腸内環境の改善に必要な食事!3つのポイントとおすすめレシピを紹介

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

「腸内環境を整えよう!」

「腸内環境のためは○○を積極的に食べましょう!」

このような呼びかけをよく耳や目にすることが多くなりました。

 

「私の腸内環境は大丈夫かな?」

「体調がすぐれないのは、もしかしたら腸内環境が悪化しているのでは?」

そう不安に感じたり、実際に便秘や腹痛などの症状で腸内環境が良くないと感じている人もいると思います。

そして、その改善には食事が関係していることも今や広く知られています。

 

私たちが生活していくうえで、整った腸内環境を日々保つことは非常に大切です。

なぜなら、腸内環境はお腹だけの問題ではなく、体全体そして心にまで大きな影響を及ぼすからです。

そのためには、食事内容を整え、日々悪化させないよう気を付けて生活することが重要です。

 

では、食事に気を付けるとはいえ、どのような点を意識すればよいのでしょうか?

 

本記事では、腸内環境の改善に向けての取り組み、とりわけ食事に関して詳しく解説していきます。

食事について改善すべき点はもちろんですが、おすすめのレシピも具体的にご紹介し、だれでも気軽に取り組める内容となっていますので、是非参考にしてください。

 

腸内環境を改善するには食事が不可欠

みなさんは、なぜ腸内環境が悪化すると思いますか?

腸内環境の改善が必要な状況になるには、いくつかの原因が考えられます。

  • 加齢
  • 高脂肪食や食物繊維不足、高タンパク食などの食事
  • アルコール過剰
  • 喫煙
  • 運動不足
  • ストレス
  • 生活環境
  • 睡眠不足

などが主な原因とされています。

 

では、これらをすべて見直さないと腸内環境は改善されないのでしょうか?

 

腸内環境を改善するには、悪化した原因を解決する必要があります。

食事が原因で環境が乱れてしまっている場合は、その食事を見直す必要があるということです。

今回は、腸内環境に大きな影響を与える食事について詳しくみていきます。

 

そもそも、腸内環境はどのように維持されているのでしょう?

 

腸内には善玉菌・悪玉菌・日和見菌と呼ばれる腸内細菌が住んでいます。

これらの細菌は私たちの摂る食事内容により、そのバランスが変わります。

 

「善・悪」という名がついてはいるものの、善玉菌ばかりが多くても支障が出ますし、悪玉菌が少なすぎる状態も良くありません。

大切なのは「バランスがとれている状態」であることなのです。

 

また、これらの腸内細菌は私たちが食べた食物をエサとして様々な活動を行います。

 

このことから、私たちの食べるものが腸内細菌の状態を左右することが分かります。

つまり、腸内環境を悪化させる要因は様々ですが、改善するための取り組みとして「食事を見直す」ということが近道であるということなのです。

 

腸内環境の状況を把握する方法

腸内環境と食事の関係性を理解したところで、次に

「自分の腸内環境はどのくらい悪化しているのだろう?」

「腸内環境を改善しないといけない程度なのかどうなのか分からない」

と気になる方も多いかと思います。

 

腸内環境が実際にどのような状況なのかを調べる方法はいくつかあります。

医療機関で精密検査を受ける方法や、検査キットなどを用いて専門機関に提出して調べる方法など様々です。

最新の検査では遺伝子を解析して調べるという方法まであります。

 

このように、より正確に調べるとなると、医療機関に行ったり、高額な費用が必要だったりと大変で、逆に調べる気が失せてしまうことにもなりかねません。

 

ですので、一度下記の設問に答える形での方法を試してみてください。

より簡単な方法として、症状から腸内環境の状況を判断できる内容となっています。

 

  • 毎日排便があるわけではない
  • 便の形はバナナ状ではない
  • 口臭が気になることがある
  • 体臭を感じる時がある
  • アレルギーがある
  • 肌荒れが気になることがある
  • 胃腸の重さを感じることがある
  • 原因不明の体のだるさなどを感じることがある

 

チェックの数が多いほど、腸内環境が悪化している可能性が高い状況だと言えます。

全てが腸内環境が原因で起こる内容というわけではありませんが、その可能性が高いのも事実です。

 

次からご紹介する食事の内容などを読んでいただき、改善に取り組んでいただければと思います。

 

腸内環境を悪化させる食事の特徴

腸内環境が悪化している状態とは、前述したように「腸内細菌バランスが乱れている状態」です。

その多くの場合、悪玉菌が優位になっている状態が考えられます。

ここでは、この悪玉菌が優位になってしまう食事はどのようなものなのか、3つの特徴に分けて詳しく解説していきます。

 

