理学療法士になるには養成校に通い国家試験に合格する必要があります。
しかし、養成校も大学だけでなく3年制の専門学校や夜間制の学校があるなど様々な選択肢があり、選択を誤るとあなたの時間やお金を無駄にしてしまう可能性があります。
本記事では理学療法士になるための具体的なステップをわかりやすく解説し、各養成校の特徴と違いを詳しく紹介します。
この記事を読んだらあなたに合った養成校を選べるはずです。
ぜひ最後まで読んでみて下さい!
目次
理学療法士になるには養成校へ通う必要がある
まずはじめに、理学療法士の資格を手に入れるためには理学療法士の国家試験に合格する必要があります。
そして国家試験の受験資格を得るためには最低でも3年以上養成校に通う必要があります。
厚生労働省からも以下のような説明があります。
学校教育法(昭和22年法律第26号)第90条第1項の規定により大学に入学することができる者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得したもの
養成校とは専門学校、短期大学、4年制大学となります。
しかし学校って何が違うの?結局どれがいいの?…わかりませんよね?
それぞれの違いを紹介していきます。
大学(4年制)
大学では専門知識以外に一般教養も学ぶことができ幅広い学びをすることができます。
さらに設備も充実している大学も多く、研究や学習の機会に恵まれています。
また、専門学校同様4年制で学費が高くなりやすいですが、国公立の大学へ進学することで学費を安く抑えることもできます。
専門学校(3〜4年制)
専門学校は大きく分けて3年制と4年制のものがあります。
3年制は早期に資格を取得することができるため、早く仕事をしたい人にオススメです。
4年制はゆとりをもって幅広い分野の勉強をしたい人、大学院への進学や研究分野での活躍を希望する人にオススメです。
それぞれのメリットとデメリットを表でまとめました。
まずは3年制からです。
3年制プログラムのメリット | 3年制プログラムのデメリット |
短期間で資格を取得するチャンスがある | カリキュラムが凝縮されており忙しい |
通学期間が短いため学費が安い | 大学院へ進学できない |
授業期間が短いため集中して勉強できる | 場所によっては4年制より給与が安い |
3年制の場合は詰め込みでの勉強が向いている人が向いている印象です。
また、リハビリの世界は経験値がものを言うこともあるため就職するタイミングが早いということも有益と言えます。
一方で3年制の友人から聞いた話では夏休みなどがほとんどなく遊べない、アルバイトができないと言った忙しいという面もあるそうです。
さらに3年制専門学校を卒業した際に得られる学位は「専門士」というもので大学院への受験資格がないため今後さらに高度な勉強やキャリアを積みたい場合には不利になることも考えられます。
次に4年制です。
4年制プログラムのメリット | 4年制プログラムのデメリット |
基礎知識実技指導まで手厚いフォロー | 通学期間が長いため学費が高い |
大学院への進学ができる | 資格取得まで時間がかかる |
場所によっては3年制よりも給与が高い | 期間が長く、モチベーションの維持が大変 |
4年制の場合は一人で勉強ができない人におすすめです。
学習期間が長いため一つ一つをゆとりを持って勉強できる上、接する時間が長いことで教師や学生同士でのコミュニケーションがとりやすくみんなで勉強をする意識が強いからです。
また、4年制専門学校を卒業した際に得られる学位は「高度専門士」といい、大学卒業を似た扱いとなるため大学院へ進学が可能となり、修士や博士などの学位を取得し研究の道や大学で教鞭を振るうなどのキャリアを視野に入れることもできます。
一方で期間が長いことにより学費が高くなることやモチベーションを保つことができず途中で退学したり卒業がなかなかできない学生も少数ですがいました。
短期大学(3年制)
大きくは3年制の専門学校と違いはありません。
現在資格取得可能な短期大学は全国で「平成医療短期大学(岐阜)」と「大和大学白鳳短期大学部(奈良)」の2校のみとなっています(2024年4月現在)。
卒業時「短期大学士」の学士が手に入りますがその資格では専門士同様、大学院への進学はできません。
学校によりそれぞれ特色があるため一概には言えませんが、個人的には3年制の専門学校や短期大学は社会人で転職として理学療法士を目指す人にオススメです。
また、4年制の大学は学生生活を楽しみながらコツコツ学んでいきたい人にオススメです。
夜間部の養成校はあるが通信制はない
理学療法士の学校は実技科目が多いため通信制の学校は存在しません。
しかし日中仕事をしながらでも通うことができる夜間部(夜間コース)の学校は少数ですが存在します。
仕事をしながら資格取得を考えている方は視野にいれてみるといいでしょう。
注意点としてはカリキュラムに必ず含まれる実習(実際に病院や施設に伺いリハビリ業務を見学したり実施するもの)は昼に行うため、その期間は昼の時間を用意する必要があります。
【関東】
・太田医療技術専門学校(群馬)
・埼玉医療福祉専門学校(埼玉)
・専門学校医学アカデミー(埼玉)
・八千代リハビリテーション学院(千葉)
・専門学校東京医療学院(東京)
・日本リハビリテーション専門学校(東京)
・専門学校社会医学技術学院(東京)
・東京メディカル・スポーツ専門学校(東京)
・首都医校(東京)
【中部】
