耐糖能異常を改善するためには「バランスのいい食事」を意識することが重要です。
耐糖能異常を引き起こす原因は脂質の摂り過ぎや炭水化物の摂取量が少ないなど食事のバランスが偏ることにあります。
長期的に炭水化物の摂取が少なくなることで耐糖能異常を引き起こすことが研究でわかっています。1)
また、高脂質食によってインスリンが効きづらくなったり2型糖尿病のリスクを高めるといった研究結果も報告されています。2)
出典:
このように、食事のバランスを改善しなければ、将来的に糖尿病になるリスクが高くなってしまうんです。
しかし、一言でバランスといっても、実際どのように食事を整えていけばいいか迷いますよね。
自分ではバランスがいいと思っている食事でも、実はいろんな栄養素が不足していたり、過剰になったりしているかもしれません。
この記事では、耐糖能異常を改善するための「バランスのいい食事」についてわかりやすく説明していきます。
食生活を変えるために何をすべきか、具体的な行動がイメージできるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
耐糖能異常を改善する食事とは「バランスのいい食事」
冒頭でもお伝えしたように、耐糖能異常を改善するためには「バランスのいい食事」にすることが重要です。
なぜ、バランスのいい食事が耐糖能異常を改善するのか、わかりやすく説明します。
耐糖能異常とは、食べた糖質をエネルギーに変えることができず、血管内に糖質が余ってしまうことで、血糖値が正常に保てなくなっている状態をいいます。
耐糖能異常の原因として、以下の4つが挙げられます。
- 摂取カロリーが少ない
- 炭水化物の摂取量が少ない
- 脂質を摂り過ぎている
- ビタミンやミネラルが不足している
体は糖質をメインのエネルギー源にすることで耐糖能を維持していますが、脂質の摂取量が多くなると脂質をエネルギー源にするので、糖質を処理することができなくなってしまうんです。
また、糖質をエネルギーに変えるには、材料となる糖質に加えて、ビタミンやミネラルなど様々な栄養素が必要になります。
つまり、食事のバランスを整えることができれば、糖質をエネルギーに変える機能も徐々に回復して、結果的に耐糖能異常を改善することができるんです。
しかし最近は、間違ったダイエット情報で過度なカロリー制限や糖質制限をしている人が多いこと、外食チェーンやファストフードの普及により食事が欧米化していることによって、食事のバランスが乱れやすくなっています。
バランスのいい食事の具体的な栄養素の割合は、
炭水化物50〜60%
脂質20〜25%
タンパク質13〜20%
です。
でも、これを食事の度に計算するのって結構大変ですよね。
そこで、栄養バランスが自然に整う食事スタイルが「和食定食」なんです!
食事内容は【ごはん・芋類・おかず・サラダ・味噌汁・果物】です。
これらを揃えるのは大変だと思うかもしれませんが、自炊にこだわる必要はありません。
コンビニであれば、おにぎりやカット野菜、お惣菜の魚、カットフルーツなどですべて揃えることができます。
これならできそうな気がしませんか?
和食定食を意識するだけでも食生活は大きく改善されるので、体に変化をもたらしてくれるはずですよ。
耐糖能についてもっと詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてください!