脂質の摂取量の多い食事

ここ数年で、日本人の食事内容はかなりの速さで変化してきています。

昔はお米と魚中心の和食のみの食スタイルだったところから、戦後より食の欧米化が進み、肉や揚げ物など油の摂取量が格段に増えています。

 

今や若い世代を中心に脂質の摂り過ぎが問題とさえなるようになってきました。

 

では、なぜ脂質の摂り過ぎが、腸内環境を悪化させてしまうのか、詳しく見ていきましょう。

 

腸内細菌が理想的なバランスを保っている場合、腸内は酸性の状態です。

この状態では悪玉菌は増殖しません。

 

しかし、このバランスが崩れ、悪玉菌が増殖すると腸内はアルカリ性の状態となります。

つまり、腸内がアルカリ性に傾くと、悪玉菌が増殖すると言えます。

 

脂肪分の多い肉や揚げ物など油脂を多く含むものは体内をアルカリ性に傾ける特徴があります。


上のグラフを見ていただくと分かるように、年々脂質の摂取量は増えています。

 

先ほども述べたように、欧米式の食事が日本でも定着してきていますが、このような食事は特に脂肪分の多い食材が多い為、悪玉菌を増やしてしまう要因となります。

 

また、インスタント食材や冷凍食品などの加工品や市販のお菓子類などにも油脂が多く含まれています。

 

ですので、上に上げたような食材を日常的に摂取している場合、腸内がアルカリ性に傾き悪玉菌が増殖しやすい状態へとなります。

 

下の表は、厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」で、食事全体に対する脂質の適正な割合を表しています。

こちらを参考に、脂質の適正な摂取量を確認してみてください。

 

タンパク質摂取量の多い食事

腸内がアルカリ性に傾くことで悪玉菌が増殖することを指摘しました。

実は、タンパク質を摂りすぎても腸内はアルカリ性に傾いてしまいます。

 

さらに、タンパク質の場合、摂りすぎると腸内で腐敗を引き起こします。

腐敗したタンパク質は悪玉菌の大好物で、それをエサとして増殖するのでさらに悪玉菌が増えて腸内細菌のバランスがどんどん崩れるという負のサイクルが起きていくのです。

 

最近では、

「体を構成するものはほぼタンパク質。だからタンパク質質はたくさん摂らないといけない。」

という理論を掲げて、たんぱく質の摂取を促す報道やSNS発信をよく見かけます。

 

確かに私たちの体にはたんぱく質が必要です。

だからと言って、たんぱく質ばかりに偏る食事をしてしまうと、体にとっては良くない結果をもたらしてしまいます。

下に厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」として、適正なタンパク質摂取量を載せています。

また、個人により活動量が異なるので、活動や運動量別の表も併せて載せています。

これらを参考に、タンパク質の摂取量を確認してみてください。

 

食物繊維の摂取量の少ない食事

「腸活のためには食物繊維のものを食べましょう」

という内容を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

 

私たちが食物繊維を食べると、消化されることなく腸まで届き、腸内細菌の中でも善玉菌のエサとなります。

食事の中で食物繊維を含む食材を定期的に摂ることで、善玉菌にも絶えずエサが行き届き、腸内細菌のバランスも保たれます。

 

しかし、昨今の日本人の食事内容は食物繊維が不足しているとの報告がされています。

下の2つの表は厚生労働省の調査によるもので、日本人の食物繊維の平均摂取量(左表)と食物繊維摂取基準量(右表)です。

10代以降のすべての年代において食物繊維の摂取量が不足していることが分かります。

食物繊維を含む食材として、穀物や野菜、キノコ類、果物、豆類、海藻類などがあります。

「本来の日本の食事=和食」は、これらの食材が満遍なく使われています。

しかし、最近では食の欧米化が進み、これらの食物繊維を含む食材を日常的に摂取する機会が減ってきているのです。

 

また、数年前からダイエットの定番として位置づけられている「糖質制限」では、主食であるお米を控えるようになっており、穀物を食べるという習慣がない人もいます。

制限までしていなくても、「お米を食べると太る」といったイメージから、無意識に量を減らしてしまっているパターンもあります。

 

このような食生活を送っていると、食物繊維の摂取量が少なくなります。

 

そのため

「善玉菌のエサが不足して腸内細菌バランスが乱れる⇒腸内環境が悪化する」

という流れができてしまっているのです。

 

