栄養学とは、食事や食品、その成分である栄養素がどのように生物の中で利用されたり影響しているかを研究する、栄養に関する学問です。
栄養学を学ぶには、大学や短大・専門学校に通うのがおすすめです。
大学か短大・専門学校を選択するには、目的によって異なります。
詳細に学びたい分野があったり、将来的にどんな仕事に就きたいかによって、進学先を選択することが大切になってきます。
栄養は人が生きるうえで不可欠かつ身近なものです。
生きていくためだけではなく、不調を改善したり美容にも関係する素晴らしいものなのです。
ここでは、栄養学を学びたいと思っているあなたが失敗しない方法をご紹介いたします。
栄養に関する資格や民間資格、就職先までご紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
栄養学とは
栄養学とは、食事や食品、その成分である栄養素がどのように生物の中で利用されたり影響しているかを研究する、栄養に関する学問です。
食品学・栄養学・調理学の知識を総合的に身につけ、人間の体のしくみを理解し、健康管理の方法について学びます。
栄養素がわたしたちの体に与える影響だけではなく、生命を維持するために必要な栄養素は何か、どうやって摂るのが良いのか等も深く学んでいくのが栄養学なのです。
他にも、安全な保存・加工・調理の仕方、栄養価が高くおいしい食べ物として提供する方法などについても学んでいきます(調理学・食品学)。
栄養学を学ぶと、食事・栄養関連の就職活動に優位になることはもちろん、自身や家族の健康もサポートできるようになります。
栄養学を学ぶには
栄養学を学ぶ方法はいくつも存在しますが、基本的な方法としては以下の3つです。
・大学へ通う
・短大・専門学校へ通う
・民間資格を取る
どれも栄養学を学ぶための方法になりますが、将来の進路や就職先を考慮し、どのレベルまで栄養学を学びたいのかで選択する方法が変わってきます。
大学に通う
4年制の栄養学部では「管理栄養士」という国家資格取得の為の勉強に重きが置かれます。管理栄養士は栄養の知識を深く知らないと取得できないため、管理栄養士を目指すことで栄養の専門知識を深く学ぶ事が可能です。
短大や専門学校では卒業後一定期間、定められた企業での「実務経験」を積まないと管理栄養士試験が受けられないのです。
しかし、4年制の管理栄養士課程を卒業する場合「実務経験無し」で管理栄養士試験を受ける事ができます。
これを踏まえると「管理栄養士」を目指したいなら、4年制の管理栄養士課程のある大学に通った方が良いでしょう。
デメリットとしては、短大や専門学校に比べ学費が高いこと。
また栄養士学校は昼間しか開校しておらず、夜間学校や通信教育がありません。
高校生であれば問題ありませんが、社会人であれば仕事の時間帯を夜間に変えたり、家事や育児を昼間やらなくていい状態でなければ学校に通えないため、実情としてはなかなか厳しいと言えます。
以下のサイトでは栄養学が学べる大学を検索できますので、参考にしてみてください。
参考:栄養学を学びたいの大学・大学院情報|スタディサプリ 社会人大学・大学院 (shingakunet.com)
短大・専門学校に通う
短大・専門学校は栄養学の知識に加え、「調理技術の取得」に重きが置かれている所が多いです。
専門学校のカリキュラムは座学だけでなく、「調理実習」が多くなっています。
したがって「栄養学だけじゃなく、料理も作れるようになりたい」という方に向いています。
2年の課程を卒業すれば無受験で「栄養士」の資格を得る事ができますが、ステップアップとして管理栄養士にもなりたいと思う場合は、卒業後2〜3年間は栄養士として所定の施設などで働く必要があります。
以下のサイトでは栄養学が学べる短大・専門学校を検索できますので、参考にしてみてください。
民間資格を取る
「栄養士」「管理栄養士」以外の栄養の資格でも、栄養指導や栄養に関わる仕事に従事することは認められています。
大学や短大・専門学校に比べると栄養学について詳しくは学べませんが、民間資格といえど食に関するプロとして従事されている方も多くいらっしゃいます。
また、大学では他の分野を学び、働き出してから栄養の資格を取得し栄養に関わる仕事をされている方もいます。
栄養士や管理栄養士の資格は養成学校に通わなければ取得できないため、資格取得を目指している方は早くから養成学校に行くことをおすすめします。
