal摂取する方なら33g∼41gを目安に摂取しましょう。

 

ホルモンを作る以外に、皮下脂肪として、臓器を保護したり、体を寒冷から守ったりする働きもあります。

また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなど、重要な役割を担っています。

 

糖質制限と脂質制限はどちらが効果的?

訪問栄養指導で期待できる効果

結論は、

  • 後でリバウンドしてもいいので短期的に痩せたい場合は糖質制限
  • ゆっくりでもいいのでできる限りリバウンドをせずに痩せたい場合は脂質制限

が効果的でしょう。

 

私が推奨するのであれば脂質制限です。

理由は、糖質が身体を動かすエネルギーとなるため必ず食べる必要があるからです。

 

また、和食・定食系の食事に近づけることができるためタンパク質・脂質・糖質はもちろんビタミンやミネラルといった健康を保つために必要な栄養素を満遍なく摂ることができるので私は脂質制限を推奨しています。

 

糖質制限が向いている人

管理栄養士に向いている人の特徴

あくまで代表的な例ですが、糖質制限が向いている方は次のような方です。

  • 主食よりもおかずが好きな人
  • 外食が多くて調整が難しい人
  • 食事の準備が面倒な人

 

主食よりもおかずが好きな人

ご飯やパン、果物、芋類などをある程度我慢できる方にとって、糖質制限は続けやすいでしょう。

 

ダイエット=脂質は摂ってはいけないと思われますが、糖質制限の場合は糖質に変わり脂質がエネルギーとなるので、脂質を意識して摂る必要があります。

 

そのため、脂質を摂るためにステーキのような脂っこいものを食べることができるので主食よりもおかずが好きな人におすすめです。

 

外食が多くて調整が難しい人

外食の頻度が多い方は糖質制限が向いているでしょう。

 

外食は基本的に脂質が多く、脂質制限の場合は調整が難しいです。

お店選びも大変になり継続するのが困難になると考えられます。

しかし糖質制限の場合は、脂質が糖質の代わりにエネルギーとなるので細かい調整は必要ありません。

 

自炊ではなく外食をしながらダイエットができるので、外食が多い人は糖質制限が向いているでしょう。

 

食事の準備が面倒な人

脂質制限はどの食材にどのくらいの脂質が含まれるのかを把握しなければいけません。

 

しかし糖質制限は、主食のご飯などを半分に減らすだけで制限が可能なので脂質制限に比べて食事について考えることが少なくなります。

 

以上のことから食事の準備が面倒な人は糖質制限が向いているでしょう。

 

脂質制限が向いている人

栄養士と管理栄養士の違い

脂質制限が向いている方は次のような方です。

  • 糖質は必ず食べたい人
  • 我慢強い人
  • 和食が好きな人

 

糖質は必ず食べたい人

糖質はこれまでの食生活の中で一番と言っていいほどよく食べてきたと思います。

 

具体的には

  • ご飯
  • パン
  • 麺類
  • バナナなどの果物
  • さつまいも
  • かぼちゃ
  • じゃがいも

これらの食材がありますが、これを我慢するのは難しいと感じる方はいると思います。

 

そういった方は、無理に糖質制限をする必要はなく脂質制限でのダイエットが向いていると言えるでしょう。

 

我慢強い人

多くの方が好きなケーキやチョコレートは糖質が多く含まれていると思われがちですが、糖質よりも脂質が多く含まれているんです。

 

ケーキやチョコレート以外には、ドーナツやクッキー、菓子パンなども脂質が過剰に含まれるので我慢する必要があります。

 

こういった多くの方が好きなものを完全に避ける必要はないですが、ある程度我慢することができる方は脂質制限が向いているでしょう。

 

和食が好きな人

おかずだけの食事より和食の方が食べ慣れているという方が多いと思います。

 

今までよく食べてきた食事だからこそ、長く継続しやすいですし、食べ慣れているのでダイエットをしているという気持ちも糖質制限より脂質制限の方がないと考えられます。

 

ゆっくりでもいいのでできる限りリバウンドをせずに痩せたい場合は、脂質制限が向いているでしょう。

 

糖質制限と脂質制限は同時にやるのは危険

実は危険!?〇〇制限ダイエット

糖質制限と脂質制限をどちらか一方行うのではなく、両方同時に行うことで痩せやすいのではないかと考える方もいると思います。

 

結論は、中途半端な食事になり痩せ辛くなると考えられます。

 

脂肪が作られる時は「糖質+脂質」が必要になるので、糖質制限と脂質制限をすると中途半端に両方の栄養素を摂ることになり太りやすくなります。

 

中途半端に糖質と脂質を摂ると代謝が低下して太りやすくなるという研究報告があるほどなので同時に行うことはおすすめできません。

 

まとめ

体質改善の資格を取得する際に意識すること

糖質制限と脂質制限にはメリット・デメリットがあり、それを理解した上で行うといいでしょう。

 

途中でもお伝えしましたが、私がどちらかを推奨するのであれば脂質制限を推奨します。

 

しかし、痩せたい理由は人それぞれで結婚式など期限が決まっているダイエットをする人もいるでしょう。

 

ですので、一概にどちらが絶対良いというのはありません。

 

あなたの痩せたい目的によって食事制限の方法を選択していただけたらと思います。

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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