腸内環境を食事で改善する3つの方法

あなたに合った食事指導を選ぶ3つのポイント

ここまで、腸内環境を悪化させてしまう要因や食事との関連性などについて詳しく解説してきました。

食事が大切な点をお伝えしていますが、ここからは、どのような点について見直していくのが良いのか、一緒に確認していきましょう。

 

PFCバランスを整える

3章「腸内環境を悪化させる食事の特徴」で腸内環境を悪化させる原因3つについて解説しました。

このことから、食事内容の偏りが腸内環境を悪化させる可能性がある、ということがお分かりだと思います。

ですので、改善としてはまず食事のバランスを整えることが必要です。

 

私たちの体は食べたもので構成されています。

 

その際に重要視されるのが「栄養素」であり、体を構成する大切な3つの栄養素があります。

  • たんぱく質(protein:P)
  • 脂質(fat:F)
  • 炭水化物(carbohydrate:C)

これら3つのバランスがとれていることが大切です。

 

そして、その理想的な構成比を、それぞれの頭文字をとって「PFCバランス」と言います。

 

上で述べたような、

「脂質の多い食事」「たんぱく質の多い食事」「食物繊維の不足した食事」

というのはこのPFCバランスが乱れた状態です。

 

【PFCバランスが乱れている=腸内細菌のバランスが崩れている=腸内環境悪化】

となることがお分かりだと思います。

ですので、PFCバランスの整った食事を摂ることは、腸内環境の改善には非常に大切となります。

 

では実際にPFCバランスはどのくらいにするのが良いのでしょうか?

目安となる割合は以下のようになります。

  • P:たんぱく質…13~20%
  • F:脂質…20~25%
  • C:炭水化物…50~65%

 

食事全体から見て、たんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれが、この数値内に収まるような食事内容にすることが、「バランスの取れた食事内容」であるとされています。

 

PFCバランスを把握できたところで、次は実際の食事に活かしていく必要があります。

今や様々なアプリが開発されているので、食事バランスを図れるようなものもあります。

 

ですが、アプリによってその設定が様々であったり、使い勝手が自分に合うかどうかという相性の問題もあります。

簡単に把握する程度であれば、アプリの利用は手軽で良いです。

 

もっと詳細まで管理して進めていきたい場合には、「カロリーSlism」というカロリー計算のできるサイトを利用されることをおすすめします。

 

この方法は、食べた食材や調味料などを入力し、その食事で摂れる栄養素やバランスを見ていく、というものです。

慣れるまでは、入力する作業は手間に感じるかもしれませんが、その作業で自分がどのようなものを口にしているのかの傾向がつかめます。

摂取した栄養の状態やPFCバランスの把握だけでなく、自分の食生活の傾向を把握することができるので、食事の改善にはもってこいの方法と言えます。

 

カロリーSlismに関しては、こちらに載せていますので、是非参考にしてみてください。

 

【参考:カロリーSlism

 

野菜・果物・穀類を意識して食事に取り入れる

腸内環境を悪化させる原因の一つに、食物繊維不足がありました。

 

前述したように、食物繊維は腸内細菌の中でも善玉菌のエサとなります。

悪玉菌が増殖して環境が悪くなってしまった腸内を改善するには、このエサを増やして、善玉菌を増やしてあげる必要があります。

 

そのために、食物繊維を含む食材を積極的に食事に入れて食べていくことが、腸内環境の改善につながります。

 

炭水化物には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。

そのうち、善玉菌のエサとなるのは水溶性食物繊維の方です。

 

水溶性も不溶性もどちらも体には必要なものですが、食材によって含まれている食物繊維の種類は異なりますので、どの食物繊維が何の食材に含まれるのかを把握しておくことは大切です。

 

なぜなら「良好な腸内環境のためと思って摂っていたら不溶性食物繊維ばかりを一生懸命摂っていた」

ということになりかねないからです。

 

水溶性食物繊維を多く含む食材を挙げると

  • 穀物類:大麦、もち麦、オートミールなど
  • 野菜類:玉ねぎ、大根、ごぼう、にんじん、オクラ、にんにく、らっきょう、
        エシャロットなど
  • 果物類:キウイフルーツ、プルーン、アボカド、パパイヤなど
  • 豆類:大豆、納豆、おから、インゲン豆など
  • 芋類・さつまいも、里芋、こんにゃくなど
  • 海藻類:わかめ、昆布など

などがあります。

 

これらの食材を意識して、日々の食事に取り入れていくことが、腸内環境の改善につながります。

 

