予防栄養学とは、病気を「治す」ことではなく、病気に「ならない」ための栄養学です。
人生100年時代、日本は超高齢化社会に突入しています。
現在、「健康」という意識は高まっていますが、病気にならない「予防」という意識の浸透が遅れていることが指摘されています。
ですが予防が大切と言われても、具体的に何をどう予防していけばいいのかわからないですよね…。
そんな悩みがある方は、予防栄養学を学ぶことを強くおすすめします。
私たちの体は私たちが食べたもので作られていますので、毎日の食事がとても重要です。
予防栄養学を学べば、どのようにすれば病気を防いで元気に健康に生きていけるのか分かります。
この記事では予防栄養学の大切さと必要性、学び方を紹介します!
予防栄養学に興味を持っているあなたのために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
予防栄養学とは「健康でいるための栄養学」
予防栄養学とは、「健康でいるための栄養学」とも言い換えられます。
「予防栄養学」は、病気を予防するため「食品の成分に注目する」という21世紀の新しい栄養学です。
この予防栄養学の目的は、病気にならない身体づくりをサポートすることです。
今健康に生活している場合、「予防する」という意識は低いかもしれません。
ですが、病気で寝たきりになっている人から話を聞くと
「健康でいるときに、ちゃんと予防しておけば良かった」
という人が多いのが事実です。
最近では色んな研究でも病気を治すにも限界があり、病気になる前に「予防する」という考え方がとても注目され始めているのです。
予防栄養学のひとつの中に「ミトコンドリア」というものが関係していたりします
実は体調不良や慢性疾患の多くはミトコンドリアの活性低下が見られています。
簡単に説明すると、ミトコンドリアは細胞内に存在し、生きるのに必要なエネルギーを生成している器官です。
また、エネルギーとは筋肉の動きや脳の活動、食べ物の消化吸収など、私たちが生きる上で必要な体の機能全てに使われており、体も常に大量のエネルギーを必要としているのです。
そしてそのエネルギーは主に食事から得られます。
もし食生活の乱れから、得られる栄養が少なければ、ミトコンドリアで必要なエネルギーが生成されません。
結果ミトコンドリア機能は低下し、エネルギー不足で体の機能も低下して健康に悪影響が出てしまうのです。
予防栄養学とはこのように体のメカニズムや、日常の食品の成分・栄養に注目し、消化・吸収・エネルギー産生のプロセスを理解していく、健康でいるための栄養学だと言えるのです。
予防栄養学が注目され始めた理由
予防栄養学が注目され始めた背景には、超高齢化社会への突入と、平均寿命と健康寿命の差が開いたことがあげられます。
寿命が延びても病気になり、寝たきりや不便な生活を送るのではなく、毎日元気に健康に過ごしたいですよね。
この章では予防栄養学が注目され始めた理由を具体的に説明していきます。
平均寿命が長くなっている
日本人の平均寿命は過去最高に更新され続け、超高齢化社会となりました。
しかしながら、平均寿命と健康寿命の差は10年以上の開きがあるのです。
健康寿命が短いと、平均寿命までの期間を病気や障害とともに過ごすことになり、確実に生活の質が低下してしまいます。
例えば、日常生活での楽しみや旅行、仕事などの社会的なつながりや人々との関わり合いなど、活動機会は激減します。
病気で行動が制限されてしまったり、体が不自由になり自分の足で行きたいところに行けなかったり、自分の意思で動くことができない生活では、楽しみも減ってしまいますよね。
このように、年々平均寿命が過去最高を更新している今、いつまでも元気に健康でいるために予防栄養学が注目され始めているのです。
増え続ける生活習慣病
生活習慣病は、不適切な食生活、運動不足、喫煙などによって引き起こされる病気のことで、死亡者数の約6割を占めています。
特にコロナ禍後でも宅配サービスの発展や在宅ワーク機会の増加などの生活習慣の変化により、罹患リスクが高まってきています。
他にも、心臓疾患や脳血管障害、糖尿病や高血圧・アレルギー疾患などの多くの病気も、誤った食生活が原因です。
だからこそ病気になってからではなく、病気になる前の根源を見直すための予防栄養学の知識が必要になってきているのです。
医療費・介護費負担の増加
さらに、平均寿命が延びたことにより、医療費、介護費の負担が大きくなってきています。
日本では予防に対する意識の低さから、「病気になったら診察や治療を受ければいい」という考えがまだまだ多いです。
平均寿命が延びることは喜ばしいことですが、健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護給付費を消費する期間が増大することは簡単に想像できます。
これも「予防」という考えを根底にし、健康維持や予防対策を意識することで、将来の負担を軽減することができるのです。
疾病予防、健康増進、介護予防などによって、平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば、個人の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できます。
予防栄養学で学ぶ内容
ここまでで、予防栄養学が注目される理由とその大切さが分かったと思います。
予防栄養学の目的は、病気の予防と健康維持に注目した栄養学の一分野です。
主に、生活習慣病や慢性疾患の発症を防ぐための食事とライフスタイルの改善に焦点を当てています。
この章では予防栄養学で学ぶ内容を具体的に紹介します!
