栄養学を真剣に学んでいる人であれば、現在の栄養学は間違いだらけということに気づきます。
例えば
・糖質制限で痩せる
・果物は太る
・現代人は糖質の摂りすぎで太っている
・オメガ3は体に良いと聞いたからサプリで摂る
などの情報を目にしたことはありませんか?
実は、それらの情報は間違ってる可能性があります。
これらが間違っているという根拠が明確に存在するのです。
※この根拠は2章「みんなが知らない栄養学の間違い3選」で紹介しています!
栄養学というのは、私たち人間にとって必要不可欠なものであり、正しい知識の元で
取り入れることが出来れば、本来は私たちの生活や健康をより豊かにするものです。
その一方で、間違った栄養の知識を取り入れた場合には、体調不良の原因となるような「悪」となる一面も持ち合わせています。
つまり、栄養学を上手く活かすことができるかどうかは、その人がどれだけ正しい情報を持っているかによって左右されるということなのです。
それでは、正しい栄養学の情報はどのように得ることができるのでしょうか?
この記事では、どうして現在の栄養学が間違いだらけの情報になってしまっているのか、そして一般的には多くの人が信じている栄養情報の真相について具体例を医学論文や生化学を主とした科学的根拠に基づきを用いながら解説します。
また実際にこの先、正しい情報を自分で得るためのポイントについても最後に解説していきますので、この記事を活用して今後は間違いだらけの栄養学に振り回されないようにしてくださいね!
目次
現在の栄養学が間違いだらけな理由
元々栄養学は、生物や化学の知識を基礎とした体の仕組みや栄養素の変化など専門的に学校や書籍で学ぶことが出来る専門分野です。
しかし、現代ではSNSの普及により「自分がダイエットに成功したから」など、自身の経験だけに基づいた根拠のない栄養学の情報も溢れており、一般の人でも簡単に栄養についての情報を目にする機会が増えました。
当然ですが、個人が成功したからといって一般の方から見て全てが正しい情報であるとは限りません。
例えばダイエットと言えば今では有名になった糖質制限ですが、私たちからすると間違ったダイエット方法といえます。
確かに、早い段階で一時的には体重を落とすことができます。
ジムやダイエットコーチなどダイエットをサポートする側としても明確な変化を残せる上、ダイエットを受ける側にとっても早い段階でまるでダイエットが成功したかのようで嬉しいですよね。
だからこそ、糖質制限というダイエットサービスが大流行しそれに伴い、間違いだらけの栄養情報がインターネット上で広がっているのです。
しかし実は、糖質を制限することで溜め込んでいる水分が抜けただけであり「脂肪が落ちた」訳ではありません。
その上、糖質を制限したことで本来持っている糖質の代謝能力が低下し、糖質制限後にこれまでと同じように糖質を食べ始めた結果、リバウンドしたり体調不良に陥るケースも栄養指導をする中で多く見受けられます。
人間として生命を維持している以上は機能や構造は同じであり、その仕組みに沿った正しい栄養学の情報を得ることが大切です。
そして、より健康的に痩せる方法や不調のない豊かな生活が送れるようになるためには、根拠のある栄養の知識を元に実践していくことが重要なのです。
みんなが知らない栄養学の間違い3選
この章では、すでに世の中に蔓延っている栄養学の間違いを3つ紹介していきます。
・果物は太る
・現代人は糖質を摂り過ぎ
・オメガ3は体にいいと聞いたからサプリで摂る
これらの3つは多くの人が真実と信じているものばかりですが、論文や研究では間違っていると言われているものであるため、実際に研究データや厚生労働省のデータを用いながら解説していきます。
ぜひ栄養学の真相を知りたい方は確認してみてください。
果物は太る
多くの文献から果物で太ることはなく、健康的な効果を示しているというデータが多いです。