こちらも前述しましたが、特に最近では穀物「お米」の摂取量が減少傾向にあります。

「炭水化物」に分類されるお米ですが、食物繊維の摂取には非常に効率的な食材です。

 

白米を炊く際に、上にあげたような大麦やもち麦を少量加えて「麦ごはん」として食べることで、水溶性食物繊維の摂取量をさらに増やすことができ、腸内環境の改善に繋がります。

 

アルコールの摂取を適正な量にする

本記事の初めに、腸内環境悪化の原因の一つとして「アルコールの過剰摂取」を挙げていました。

アルコールは適切な量を守って楽しむには良いですが、その量が増えて過剰となると、やはり腸内環境に悪影響を及ぼします。

 

米国国立衛生研究所(NIH)の研究によると、

「アルコールの過剰摂取により、腸内で毒性の強い細菌が増えて腸内細菌バランスを悪化させてしまう恐れがある」とされています。

アルコールを摂取し過ぎると、腸内細菌の中でも悪玉菌が増え、腸内細菌バランスが崩れてしまうのです。

 

さらに、腸内細菌自体がアルコールを作り出したり、その分解にも影響しています。

健康な人であれば、腸内で作られたアルコールは速やかに分解されて無毒ですが、腸内細菌バランスが乱れてしまっている場合、分解することができません。

 

私たちがお酒を飲むことで、体内に入ったアルコールは消化吸収を経て、肝臓で解毒されます。

腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化している場合は肝臓においてもこの解毒がうまくいかず、肝臓の負担が大きくなります。

その繰り返しにより、体内において数多くの重要な役割を果たしている肝臓の働きが低下し、体全体の不調につながっていくのです。

 

アルコールは、適度に摂取することで血行が良くなり、胃腸の動きを活発にしたり、消化酵素の分泌を促すなど良い効果があります。

この食欲増進効果から、食前酒という習慣もあります。

 

しかし、腸にとっては刺激物であることには違いはありません。

厚生労働省によると、生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を、男性では40g(2合)以上、女性では20g(1合)以上としています。

 

純アルコール20g(1合)というと、

  • 日本酒:180ml(度数15%)
  • ビール:500ml(度数5%)
  • 焼酎:110ml(度数25%)
  • ワイン:180ml(度数14%)
  • ウイスキー:60ml(度数43%)
  • 缶チューハイ:500ml・350ml(度数5%・7%)

という目安が示されています。

これはあくまでも目安ですので、くれぐれもアルコールを飲む際は気をつけましょう。

 

自分にとっての適量を把握し、また休肝日を設けるなど工夫をして楽しめる程度に取り入れていきましょう。

 

出典:

 

腸内環境を改善する大きなメリット

ここまでは、腸内環境が悪化する原因やその改善策について食事を主軸に解説してきました。

この章では、そのようにして腸内環境を改善するとどのようなメリットがあるのか、という点について詳しく解説していきます。

 

免疫力が向上する

私たちの体は常に「外敵=病原菌やウイルス」にさらされています。

その外敵から体を守るために免疫システムが働いていており、免疫細胞がその役割を担っています。

この免疫細胞の多くが腸内に存在していることが分かっています。

 

つまり、腸内環境が整っていると、免疫システムが整っていることになります。

逆に言うと、腸内環境が悪化している状態では、免疫力は低くなってしまい、体は風邪など疾患にかかりやすい状態であると言えます。

 

先ほど、腸内の善玉菌は水溶性食物繊維をエサとして増殖している、ということをお話ししました。

実は、その先に大切な役割があります。

 

エサを食べた善玉菌は、「短鎖脂肪酸」という物質を作り出します。

この短鎖脂肪酸は、大腸のバリア機能を強めて病原菌の増殖を防いだり、炎症を抑える効果があります。

 

腸内環境を改善するために食物繊維、とりわけ水溶性食物繊維を積極的に摂取することで、腸内環境が改善されるだけではなく、免疫システムを整えることに繋がります。

その結果体の免疫力が上がることとなるのです。

 

腹部症状が改善される

腸内環境が悪化することで、便秘や下痢に悩まされるケースは少なくありません。

なぜ腸内環境が悪化すると、このような腹部症状に悩まされることになるのでしょうか?