病気にならないための栄養学
予防栄養学では正しい栄養知識を身に着けた上で、病気を防ぐための食事も学びます。
1章「予防栄養学とは「健康でいるための栄養学」」でも紹介した通り、体内の細胞をうまく回すことが病気を防ぐ条件です。
病気を防ぐためにはバランスのいい食事が必要で、バランスのいい食事とは
- 整ったPFCバランス
- 適切なカロリー摂取
が重要です。
また、加工肉などはとくに脂質が多いので頻繁に食べるとPFCバランスが崩れやすくなります。
PFCバランスとは、P=タンパク質、F=脂質、C=炭水化物の割合のことで、
理想のバランスは
- タンパク質:13~20%
- 脂質 :20~25%
- 炭水化物 :50~60%
この割合で食事が摂れていると病気になりにくいと言われています。
PFCバランスが脂質中心になってしまうと、エネルギーを産生するミトコンドリアがうまく機能しなくなります。
エネルギーをうまく作り出せなければ代謝も落ち、慢性疾患の原因の元になってしまいます。
ですので加工肉や加工食品は時々食べる分には問題ないですが、食べ過ぎないようにすることが重要なのです。
予防栄養学ではこのように具体的な栄養バランスやカロリー、食品の特徴などを学び、生活習慣病などの病気にならないための栄養知識を学べます。
食事やライフスタイルの改善方法
次に、予防栄養学では正しい栄養知識を身に着けた上で、実際どのように食事やライフスタイルを改善するのかも学びます。
慢性疾患などは毎日の食事やライフスタイルが原因になっていることが多いです。
- 現在はどのような食事をしているのか
- どのような身体の不調があるのか
- 過去どのような食事をとってきたのか
など総合的に把握し、実践的に体の不調をどのように改善していくのかを学びます。
具体的な例で意外と多いのは、昼食から夕食までの時間や夕食から翌日の食事まで長時間空いてしまうことです。
実は食間の空きすぎはエネルギー切れを起こし、代謝低下の原因・体調不良の原因になったりします。
食間は睡眠時間を除き、4~6時間程度にするのが最適と言われています。
それ以上食間が空いてしまうようであれば、間食をうまく活用しエネルギー切れ時間を短くすることも有効です。
このようにちょっとした食事の取り方でも不調の原因になるのですが、長年のライフスタイルとなると自分では気がつかないことがあります。
予防栄養学を身に着けることは、体の不調の原因に気がつくきっかけになるとも言えます。
体のパフォーマンスを高める方法
予防栄養学は健康寿命を延ばし元気に過ごすことに焦点をあてた学問ですので、結果的に体のパフォーマンスを高めることも学べます。
体のパフォーマンスといえば
- 筋力を維持するための正しいたタンパク質摂取
- 持久力を高めるためのバランスの良い食事
- 回復力を高めるための栄養補給方法
などが挙げられます。
もしかしたら「現代人はタンパク質不足!」と聞いてタンパク質を積極的に摂っている方もいるかもしれません。
しかし、タンパク質は多く摂ればいいというわけではなく、摂りすぎもまた体に弊害が出てしまいます。
パフォーマンスを高めるためのタンパク質量は、年齢や運動量に合わせて摂取していくことが大切なのです。
例えば一般的な日常生活をしている方の適切なタンパク質量は「体重g」程度なのですが、これ以上摂ってしまうと
- 消化不良
- 腸内環境の悪化
- 体臭
などの原因となってしまいます。
このように予防栄養学では正しいタンパク質の摂取方法の知識を身に着け、体のパフォーマンスを高めます。そしてこれが「最後まで自分の足で歩ける、充実した生活」に繋がるのです。
予防栄養学が学べる講座
では予防栄養学はどうしたら学べるのでしょうか。
書籍を購入して勉強することも可能ですが、膨大な書籍の中から必要な情報を学ぶのってかなり大変ですよね。
ですので、すぐ学びたい!働いていて時間が限られている!
こんな人は講座を受けることをオススメします。
次では予防栄養学の内容に近い講座を紹介します。是非参考にしてみてください!