何故なら果物自体は水分含有量が多く、低カロリーなものも多い上に、現代人が不足しがちなビタミンCやマグネシウム、食物繊維なども摂取することができるからです。
これらの文献からわかるように、果物の摂取量が増えることにより、長期的に見ると肥満を予防する抗肥満効果や、老化の原因にもなる酸化を遅らせる抗酸化効果という美容面でも効果を期待できます。
また、心疾患リスクの低下など健康面のリスクから見た場合にも死亡率の低下や血圧・血糖値の正常化に役立つことが証明されておりこのように、果物では太らない上に健康的な効果があるのです。
ただ、これらの効果を発揮するにもカロリーオーバーには注意すべきです。
当然、普段から食べ過ぎている場合に果物を追加すると太ってしまうので注意が必要ですが、適切なカロリー範囲内で食べる場合には問題ありません。
現代人は糖質を摂り過ぎ
現代人は糖質ではなく、脂質の摂りすぎです。
厚生労働省では必要なタンパク質・脂質・糖質の割合(バランス)を示しています。
その適切なバランスのことを「PFCバランス」と呼ぶのですが、PFCというのは
P:タンパク質(Protein)
F:脂質(Fat)
C:糖質(Carbohydrate)
の頭文字を取って成り立っているものであり、PFCバランスについて国が推奨している理想的な割合は
P:13~20%
F:20~30%
C:50~65%
と示されています。
次に、日本人のPFCバランスの年次推移について確認していきましょう。
以下のグラフを確認してみてください。
出典:国民健康・栄養調査からグラフを作成
あくまで平均値ではありますが、これらは厚生労働省が示したデータです。
この表からも1947年から2019年にかけて糖質の摂取量は減少し、脂質の摂取量が増加していることが分かると思います。
想像していただきたいのですが、50年以上前に肥満が多い印象はありますか?
おそらくイメージが湧かないのではないかと思います。
理由としては、蒸す・煮るなどの油をあまり使わなかった調理法から炒める・揚げるという植物油を多く使う調理法の変化したことや、肉やバターたっぷりのパン、加工品など素材自体に動物性脂質が多く含まれた食材を摂取する機会が増えた”食の欧米化”が関係しているのではないかと考えられています。
このように意識せずとも脂質が増えがちになってしまう現代の食生活においては、主流となっている糖質を減らすやり方では栄養バランスが崩れ、体調不良や太りやすく痩せにくくなるリスクもあります。
糖質を悪者として減らすのではなく、まずは自分が「脂質を摂りすぎていないか?」という視点を持って生活してみてください。
オメガ3は体にいいと聞いたからサプリで摂る
オメガ3が体に良いと聞いて、サプリメントを摂取したり亜麻仁油やえごま油をサラダにかけたりするなど、意識的に食べていませんか?
結論からいうと、サプリや〇〇油に頼りきらず食材から摂取することが大切です。
以下のデータをご覧ください。
出典:江崎 治 他, n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取基準の考え方, 日本栄養・食糧学会誌, 2006, 59 巻, 2 号, p. 123-158
これらはオメガ3を摂取する効果や、死亡率の低下を示したものです。
詳しく見ると、このデータはサプリメントのようなオメガ3単体ではなく、魚の摂取による効果を示しています。
つまり、オメガ3だけを抽出したサプリメントを摂取するのではなく、オメガ3以外にもタンパク質やビタミン、ミネラルも豊富に含まれた魚を習慣的に摂取することが、より健康的な効果をもたらすということです。
実際に、亜麻仁油・えごま油・オメガ3サプリメントの「有効性は不明」としている論文が多数ある一方で魚を食べることでの健康効果を示す論文は多数、存在しています。
出典:
また、魚以外にもオメガ3を含む食材はあり、その中でも納豆・くるみ・卵などは聞いたことがあるのではないでしょうか?