以下に栄養学を学べる民間資格をまとめましたので、参考にしてみてください。
・食生活アドバイザー
自分や周りの人たちの健康的な生活をサポートするために、食生活について提案できる力を身につけたスペシャリストであることを証明する資格です。
食生活アドバイザーには受験資格は特にありません。
そのため、食に対して興味がある方や、家族に健康的な食事を提供したい方など、誰でも気軽に挑戦することができます。
ちなみに、食生活アドバイザーには3級と2級があり、3級「消費者」目線、2級「食を提供する立場」としてのスキルや知識が身につきます。
3級の合格率は65%、そして2級の合格率は35%となっています。
伝統ある食文化を守っていきたい方や家族の健康を守りたい方、仕事に活かしたい方などにおすすめの資格です。
・フードコーディネーター
フードコーディネーターの仕事は、「食」に関する全ての仕事に携わると言っても過言ではありません。
お店で提供する新しいメニューの開発、食材の仕入れや店舗設計も行います。
また、料理教室では講師をしたり、テレビや雑誌の特集、広告の撮影などメディアへ出演したりすることもあります。
フードコーディネーターは食に対して多様な関わり方をしながら、人と食と結びつける役割も担っています。
フードコーディネーターは3級からはじまり、1級まで資格を取得することができます。
3級は入門レベルです。受験資格もなく合格率は70%を超えるため、気軽に挑戦できる資格です。
そのため、仕事に活かすには2級以上が必要となります。
1級がプロのフードコーディネーターなら、2級はアシスタントレベルです。1級の方がより仕事には使える資格であると言えます。(1級は2021年3月時点で約120名しか有資格者がいない)
プロを目指す方はぜひ2級以上の取得を目指しましょう。
・食育インストラクター養成講座
安心安全な食材選びや食事のマナーなど、暮らしや子どものしつけにも役立つ食育実践法が短期間で身につく講座です。
食や健康、さらには教育に関わる分野と、食育インストラクターはさまざまなシーンで活躍できます。
・幼児食プランナー資格
少しずつ食べられるものが増えてくる幼児食にフォーカスし、体作りやアレルギーの知識を習得すると共に、お子さんの年齢に合わせた料理方法を取得することができます。
参考:幼児食プランナー資格取得講座 | 通信講座・通信資格のラーキャリ自宅で簡単資格取得ならオンライン通信資格【ラーキャリ】 (lear-caree.com)
・離乳食・幼児食コーディネーター講座
乳幼児の体の発達に合わせた食事を、正しい知識のもと提供できるスペシャリストです。
乳幼児の発達や月齢に合わせた食材の選び方、調理方法やアレルギーの基礎知識など一通りの知識を身につけられます。
・スポーツ栄養プランナー講座
目的に合わせた栄養摂取やメニューを考案し、ご自身がスポーツをする方や、アスリートたちのパフォーマンス向上や成績アップを、食事の面からサポートします。
栄養学部の分野
ひと言で「栄養」と言っても、どのような観点から考察するかによって学問領域は多岐にわたり、学科が分かれているところもあります。
栄養学部には、食物学科、食物栄養学科、食品栄養学科、栄養学科、食生活科学科、管理栄養学科、文化栄養学科、医療栄養学科などといった学科がありますが、基礎的な内容は同じです。
専門基礎分野 | 公衆衛生学、解剖学、生理学、生化学、栄養生化学、病理学、臨床医学、食品学、食品衛生学、食品化学、調理学 |
専門分野 | 基礎栄養学、応用栄養学、栄養教育論、臨床栄養学、公衆栄養学、給食経営管理論 |
学ぶ分野には、
・解剖学や病理学を用いて研究を行う「医学・科学分野」
・医療現場での栄養指導など臨床的な視点から栄養を学ぶ「臨床栄養学分野」
・公衆衛生学など社会と栄養との関わりを学ぶ「社会環境分野」
・材料化学や調理学、加工学などを学ぶ「食品品質分野」
などがあります。
管理栄養士を養成する4年制大学では、専門基礎分野、専門分野の各学問領域において、講義形式で学んだ内容(=理論)を実験・実習・演習で確認し、学びを確かなものにする流れが組まれています。
取得できる資格
大学や短大・専門学校に通うと、栄養士・管理栄養士の資格が取得できます。
しかし管理栄養士資格を取得するには条件があるため、注意が必要です。