そのメカニズムを見ていきます。

 

何らかの要因で腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が優位な環境になると、悪玉菌の出す毒性物質により、腸の蠕動運動が正常に働かなくなります。

蠕動運動が弱まったり過剰になってしまうと、水分を吸収するという大腸の働きが正常に行われなくなるため、便秘や下痢を引き起こすこととなってしまいます。

 

また、先ほどもお話した善玉菌の作り出す短鎖脂肪酸も、便秘や下痢などの腹部症状との関連があります。

短鎖脂肪酸は「酸」のため、アルカリ性の環境を好む悪玉菌の増殖を減らすこととなります。

つまり、短鎖脂肪酸がたくさん作りだされることで、悪玉菌の数が減り、腸の蠕動運動の働きが正常に保たれる、ということになります。

 

さらに、この短鎖脂肪酸は大腸のエネルギー源となります。

大腸にエネルギーが行き渡ることで、蠕動運動が正常に行われるので、良い便を排泄できるという流れができます。

 

このように、やはり腸内環境が改善されて腸内細菌のバランスが保たれると、便秘や下痢などの腹部症状が改善されることが分かります。

 

代謝が改善される

私たちは、食べ物を食べてそれをエネルギー源に変えることで、日々生活を送ることができます。

 

食べたものが口から食道や胃などの消化器官を経て、小腸に送り込まれると、さらに消化しやすい形に変えられて栄養分として吸収されます。

小腸の腸壁から吸収された栄養分は血管を通って肝臓に行き、そこからさらに血液に乗って全身に運ばれてエネルギー源となります。

 

この「食べたものがエネルギーに変えられる工程」を代謝と言います。

 

この工程の中で小腸が登場しましたね?

エネルギーを作り出す過程の小腸の腸内環境が悪化している場合どうなるでしょうか?

 

消化吸収という役割をきちんと果たすことができないと、いくら正しい食事をしたところで、すべてがエネルギーに変えられることにはなりません。

結果として、体がエネルギー不足となり、体のあちこちに不調が現れることにもつながります。

 

ですが、たとえ今腸内環境が悪化しているとしても、改善に取り組んで腸内環境が整えられたとすれば、代謝は必ず改善されます。

 

そのために、腸内細菌のバランスを整える食事をコツコツと摂り続けることが大切です。

 

腸内環境を整えるためのおすすめレシピ3選

腸内環境を改善する為に3つの方法を上でご紹介しました。

その中でおすすめする食材についても触れました。

 

ここからはご紹介したことを実際にどのように食事に取り入れるか、という実践方法をお伝えしていきます。

3つのお食事をご紹介しますので、是非参考にしてみてください。

 

➀朝から改善!オーバーナイトオーツ 

材料1人分
ヨーグルト100g
オートミール20~30g
バナナ1/2~1本
お好みの甘味(麹の甘酒がおすすめ)適量

 

【作り方】

  1. ボールにヨーグルトとオートミールを入れてよく混ぜ、ラップをして冷蔵庫に一晩おく。
  2. 翌朝スライスしたバナナとお好みの甘味をトッピングして完成。

(冷たすぎるときは600W電子レンジで30秒程あたためる)

 

前の日の晩から用意して、翌朝トッピングするだけなのに、朝から腸内環境を整えることに繋がります。

オートミールもヨーグルトもバナナも全て腸内環境を整える食材です。

また、お好みの甘味を麹由来の甘酒を使用するとさらに腸内環境を整える食材をプラスすることができます。

 

お好みでシナモンパウダーをふっても美味しくいただけます。

 

②食物繊維たっぷり!具沢山味噌汁

材料1人分
にんじん5g
大根5g
たまねぎ5g
ごぼう5g
れんこん3g
えのきだけ3g
こんにゃく3g
豆腐20g
乾燥ワカメ適量
味噌適量
だし汁180cc
料理酒大さじ2

 

【作り方】

  1. にんじんと大根は拍子切り、玉ねぎは薄切り、ごぼうは斜め薄切りにする。えのきだけは根元を落として3㎝幅に切り、こんにゃくは一口大より小さめに手でちぎっておく。豆腐は1㎝角に切る。
  2. 鍋に料理酒大さじ2を入れ、えのきだけ、たまねぎ、大根、ごぼう、にんじん、こんにゃくの順に重ねて入れて分量外の塩をひとつまみ振る。
  3. 蓋をして弱火でにんじんに火が通るまで蒸し煮にする。
  4. だし汁を加えて沸騰直前で火を止め、豆腐とワカメを加えて味噌を溶き入れる。

 