食事のバランスを整える5つのポイント
食事のバランスを整えるためには、和食定食をベースとして、それぞれの栄養素をまんべんなく摂取する必要があります。
耐糖能異常の人の食事では、炭水化物不足や脂質のとり過ぎ、ビタミン・ミネラルの不足が目立つので、そこを意識して変えていくことが重要です。
以下に、食事のバランスを整えるポイントを5つ紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。
適正カロリーを意識する
耐糖能異常を改善するために、個々に合わせた適正なカロリーを摂ることはとても重要です。
摂取カロリーが多すぎると肥満になりやすく、脂肪細胞が炎症を起こすことでインスリンという血糖値を下げるホルモンが効きにくくなってしまいます。
逆に、摂取カロリーが少なすぎると、体は筋肉や脂肪を分解してエネルギーを作り出すことに集中するので、糖質の代謝が下がってしまうんですね。
摂取カロリーは、多すぎても少なすぎても耐糖能異常を招く原因になるんです。
カロリーを適正化するためには、自分の適正カロリーはどれくらいなのか、自分がどれくらいのカロリー摂取をしているのか、この2つを把握する必要があります。
・自分の適性カロリーを知る
これは、メディカルズ本舗というサイトで、自分の身長・体重・活動量を入力することで簡単に調べることができます。
・実際の摂取カロリーを知る
今は様々なカロリー計算アプリがあるので、食事の内容を入力するだけで、自分が食べた食事のカロリーを知ることができます。
まずは、1週間の平均的な食事の内容を入力してみましょう。
自分が思っているよりも、カロリーの過不足があるかもしれません。
カロリーが把握できれば、自分の適性カロリーに合わせて少しずつ調整してみましょう。
一気に変えてしまうと体に負担がかかるので、1週間に100〜200kcaずつl増減することをおすすめします。
以下にカロリー計算アプリを紹介したので、ぜひ活用してみてください。
・あすけん
目標摂取カロリーや栄養素がグラフで見れるので管理しやすいのが特徴です。
栄養士からのアドバイスがもらえたり、応援メッセージが届きますよ。
・カロミル
食事の写真を登録すると、画像解析してカロリー計算をしてくれる機能があるので、記録が面倒だという人にはおすすめです。
・Finc
こちらも写真でカロリーや栄養素を計算してくれます。
運動や睡眠なども記録することができるので、食事と合わせて体の状態を管理することができます。
炭水化物を食べる
耐糖能異常を改善するために重要な役割を果たすのが炭水化物です。
炭水化物とは、糖質と食物繊維の総称をいいますが、ビタミンやミネラルも含まれているのが特徴です。
糖質をエネルギーに変えるためには、材料となる糖質はもちろんですが、ビタミンやミネラルも欠かせません。
また、食物繊維が含まれていることで、糖質の消化吸収スピードもゆっくりになり、血糖値を上げにくくしてくれるんです。
糖質というと、お菓子やジュースを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、炭水化物とは別物です。
お菓子やジュースの精製された糖質は、食物繊維がないので一気に体に吸収されてしまいます。
また、ビタミンやミネラルなどの栄養素もないに等しいので、糖質はエネルギーに変わることなく血管内に余ってしまい、血糖値を急激に上げることになるんです。
糖質を単体で摂取することは、耐糖能異常を悪化させるので注意が必要です。
炭水化物を抜いている人は、まずは少しずつ食べ始めて、徐々に量を増やすようにしてください。
いきなり増やすと、強い眠気や胃腸症状が出現する可能性があるので、体調をみながら進めていきましょう。
炭水化物を選ぶ時のポイントもお伝えしておきます。
ごはんであれば玄米、パンであれば全粒粉というように、精製されていない食品を選ぶことで、必要な栄養素を効率的に摂取することができます。
また、さつもいもやかぼちゃ、栗なども、栄養価が高く食物繊維も豊富なのでおすすめです。
ただ、これらの食材は、消化能力が弱い人には悪影響となる可能性があるので注意してください。
質のいい炭水化物を食べることで、耐糖能異常を改善する効果が期待できるので、ぜひ取り入れてみてくださいね!
脂質を摂り過ぎない
脂質の摂り過ぎは、耐糖能異常を悪化させる原因になってしまいます。
その理由を詳しく説明していきますね。
脂質を摂り過ぎると、食事全体における炭水化物の割合が減り、メインエネルギーは糖質から脂質へと切り替わります。
この、糖質代謝から脂質代謝へ切り替わる現象をランドルサイクルといいます。
ランドルサイクルが起こると、糖質の代謝回路がブロックされてしまい、糖質をエネルギーに変えることができなくなってしまいます。
エネルギーにならなかった糖質は血管内に余ってしまい、結果的に血糖値を上げてしまうんですね。
