歯科栄養学は、歯や口腔内の健康に特化した栄養学のことです。
この分野はまだ広く浸透はしていませんが、予防歯科が普及し始めた今、ますます注目されることが想定されます。
なぜなら口内の健康は毎日の口腔ケアや定期検診だけでなく、日々の食事・栄養もかなり影響しているからです!
適切な食事は歯を強くして虫歯や歯周病の予防だけでなく、全身の健康維持にも大きな影響を与えることが分かっています。
しかし「歯科栄養学」と聞いても、具体的に何を学ぶのか、どうやって日常やキャリアに活かせるのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
この記事では、歯科栄養学の基本から学び方、そしてキャリアへの活用法まで詳しく解説します!
目次
歯科栄養学とは
歯科栄養学は、歯や口腔内の健康に特化した栄養学のことです。
現在はまだ広く浸透していないものの、歯科栄養学は超高齢化社会の予防医療や健康管理の新たな柱として、今後ますます発展する分野といえるでしょう。
この分野では、栄養素が歯にどのように影響を与えるか、適切な食事や栄養管理が虫歯や歯周病の予防にどれほど重要か学びます。
そして、ただ単に歯のための食事療法ではなく、口腔内の健康を通じて全体的な健康を維持するためのアプローチを身に着けることができます。
最近は口腔内の健康が全身の健康に影響を与えることが広く認識されるようになったため、特に予防医療の観点からの需要が高まることが想定されます。
なぜ歯の健康に栄養は不可欠なのか
歯の健康を保つためには、日々の口腔ケアや定期的な歯科医のケアが重要ですが、実は日常的な食事と栄養もかなり大切なんです!
歯の健康は、摂取する栄養素によって大きく影響されます。
日々の栄養バランスの取れた食事は、歯科疾患のリスクを軽減し、健康な歯を長く保つために必要不可欠です。
そして、虫歯や歯周病の予防に効果的です。
このように、栄養と歯の健康は切っても切れない関係にあり、口腔内の健康を守るためには、食事と栄養に十分な注意を払うことが求められます。
虫歯予防
虫歯予防には、適切な栄養素の摂取が欠かせません。
食生活と虫歯リスクの関係を理解し、適切な食事を選ぶことが、健康な歯を維持するための第一歩です。
例えば、ビタミンA、ビタミンDは歯を強化し、歯のエナメル質を保護します。
カルシウムやリンなどのミネラルは、歯の再石灰化を促進します。
また、砂糖の過剰摂取は虫歯の原因となるため、砂糖の摂取量・摂取回数を控えることが重要です。
15kg/年(約40g/日)以上の砂糖摂取で虫歯のリスクが急増することが分かっています。
参考: 甘味(砂糖)の適正摂取方法 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
栄養バランスの整った食事を意識的に取り入れることで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。
歯周病予防
歯周病は、歯を支える組織(歯茎)が炎症を起こし、最終的に歯が失われる可能性がある深刻な疾患です。
例えばビタミンCは歯茎の健康を維持するために不可欠であり、不足すると歯周病のリスクが高まります。
それだけでなく歯周病と糖尿病との関連はエビデンスが高いと言われています。
糖尿病は糖代謝異常により高血糖状態となる代謝疾患であり、国内の患者数が多い疾患の一つです。
また、糖尿病による免疫機能の低下から感染しやすい状態となることで歯周組織の炎症が進み歯周病が悪化しやすいです。
参考: 口腔の健康状態と全身的な健康状態の関連 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
そもそも糖尿病を罹患する原因は以下です。
- 糖質の摂りすぎ
- 糖質の摂らなさすぎ
一般的に糖質摂りすぎの人がなっているイメージがありますが、まったく糖質をとらない若い人も糖尿病に罹患していることがあります。
このような知識を付けることで、歯周病の予防だけでなく全身の健康にも繋がります。
生活習慣病予防
歯の健康は生活習慣病の予防につながります。
日頃の栄養バランスの整った食生活を送ると、2-2.「歯周病予防」でも記載した糖尿病の予防に効果が有るばかりではありません。
- 心血管疾患
- メタボリックシンドローム
- 骨粗鬆症
などの様々な生活習慣病も予防可能です。
このように健康な歯を保つために栄養バランスを整えることで、全身の健康を支えることが可能になります。
歯科栄養学を学ぶには資格がおすすめ!
歯科栄養学を本格的に学びたい場合、特定の資格は存在しません。
関連する知識を身につけるために栄養関連の資格取得を目指すことが推奨されます。
この記事を書いている臨床栄養医学協会では、エビデンスの高い生化学及び生理学に基づく栄養学を学べます。
現在歯科に特化した内容はありませんが、栄養と身体の知識を深めることができ、歯の健康の知識まで応用が可能になります。
例えば、エナメル質の保護に関係するビタミンA、ビタミンDはどれくらい摂取すればいいかご存知ですか?