・中部リハビリテーション専門学校(愛知)
・専門学校星城大学リハビリテーション学院(愛知)
・名古屋医専(愛知)
【関西】
・京都医健専門学校(京都)
・大阪リハビリテーション専門学校(大阪)
・大阪医療福祉専門学校(大阪)
・近畿リハビリテーション学院(大阪)
・大阪医専(大阪)
・履正社国際医療スポーツ専門学校(大阪)
・関西医科専門学校(大阪)
・姫路ハーベスト医療福祉専門学校(兵庫)
【中国】
・福山医療専門学校(広島)
【九州】
・小倉リハビリテーション学院(福岡)
・専門学校麻生リハビリテーション大学校(福岡)
・長崎リハビリテーション学院(長崎)
・九州中央リハビリテーション学院(熊本)
・琉球リハビリテーション学院那覇校(沖縄)
理学療法士になるために必要な費用
養成校選びで期間とともに重要となるのは学費だと思います。
ここでは具体的にどれくらい金額がかかるのか、養成校別にまとめたのでお伝えします。
【養成校別の学費】
・国立大学:約250万円
・公立大学:約230万円
・私立大学:約510万~610万円
・昼間部専門学校(3年制):約390~410万円
・昼間部専門学校(4年制):約510~570万円
・夜間部専門学校(3年制):約300~320万円
・夜間部専門学校(4年制):約410~440万円
また、上記に合わせて教科書代(20〜40万円)や実習費用(0〜80万円)、その他雑費がかかることがあるためある程度多めに見積もっている必要があると思われます。
費用面では国立や公立大学が私立大学や4年制専門学校の半額程ですね。
しかし入試難易度がかなり高いため、入試にかかる費用や労力を考えると一概にオススメとは言えません。
社会人からの転職を考えている場合は昼間部か夜間部の3年制の専門学校が期間と費用を考えるとオススメです。
理学療法士の国家試験合格率は80%
前に述べたように理学療法士になるためには養成校を卒業したうえで国家試験に合格する必要があります。
国家試験の合格率はその年により若干変動しますが平均80%で推移しています。
出典:
厚生労働省 第59回理学療法士国家試験及び第59回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省 第58回理学療法士国家試験及び第58回作業療法士国家試験の合格発表について
厚生労働省 第57回理学療法士国家試験及び第57回作業療法士国家試験の合格発表について
また、国家試験の合格率は新卒と既卒生の間でかなり差が開いていることも特徴です。
新卒は学校や友人との勉強機会が多く、集中して勉強できていることもあり全体平均より高めです。
一方で養成校を卒業してから独学で勉強すると途端に確率が下がってしまいます。
これは独学での受験の難しさを表しており、できる限り養成校でのカリキュラムに沿って学習を進め、新卒時に国家試験合格ができるように早めの対策を意識していきましょう。
理学療法士の就活はそこまで難しくない
ある専門学校では募集は生徒の数の40〜50倍はあるというくらいまだまだ世の中への需要はあります。
では実際にどのような現場で理学療法士が働いているのでしょうか?
日本理学療法士協会が出した統計によると、協会員の約80%が医療機関に就職しています。
病院付属の養成校などではその病院への就職が優遇されるなどもあります。
次いで多いのが介護施設で約15%。
その他障害福祉施設や養成校などの教育現場なども数少ないですが就職している方がいます。
また、近年は一般企業や行政への就職をしたり自ら起業する理学療法士も増えてきています。
このように現状就職先は幅広く、国家試験合格後に就職先が見つからないケースは稀です。
理学療法士の将来性
理学療法士の国家試験合格者は毎年1万人を越えており、かなりのペースで増加傾向にあります。
そのため、先ほど述べたようにまだ世の中の需要はあるとのことですが、着実に需要が今後は低くなっていくことも予想されます。
しかし、今後さらに高齢化が進む世の中であり、AIの台頭にも影響が少ないといわれている仕事のため一定の需要は継続してあると思われます。
そして以前よりも起業する理学療法士が増え、理学療法士としての働くフィールドが広がっています。
現在のニーズは予防分野に傾き始めており、怪我や障害後の復帰よりも機能レベルを落とさないための指導ができる人材が求められているのです。
将来を見据えると、理学療法士として自分はなにができるかという強みを持つことが求められ、そのためにより専門的な知識や技術の習得が重要であると考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
理学療法士になるためにはまず養成校に通い、その後国家試験に合格する必要があることが理解できたと思います。
その中でも養成校選びが重要となりますが、メリットとデメリットをみて自分に合う養成校を探していきましょう!
また、理学療法士の仕事もさらに多様化が進むことが予想され自分の強みを持つことがこれからも理学療法士としての将来を掴む大事な要素となっていくことが考えられます。
理学療法士という資格は更新性ではないため一度取ると一生涯使うことができ、自分のキャリアの中で大きな利点となります。
ぜひ自分に合った養成校選びを行い、素敵な理学療法士となっていきましょう!
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