つまり脂質を摂り過ぎると、エネルギーの材料となる炭水化物が不足するだけでなく、体が脂質代謝に切り替わってしまうことで、耐糖能異常を悪化させてしまうんですね。
脂質の理想的な割合は、食事全体のカロリーの20〜25%です。
計算方法は【脂質量(g)=全体カロリー✕0.2〜0.25÷9】となります。
まずは1日に摂取できる脂質量を把握しましょう。
脂質はいろんなものに含まれていて、意識することで意外と摂り過ぎていることに気づくかもしれません。
また、肉や魚は種類や部位によって脂質量が大きく異なります。
以下に、食材による脂質量をまとめたので、参考にしてみてください。
肉(100g) | 脂質量 |
豚バラ | 35.4g |
豚肩肉赤身 | 3.8g |
鶏むね肉(皮付き) | 5.9g |
鶏胸肉(皮なし) | 1.9g |
牛バラ肉 | 32.9g |
牛肉かた | 10.9g |
その他食材 | 脂質量 |
サケ(100g) | 4.5g |
サバ(100g) | 16.8g |
ブリ(100g) | 17.6g |
卵1個(52g) | 5.3g |
プロセスチーズ(18g) | 4.68g |
牛乳(200ml) | 7.83g |
出典:カロリーSlism
まずは1日の脂質量を把握し、その範囲内に収まるように食材選びも意識してみましょう。
脂質の摂り過ぎないように心がけることで、耐糖能異常を改善することができますよ。
野菜を食べる
野菜を食べることも、耐糖能異常を改善するためにはとても重要なんです。
野菜には食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。
2-2「炭水化物を食べる」でお伝えしたように、食物繊維は糖質の消化吸収スピードをゆっくりにしてくれる効果があり、ビタミン・ミネラルは糖質をエネルギーに変えるために重要な役割を果たします。
また、食物繊維は腸内細菌のエサとなり、腸内環境を整えるための材料になります。
腸内環境が悪化していると、エネルギーにするための栄養素が吸収できず、耐糖能異常の悪化につながってしまうんです。
このような理由から、耐糖能異常を改善するためには野菜を食べることはとても大切なんですね。
野菜の1日の目標摂取量は350gです。
1食の目安量は、生野菜なら両手1杯分、加熱した野菜なら片手1杯分となります。
しかし、普段から野菜を食べる習慣がない人からすると、ハードルが高いと感じるかもしれません。
また、消化能力が低い人も、野菜を沢山食べることは難しいでしょう。
そういう場合におすすめなのが、スープや具だくさん味噌汁など、汁物にして食べる方法です。
野菜を加熱すると、細胞壁が破壊されることで消化しやすくなるというメリットがあります。
ビタミンは熱に弱いという特性もありますが、全ての栄養素が失われるわけではありませんし、食物繊維を摂取できるという面でも、おすすめの食べ方になります。
自分で野菜を買って準備することが難しい場合は、コンビニやスーパーで売られている千切りキャベツやカットレタスなども活用するといいですね。
また、外食が多くなる時でも、なるべく野菜も一緒に食べられるようなお店やメニュー選びを心がけましょう。
野菜でお腹が満たされることで、食べ過ぎを防いだり、脂質の割合を減らすことに繋がります。
日頃から野菜を摂ることを意識するだけで、食事のバランスも自然と整うことが期待できますよ。
果物を食べる
耐糖能異常の改善スピードを上げる救世主となるのが果物です!
2-3「脂質を摂り過ぎない」でもお伝えしたように、体が脂質代謝になると、ランドルサイクルによって糖質の代謝回路がブロックされてしまいます。
そのため、糖質がエネルギーにならず、血液中に余って血糖値を上げてしまうんですね。
しかし、果物に含まれる糖質(フルクトース)は、このブロックされた部分より先の代謝回路から入ってくるので、止まっていた糖の代謝を回復してくれるんです。
また、果物にはビタミンやミネラルなど、エネルギー産生に欠かせない栄養素が豊富に含まれているので、より糖の代謝を高める効果を発揮してくれるんですね。
果物の1日の目標摂取量は200〜300gです。
多いように感じますが、バナナなら2本、リンゴなら1個、ミカンなら3個とそこまで大変な量ではありません。
値段が高いイメージもあって、毎日食べるのは難しいと思う人もいるかもしれませんが、旬のものを選べばそこまで高価なものではありませんし、バナナやキウイなどは比較的安価で手に入ります。
耐糖能異常を改善するためには、果物を食べない手はないというほど、おすすめの食材になります。
1日1食からでもいいので、ぜひ今の食生活に取り入れてみてください!
耐糖能異常では食べ方も工夫しよう!
食べ方を工夫することによって血糖値の激しい上げ下げを抑えることができます。
これを知っているのと知らないのとでは、耐糖能異常を改善するうえで大きな差が出ます!