これらも魚と同様にオメガ3以外の栄養素を含んでおりバランスよく食事メニューに取り入れることをおすすめします。
含有量を含む食材一覧は以下をご確認ください。
食材 | 飽和脂肪酸 | オメガ9 | オメガ6 | オメガ3 |
納豆50g(1パック) | 0.74g | 0.95g | 2.33g | 0.37g |
玄米160g(茶碗1杯) | 0.37g | 0.48g | 0.51g | 0.02g |
アーモンド(10粒) | 0.49g | 4.17g | 1.5g | 0.012g |
くるみ(1個) | 0.27g | 0.41g | 1.65g | 0.36g |
豚肩肉(100g) | 5.25g | 6.5g | 1.55g | 0.1g |
牛肩ロース(100g) | 12.19g | 20.16g | 1.01g | 0.04g |
鶏もも皮なし(100g) | 1.08g | 1.6g | 0.52g | 0.03g |
キャベツ(100g) | 0.02g | 0.01g | 0.01g | 0.01g |
白菜(100g) | 0.01g | 0.03g | 0.004g | 0.02g |
卵(一個) | 1.7g | 2.21g | 0.89g | 0.1g |
サツマイモ(200g) | 0.06g | 0.12g | 0.1g | 0.02g |
牛乳(200ml) | 4.8g | 1.79g | 0.21g | 0.04g |
オメガ3の理想的な摂取量は厚生労働省のデータからも2〜3gと言われており、具体的なイメージとしては、魚100gにオメガ3は約1.0g含まれています。
つまり週5回以上、魚を食べると【2〜3g】/日になるので1日1回は、食事メニューに魚を取り入れる生活をしてみてください。
魚の中でも、マグロやカツオなど大型魚の摂取頻度が多い場合には水銀のリスクも警鐘されているため、しらすや鯖などをうまく活用しましょう。
正しい情報を得るために必要なこと3選
栄養学の真相について解説してきました。
中々、このような信憑性のある情報に辿り着くまでに時間がかかりますよね。
それではこの先、「どうしたら正しい情報を見極められるようになるのか?」と、正しい情報を選ぶことが出来るようになるために必要な3つのポイントについて説明していきます。
文献に基づいた情報であるか確認する
まずは 2章「みんなが知らない栄養学の間違い3選」の解説でも交えたように「実際に、情報の元となるデータは何か?」の根拠を示すものが掲載された情報かを確認しましょう。
冒頭でお伝えしたように、現在では自分の成功例という”1人の経験のみ”に基づいた情報も多く溢れている状況です。
それらの情報では自分に当てはまる可能性は低いため、しっかりとした条件下で、一定期間や多数の実験に基づいた結果をデータ化された情報であれば、あくまで平均値ではありますが信憑性を示す根拠であると言えます。
記事にたどり着いた際には、今後文献や大元を確認する視点を持ってみてください。
専門家が監修している情報か確認する
冒頭でお伝えしましたが、元々栄養学は、生物や化学の知識を基礎とした体の仕組みや栄養素の変化など専門的に学校や書籍で学ぶことが出来る専門分野です。
それに伴い、管理栄養士や栄養士など国家資格のある専門家も実在するため「管理栄養士監修」や「医師監修」などの情報は信憑性が高いと言えます。
また、現在では栄養の情報を学ぶことの出来る団体も多く存在していますが、団体によっては科学的根拠に基づく情報でないこともあります。
団体名がある場合には、その団体の理念や方針が文献やデータに基づいて学びが行われているかも確かめた上で情報を選んで行くようにしてみてください。
自分の栄養学の知識を磨く
自分の栄養学の知識を、文献やデータに基づいた根拠のある知識を元に磨いていくことで、正しい情報を選ぶ力が大きく育っていきます。
根拠やデータに基づいた知識を持ち合わせることでこの先SNSやインターネット上で見つけた間違った栄養情報に振り回されず、その時に1番必要な情報を選ぶことが出来ます。
すると、無駄な時間がかかることなく自分の欲しい未来を最短で叶えられるのです。
実はこの記事の「みんなが知らない栄養学3選」は臨床栄養医学協会の講座の一部からご紹介しています。
ここまで読んでいただいたあなたならお分かりになると思いますが、多くの文献情報を参考にお伝えしており、疑問に思っていた栄養学の情報の答えとして、ご納得頂けたのではないでしょうか?
それは臨床栄養医学協会が医学論文や生化学を主とした科学的根拠に基づいた正しい栄養の知識から実践方法を広めようと活動している団体だからです。
今後、間違った情報に惑わされたくないと思ったら、興味のある方は臨床栄養医学協会のインスタグラムを参考にしてみてください。
インスタグラム:https://www.instagram.com/ren_kozasa_eiyo/
まとめ
現在の栄養学が間違いだらけである理由やその真実についての解説、そして今後は正しい栄養学の知識をどのように得ると良いのかを知ることはできましたか?
本来栄養学は専門分野であるものの、現在はSNSやインターネットの普及により、個人の成功例も多く紛れている状況をお伝えしました。
全ての情報を鵜呑みにすることなく「専門家が監修しているか?」「文献は掲載されているか?」など、信憑性を示す根拠のある情報かどうかの視点を持ちながら、今後は正しい栄養学の知識を選び取る力を磨き続けていただけますと幸いです!
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