厚生労働省の食事摂取基準による基準値と、様々な論文を元に考えられる摂取推奨量は以下です。
ビタミンA | 摂取必要量 | 摂取推奨量 |
男性 | 550~600μg/日 | 800~850μg/日 |
女性 | 450~500μg/日 | 650~700μg/日 |
ビタミンD | 摂取目安量 | 摂取推奨量 |
男性 | 8.5μg/日 | 10~20μg/日 |
女性 | 8.5μg/日 | 10~20μg/日 |
※いずれも妊娠中・授乳中の場合を除く
ただし、いくら摂取推奨量を摂ったとしても、腸内環境が悪くて消化・吸収能力が低ければビタミンA・ビタミンDを吸収できずに体に入っていきません。
消化・吸収能力の低下では、以下のように様々な症状が生じます。
- 食後の腹部膨満感
- 慢性的なエネルギー不足
- 脂質を受け付けるか
歯を強くしたいと思っても人によって症状によってアプローチ方法は異なり、まずは消化・吸収能力を改善する方がいい場合もあります。
なぜビタミンA・ビタミンDを摂るだけでなく消化・吸収能力の改善も必要かと言うと、人の体は7,200兆個のミトコンドリアで構成されており、ミトコンドリアのエネルギーは食べるものから得られます。
体に栄養が入らなければミトコンドリアのエネルギーが足りず、身体の不調を起こしてしまうんです。
栄養を学べるところはたくさんありますが、いくら栄養知識をつけてバランスの良い食事をしたとしても、その人に合った食事をしなければ歯の健康も身体の健康も手に入れられません。
- 栄養素の適正量はどのくらいか
- 実際どのような食事をすれば適正量に達するのか
- それを消化・吸収できているか
などの観点から総合的に判断できるようになるまで学ぶことができるのが当協会です。
そして、この資格を通して一人ひとりに合わせた栄養指導ができるようになります。
- エビデンスの高い栄養知識
- 個人に合わせた症状へのアプローチ方法
- 歯の健康まで応用の効く知識
このような知識が欲しい方は当協会のサイトを見てみてください!
参考: 臨床栄養医学協会
歯科栄養学の活かし方
まだ広く浸透していないものの、歯科栄養学の知識はさまざまな場面で活用することができます!
例えば、歯科医院での栄養指導や、健康管理の一環として日常生活に取り入れることが可能です。
また、この分野の専門知識を持つことで、就職やキャリアアップの際に有利になることもあります。
より詳しく紹介します!
日常生活
歯科栄養学は日常生活において家族や自分の口腔内の健康管理に役立てることができ、長期的な健康維持に役立ちます!
知識だけつけても実践に落とし込まなければ意味がありません。
歯科栄養学で日常生活での活かし方を学ぶことで、歯や歯茎の健康を維持するための習慣を身につけることができます。
例えば、適切なカロリーやビタミン・ミネラルの摂取をすることで、口腔内の健康にプラスの影響を与えます。
さらに、食材の選び方を工夫することで、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
家族全員の歯の健康を守るために、食事のバランスを考慮したメニュー作りを心がけることが重要です。
就職・キャリアアップ
歯科栄養学の知識を持つことで、就職やキャリアアップの際に大きな強みとなります。
歯科医院やクリニックでは、患者さんの口腔内健康を総合的にサポートするために栄養指導が求められており、専門的な知識を持つ栄養士は高く評価されます。
そのため、栄養士や歯科衛生士としての資格を持ちながら、歯科栄養学に精通していることは、医療現場で高く評価されます。
また、企業や公共施設での栄養教育の分野でも、専門的な知識が求められる場面が増えています。
こうした分野でのキャリアを考える際、歯科栄養学の学びが非常に有益となるでしょう。
フリーランス
コンサルタントや講師などフリーランスとしての活動を考えている方にも、歯科栄養学の知識は大きな武器となります。
例えば、歯科医院との提携や、栄養指導の個別コンサルティングを行うことが可能です。
歯科栄養学に関するセミナーやワークショップを開催し、広く一般の人々にその重要性を伝える活動も行えます。
さらに、歯科と栄養の専門家として、健康関連の書籍や記事の執筆、オンラインコースの開発など、様々な分野で活躍ができるようになります。
自分自身のブランドを築きながら歯の健康や栄養に関心を持つ多くの人々に価値を提供できるでしょう!
まとめ
歯科栄養学は、口腔内の健康を守るために重要な役割を果たす新しい学問分野です。
適切な栄養管理を行うことで、虫歯や歯周病、さらには生活習慣病の予防にもつながります。
さらに、歯科医療や栄養指導の現場での活躍の場が広がったり、日常生活においても歯科栄養学の知識を活用して、家族や自分自身の健康を守ることができます。
今後ますます注目される歯科栄養学を学び、仕事や生活に役立ててみてください!
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