耐糖能異常の人が、炭水化物の量を増やしていく過程でぶつかる壁が「低血糖症状」です。
主な症状としては強い眠気や頭痛、吐き気などの体調不良や異常な空腹感があります。
炭水化物を食べるたびにこのような症状に襲われていては、「炭水化物=悪」というイメージを持っている人も多いと思います。
なぜ、炭水化物を増やすことで低血糖症状を起こすのか、簡単に説明しますね。
1章「耐糖能異常を改善する食事とは「バランスのいい食事」でもお伝えしたように、耐糖能異常とは糖質をエネルギーに変える機能が低下している状態です。
炭水化物の量を増やしたからと言って、この機能がすぐに改善するわけではありません。
適正な量の炭水化物を摂っていくことで、時間をかけて徐々に糖質を処理できるようになるんです。
「え?そんな状態で炭水化物を増やしたら血糖値が上がっちゃうじゃん!」と思いますよね?
そうなんです。
しかも、血糖値が急激に上がることで、今度はインスリンという血糖値を下げるホルモンが大量に分泌されます。
すると、一気に血糖値が下がるので、下記のような低血糖症状が現れることがあります。
低血糖症状:異常な空腹感、眠気、頭痛、強い疲労感、いらだち、不安感、めまい、悪心など
このような不調が出ると思うと、炭水化物の量を増やしていくことに恐怖感や不安感がありますよね。
でも大丈夫です!
次に紹介する「食べ方の工夫」を意識することで、血糖値の急激な上昇を抑え、低血糖症状が起こりにくくなります。
すでに炭水化物で不調を感じているという人も、ぜひ取り入れてみてくださいね!
食事回数は1日3食にする
食事回数を1日3食にすることは、耐糖能異常を改善するうえでかなり重要です!
朝ご飯や夜ご飯を抜いて1日2食になっている人も多いのではないでしょうか。
なぜ1日3食がいいのか、わかりやすく説明していきます。
体に溜め込める糖質の量というのは、個人の消化能力や筋肉量、運動量、肝臓や腎臓の機能によって異なります。
耐糖能異常の多くの人は、筋肉量や運動量が少なかったり、脂質過剰の食事によって腸内環境が乱れている場合が多いので、糖質を一度に溜め込める量も少ないことが予想されます。
そこで、1日分のカロリーを2食に分けて摂るとどうなるでしょう?
糖質をエネルギーに変えることができず、筋肉や肝臓にも溜め込めないとすると、血液中に余って血糖値を上げてしまうんです。
また、1日分のカロリーを2食で摂ろうと思っても、女性の場合は量が多くてなかなか摂りきれませんよね。
その結果、2-1「適正カロリーを意識する」でもお伝えしたように、カロリー不足の状態が耐糖能異常を悪化させることになります。
そして糖質だけではなく、その他の栄養素も1回に吸収できる量には限りがあります。
以下に例として、特徴的な3つの栄養素を紹介します。
ビタミンやミネラル、タンパク質なども2食では不足してしまう可能性が高いんですね。
他にも、栄養素によって1回に吸収できる上限量や吸収条件などが決まっています。
そのため、1回の食事で栄養素をたくさん摂ろうと思っても、実際には体に吸収されていない場合があるということです。
以上の理由から、食事の回数は1日3食が理想的といえます。
消化能力が弱い人や筋肉量が少ない人は、4食以上に回数を増やす方がいい場合もあります。
自分の体調に合わせて食事回数を検討してみてくださいね。
野菜から食べ始める
ベジタブルファーストという言葉があるように、血糖値の上昇を緩やかにするためには、野菜から食べ始めることが効果的です。
血糖値は糖質の消化・吸収のスピードが早くなるほど急上昇しやすくなります。
そこで、野菜などの食物繊維を先に食べることで緩衝材のような役割を果たし、炭水化物の消化・吸収をゆっくりにしてくれるんです。
たとえば、ごはんなどの主食を食べる前にサラダや小鉢の野菜から食べ始める、味噌汁に入っているわかめや豆腐から食べ始めるなど、食物繊維を先に摂るように意識してみましょう。
また、果物にも食物繊維が豊富に含まれています。
果物は食後のデザートとして食べるイメージがあるかもしれませんが、血糖値を意識するのであれば食前に食べるのも一つの方法です。
このように、食べる順番を工夫することで血糖値の急上昇を抑え、低血糖症状を起こりにくくすることができます。
外食でも、メイン+サラダなど野菜もセットで注文することで、血糖値を安定させることができますよね。
ぜひ、今日からベジタブルファーストを心がけてみてください。
炭水化物とタンパク質はセットで食べる
タンパク質も炭水化物による血糖値の上昇を緩やかにする効果があるんです。
実際に、タンパク質の摂取が血糖値の変動に直接関与するという研究結果もあります。
出典:
普段の食事であれば、メインのおかず+ごはんはセットですよね?