栄養士
都道府県管轄の資格です。
栄養士資格を取得するには、栄養士養成課程のある学校において2年以上学び、必要な単位を取得して卒業する必要があると法律で決められているのです。
栄養士資格は、栄養士養成課程のある学校において2年以上学び必要な単位を取得して卒業すると、無受験で取得できます。
つまり、2年制の短大・専門学校を卒業すると、栄養士資格を最短で取得できます。
管理栄養士
厚生労働省管轄の国家資格です。
管理栄養士は、栄養士資格を持つ人だけが受験できる「管理栄養士国家試験」に合格する必要があります。
つまり、養成学校を卒業しなければ管理栄養士の国家試験を受けることができないのです。
「独学で管理栄養士を取得した」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、養成学校を卒業し栄養士の資格を持っているということが前提になります。
管理栄養士は、病気の方や高齢の方、通常の食事をとりにくい方も含む、さまざまな人に合わせて専門的な知識と技術による栄養指導、給食管理、栄養管理を行う役割を担います。
以下に栄養士と管理栄養士の違いをまとめましたので、参考にしてみてください。
栄養士 | 管理栄養士 | |
---|---|---|
養成学校 | 2~4年 | 4年 |
資格取得条件 | 養成学校卒業 | 国家試験合格 |
免許発行の管轄 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣 |
栄養指導対象 | 健康な人 | 健康な人+病気の人(病気になるおそれのある人) |
業務内容 | 給食提供 献立作成 栄養指導 | 給食提供 献立作成 栄養指導 経営管理 アスリートへの食事指導 など |
栄養学部の就職先、業界、目指せる職業・仕事、進路
具体的な就職先としては、一般企業の場合、食品メーカー、ドラッグストアなどが中心となりますが、病院などの医療機関、保育所や高齢者施設といった社会福祉施設、学校などの給食施設で働く人も多数います。
フードコーディネーターとして活躍する人、食品や飲食関係の仕事で加工食品、健康食品、メニューの開発に携わる人、料理関係の出版社に就職する人などもいます。
児童福祉施設(保育所など) 学校(幼稚園、小学校、中学校など) | 保育所や小中学校を中心に提供する学校給食のために栄養素を計算しながら献立をつくり、給食を提供するのが主な仕事です。 他に、子どもたちへの食育、食生活に関する指導などを行うこともあります。 |
医療機関、高齢者・介護福祉施設 | 医師・看護師・薬剤師などと連携しながら、患者さんそれぞれの状態に合わせて食事の提供、栄養指導を担当します。 |
研究機関(食品メーカーや試験研究機関) | 加工食品やメニューなどの開発 調味料、冷凍食品、パスタソース、お惣菜など、私たちが日常で便利に使っている加工食品などの開発や、レストランなどのメニュー開発があります。 加工食品開発では、試作調理やサンプルの試作、評価を中心に、食品の分析やデータのとりまとめなどの業務、食品などの品質管理業務などがあります。 |
行政・地域活動(いわゆる在宅栄養士。公衆栄養活動や栄養ケアステーションの一員としての活動など) | 地域住民の健康づくりを支援する活動を行っています。主に担っている仕事は①食育、②栄養相談、③在宅訪問栄養指導です。 |
他にも、
・勤労者福利厚生施設(いわゆる社食)
・防衛施設(防衛省所管の施設)
・矯正施設(拘置所、刑務所、少年院など)
・教育機関(管理栄養士養成施設など)
・調剤薬局・ドラッグストア
・スポーツジム(インストラクター)
などの就職先があり、栄養に携わる仕事は多岐に渡ります。
以下のサイトでは、主な就職先や求人等が確認できますので、参考にしてみてください。
参考:【2023最新】管理栄養士の就職先ランキング5つ|食品メーカーホワイト企業の特徴 (miyayoshi7.com)
栄養学を学び、将来的にどのような道に進みたいか考えてみましょう。
まとめ
栄養学を学ぶ方法はいくつも存在しますが、将来的にどのような道に進みたいか、就職先を考慮し、どのレベルまで栄養学を学びたいのかで選択する方法が変わってきます。
自身に合った場で、栄養について学びを深めていっていただければと思います。