水溶性食物繊維を多く含む食材を野菜だけでなく海藻やこんにゃくなどふんだんに入れ、さらに豆腐というたんぱく質も適度に入れたお味噌汁です。

さらに、水溶性食物繊維を多く含むもち麦をお米(ごはん)に混ぜて、朝食や夕食に取り入れると、それだけで手軽に腸内環境を整えることにつながります。

 

③手軽で美味しいアボカド納豆丼

材料1人分
もち麦入りごはん丼1杯分
アボカド1/2玉
納豆1パック(40g)
ミニトマト2個
醤油(醤油麹)少々
野菜の糠漬けお好みで

 

【作り方】

  1. アボカドは種を取り除いてさいの目に包丁で切れ目を入れ、スプーンで身をくりぬき、ミニトマトは1/4カットしておく。
  2. 丼にごはんをよそい、納豆・アボカド・ミニトマトの順に盛り付けて醤油(醤油麹)をかける。
  3. お好みで野菜の糠漬けを添える。

 

白米では水溶性食物繊維の摂取が不足しがちなのでもち麦をプラスし、更に水溶性食物繊維豊富なアボカド・納豆を合わせることで、腸内環境の改善を強化しています。

醤油の代わりに醤油麹や野菜の糠漬けを合わせて食べることでさらに善玉菌を増やす要素が増えます。

②のお味噌汁と一緒に食べるのもおすすめです。

 

腸内環境の変化が見られるのはどのくらい?

ここまで、腸内環境を改善するための方法などについても詳しくお伝えしてきました。

取り入れると良い食材や改善の際のポイントなどを参考に食事を見直し、日々コツコツと取り組んだ場合、どのくらいで改善されるのか、気になるところです。

 

腸内環境を整える食材を積極的に摂取した場合、その効果を実感できるまでには、早くても数週間かかると言われており、一般的には約2~3ヵ月とされています。

 

ですが、人によってその改善期間は異なります。

なぜなら、人によって腸内環境の悪化度合いが異なり、その改善内容や方法も様々だからです。

 

実際に私も栄養指導する中で、食事内容を見直し始めて1か月という短期間で改善される場合もあれば、半年たっても改善が見られない、など様々なケースを見てきました。

 

腸内環境を司る腸内細菌のバランスは、1日2日食事を変えたところではなかなか変えることは難しいです。

バランスの取れた状態で腸内細菌を腸内に定着させ、さらにそこから必要な菌を増殖させていくにはある程度時間を要します。

 

ですので、かかる期間だけで改善されているかの判断をおこなうのではなく、他の確認要素も知っておくと良いでしょう。

 

腸内環境が改善されたかどうかの確認方法としては、以下のようなものがあります。

  • 便の状態が良くなる(便秘や下痢の回数が減る)
  • お腹の張りが収まってくる
  • 疲れにくくなる
  • 睡眠の質が上がる(中途覚醒の回数が減る、目覚めが良くなる)
  • 肌の調子が良くなる
  • ポッコリお腹がスッキリしてくる

 

このような変化がみられるようになってくると、少しずつ腸内環境が整ってきていることになります。

 

この中でも特にチェックしやすいのが「便の状態」です。

便は健康のバロメーターともいわれており、その色や硬さ、量によって腸内環境の状態を判断することができます。

 

理想の便はバナナ状で、茶色すぎない、ほど良く黄色と言われています。

色や硬さや量だけでなく、排便自体の回数も含めてチェックし改善度合いを見ていくことをおすすめします。

 

まとめ

まとめ

ここまで、腸内環境に関して詳しく解説を行ってきました。

 

「なぜ食事を改善することが大切なのか」という内容に始まり、腸内環境を悪化させる原因やそれを改善するために取り入れるべき食事内容などについて段階的に見てきたので、皆さんも取り組み方が何となくイメージできてきたのではないでしょうか?

 

「明日の食事から改善してみようかな」

「○○が終われば時間がとれるから、それから食事を見直してみよう」

そう思われる方が多いです。

 

ですが、食事は毎日定期的にとる方がほとんどです。

日々習慣化しているものほど、「いついつから」と先に設定してしまうと、先延ばしになる一方です。

 

なるべく早く改善したいと思われるのであれば、今が一番早い取り組み時期です。

まずは、これまでの食事内容がどのようなもので、どこを改善する必要があるのかを見直してみましょう。

そして、次に食べる食事から、何を足して何を引くのが良いのかを考えて、美味しくいただきましょう!

 

体は正直で裏切りません!

きっと腸内環境を改善したい、という日々の地道な取り組みが、あなたの健やかな腸内環境を作り上げてくれるでしょう。

一般社団法人臨床栄養医学協会

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