注意したいのは外食時なんです!
「ラーメン+チャーハン」「うどん+おにぎり」など、炭水化物✕炭水化物の組み合わせにしていませんか?
これだと血糖値が急上昇するのは簡単に想像できますよね。
そこで、メインの炭水化物にタンパク質をトッピングしたり、付け合わせることで、血糖値の急上昇を防ぐことができるんです。
タンパク質を摂るうえで注意すべきことが、脂質を摂りすぎないようにすることです。
ラーメンのチャーシューやうどんの天ぷらなどは、タンパク質が摂れる反面、脂質過剰になりやすいので、できるだけ脂質が少ないメニューを選ぶことがポイントです。
外食でも、少しの工夫で血糖値の上昇を緩やかにすることができるので、ぜひ覚えておいてください。
早食いや大食いはしない
早食いや大食いでは血糖値が急上昇しやすいです。
これは習慣によるものが大きいので、心当たりがある人は注意してください。
早食いでは炭水化物の消化・吸収スピードが速まるので、血糖値も急激に上がります。
つまり、同じ量を食べていても、食べる速さで血糖値の上がり方が変わるんですね。
大食いでは、そもそも摂取する糖質の量が多くなるので、体が処理しきれず血液中に糖質が余って血糖値を上げてしまいます。
また、おかずの量が多くなることで脂質過剰にもなりやすいので、耐糖能異常を悪化させる可能性もあります。
以下に早食いと大食いの対策をまとめたので、参考にしてみてください。
早食いの対策 | 大食いの対策 |
・よく噛む(20〜30回を目安に) ・一口の量を減らす ・飲み込んでから次の一口に移る ・水分で流し込まない ・歯ごたえのあるものを選ぶ ・誰かと会話を楽しみながら食べる | ・おかずは大皿ではなく小皿に盛る ・食器を小さめにする ・野菜や味噌汁などで先にお腹を満たしておく ・ながら食べをせず味わって食べる ・外食の時は控えめに注文して後で追加する (早食いの対策も参考にする) |
食べ方の習慣を変えるのは難しいように思いますが、家族など食事を一緒に食べる人達にも共有して、少しずつ改善していけるといいですね。
外食でもメニュー選びに気をつければ大丈夫!
食事のバランスを整えるというと、外食が多い人にはハードルが高いように感じますよね。
でも、メニュー選びにさえ気をつければ、耐糖能異常を改善することは難しくありません!
下記に外食をするときの3つのポイントを紹介するので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
和食定食を選ぶ
和食定食を選べば食事のバランスは自然と整います。
外食ではカロリー表記されているお店は増えていますが、栄養素まではわかりませんよね。
お店のホームページを見れば、メニューの栄養成分が記載されている場合もありますが、毎回確認するのは現実的ではありません。
1章「耐糖能異常を改善する食事とは「バランスのいい食事」」でもお伝えしたように、和食定食であればPFCバランスを細かく計算しなくても、食事のバランスを整えることができるんです。
そのため、お店選びのときには、定食屋さんをチョイスできれば理想的です。
しかし、外出先で定食屋さんが見当たらないことも多いですよね。
そんな時はファミレスがおすすめです!