予防栄養学アドバイザー検定
一般社団法人 国際予防医学協会が実施している検定です。
予防栄養学の専門知識と実践スキルを習得し、健康維持と病気予防に役立つアドバイスを提供できる専門家を育成するための教育プログラムです。
受講者は、バランスの取れた食事や適切なライフスタイルの提案、個々の健康状態に応じた栄養管理法などを学びます。
この講座を修了すると、予防栄養学の知識を基に、個人やグループに対して健康維持や病気予防のための具体的なアドバイスを行う資格が得られます。
この検定の特徴は世界トップ8のシェフが教える健康的で美味しいレシピを学習することができることです。
自宅でも簡単に、病気予防のための食事法を実践することができるようになります。
実践的なレシピを学びたい人、料理が得意な人に向いていると言えます。
検定講座価格
登録費 | 16,500 円(税込) |
年会費 | 11,000 円(税込) |
検定試験費 | 33,000円 |
教材代含む受講費/受験費 | 337,500 円(税込) |
参考: 予防栄養学アドバイザー検定 – 一般社団法人 国際予防医学協会 (ipma.jp)
予防医学栄養セラピスト®
予防医学栄養セラピストとは、病気と診断される前の不調に対して、身体のメカニズムをもとにアドバイスを行うための日本未病ケア予防医学協会が認定する資格です。
身体のメカニズムや食品ごとの栄養やその働きに関する知識を学ぶことにより、身体の不調に合わせた食事の改善方法やサプリメントの選び方をアドバイスできるようになります
養成講座は3級・2級・1級とあり、順番に受講しなければいけません。
しかし1級の受講条件は予防医学栄養セラピスト養成講座3級・2級受講者のうち、美容健康関係者かつ店舗を構え、顧客を持っていなければなりません。
逆に言えば、この資格は店舗を構え、顧客を持っている美容健康関係者におすすめの資格と言えるでしょう。
予防医学栄養セラピスト® 養成講座3級コース | 予防医学栄養セラピスト® 養成講座2級コース | 予防医学栄養セラピスト® 養成講座1級コース | 予防医学栄養セラピスト® 養成講座認定試験 | |
受講対象 | 対象制限なし | 3級受講者 | 予防医学栄養セラピスト養成講座3級・2級受講者のうち、美容健康関係者かつ店舗を構え、顧客をお持ちの方。 | 1級受講者 |
所要時間 | 3.5時間※ | 6時間※ | 6時間×6回※ | お問い合わせください。 |
料金 | 27,500円(税込)※ | 60,500円(税込)※ | 132,000円(税込)※ ※ テキスト代・修了証込み | 16,500円(税込) |
参考: 予防医学栄養セラピスト養成講座|日本未病ケア予防医学協会|エステ以上治療未満を目指すエステスクール (c-yobouigaku.com)
臨床栄養医学指導士®
「臨床栄養医学指導士」は、一般社団法人 臨床栄養医学協会が認定する民間資格です。
他の栄養学の資格と異なり、医学的な知識が多く含まれているのが特徴です。
エネルギー代謝学、腸内環境栄養学、睡眠栄養学、貧血栄養学などが学ぶことができ、予防につながる栄養学の知識が身に付きます。
栄養学の知識を医学的な観点から深く学べる講座で、医師や管理栄養士など国家資格保持者も受講されるほどです。
しかし、資格取得することは難しいことはなく、主婦や会社員など栄養初心者の人も多く受講しています。
また資格取得後には、臨床栄養医学指導⼠として名乗ることができ、2,000枚のセミナー資料の引⽤や、カリキュラム内で、セミナースライド資料の作り⽅や講師としてのセミナーの作り⽅などを学べるなど、ビジネスへのつなげ方も手厚くサポートしてくれます。
この資格は、栄養学について全く未経験の方やビジネスに活かしていきたいけれど一人では心配な方におすすめです。
受験資格 | なし |
受講料 | 一括払いで税込249,800円、分割払いで税込計259,200円 |
まとめ
予防栄養学は病気を防ぎ、元気に健康に過ごすための知識がつく学問です。
超高齢化社会に突入した現代で、これからますます重宝される知識となるでしょう!
予防栄養学を学ぶことで、ご自身やご家族のバランスの取れた食事やライフスタイルの改善を行えるだけでなく、ビジネスのステップアップとして、同じように体の不調に悩んでいる人たちへの的確なアドバイスもできるようになるとても魅力的な学問です。
この記事が予防栄養学に興味がある、あなたの第一歩になれれば幸いです。
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