なぜなら
- 和食メニューをおいている店も多い
- サラダがある
- 単品メニューが豊富で組み合わせやすい
など、食事のバランスを整えやすいメニューになっているからです。
逆に避けたいお店としては
- サラダなどの野菜が食べられない
- メニューのレパートリーが少ない(栄養素が偏る)
- 食べ放題メニューのお店
などが挙げられます。
外食でもできるだけ定食スタイルを意識することで、日々の食事のバランスを整えて行けるといいですね。
脂質が少ないメニューを選ぶ
耐糖能異常を改善するためには、脂質が少ないメニューを選ぶことが重要です。
2-3「脂質を摂り過ぎない」でもお伝えしたように、脂質の摂り過ぎにより体が脂質代謝へと傾くことで、糖質をエネルギーに変えることができなくなるんです。
つまり、外食で脂質が多いものを取り続けると、知らず知らずのうちに耐糖能異常が悪化してしまうんです。
今では日常的に食べられているものですが、実は栄養バランスがかなり偏っているんです。
お店の回転が速く並ばずに入れたり、提供時間が早いことから、お昼休憩に利用しやすいなどのメリットもありますが、健康のためにはなるべく回数を減らしたいところですね。
麺類はそばやパスタがおすすめ
麺類が食べたい時は、そばやパスタがおすすめです。
耐糖能異常の人は、血糖値を急激に上げない食材を選ぶ必要がありますが、そばやパスタは、麺類の中でも血糖値を上げにくいんです。
食後血糖値の上昇度合いを表す「GI値」を比較してみましょう。
食品 | GI値 |
---|---|
うどん | 80 |
パスタ | 65 |
そば | 54 |
中華麺 | 50 |
意外にも中華麺のGI値が低いことにお気付きでしょうか。
これは麺の表面が油でコーティングされていて、糖質の消化酵素であるアミラーゼとの接触が減ることが理由と考えられています。
しかし、ラーメンは先ほどもお伝えしたように、脂質過剰になりやすいのでなるべく避けましょう。
うどんはGI値がダントツで高いので、耐糖能異常の人にはあまりおすすめしません。
パスタはデュラムセモリナというタンパク質を多く含む小麦粉で作られていて、食物繊維も豊富なのでGI値が低くなります。
ソースによっては脂質過剰になる場合があるので、和風パスタなどを選ぶと良いでしょう。
そばもパスタと同じく食物繊維が豊富なのでGI値が低く、ヘルシーに食べられるのでおすすめです。
ただし、天ぷらなどを付け合わせることで脂質過剰になったり、小麦粉により血糖値を上げてしまう可能性があるので注意しましょう。
外食の選び方について3つのポイントを紹介してきました。
これを意識するだけで、耐糖能異常を改善する近道になるはずです。
自炊する時間がない人も、外食を活用してバランスのいい食事を目指しましょう。
運動も組み合わせると効果UP
これまで食事についてお話してきましたが、運動も組み合わせることで耐糖能異常の改善効果は格段に上がります!
血糖値が上がると、インスリンという血糖値を下げるホルモンが膵臓から分泌されます。
糖質が脂肪細胞に入るには「GLUT4」という輸送体(糖質が細胞に入るための入口)を通る必要がありますが、インスリンはこのGLUT4を細胞の外まで移動させるという役割を果たします。
この結果、糖質が細胞に取り込まれて血糖値が下がるという仕組みです。
耐糖能異常の人は、このインスリンが効きづらくなっている状態で、これをインスリン抵抗性といいます。
運動には、このインスリン抵抗性を改善してくれる効果があるんです。
そのメカニズムについて詳しく説明していきますね。
少し難しい話になるので、そこまで詳しく知らなくていいという人は読み飛ばしてください。
耐糖能異常の人は、内臓脂肪が多く蓄えられている場合が多いです。
内臓脂肪とは、お腹周りの内臓の周りについた脂肪のことですが、これは太っている人に限りません。
一見痩せている人でも、実は内臓脂肪が蓄積している「隠れ肥満」の可能性があるんです。
内臓脂肪には「細胞が肥大化する」という特徴があり、肥大化した脂肪細胞はTNF‐αやIL-1βなどの炎症物質を出します。
慢性的に炎症を起こしていることで、インスリンが脂肪細胞に作用できず糖質を取り込めなくなってしまうんです。
そこで、インスリンの代わりとなるのが運動です。
運動にも、先ほど説明したGLUT4を血管の近くまで移動させる作用があります。
インスリンとメカニズムは異なりますが、結果的に糖質を細胞に取り込んで血糖値を下げる手助けをしてくれるんです。
少し難しい話になりましたが、耐糖能異常の人でも運動をすることでインスリン抵抗性を改善できるということが、おわかりいただけたでしょか。
ではどんな運動が効果的なのか、気になるところですよね?
実は、なんでもいいんです!
有酸素運動でも筋トレでも運動全般に効果があることがわかっています。
出典:
運動習慣がない人には難しく感じるかもしれませんが、わざわざジムに行ったりランニングをする必要はありません。
耐糖能異常を改善するためには毎日継続することが重要です。
自宅でできる「ながら運動」やスクワットを、まずは5〜10回など達成できそうな回数で始めてみることをおすすめします。
まとめ
耐糖能異常を改善するには、食事や運動の生活習慣を変えていく必要があります。
習慣を変えるのは簡単なことではありませんが、今日お伝えした内容でなにか一つでもできそうなものがあれば、取り入れて続けてみてください。
スモールステップでひとつずつクリアしていくことで、半年後、1年後には体に大きな変化が起こっているかもしれませんよ。
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