栄養指導の研修においての最大のメリットは、プロの指導を受けられ即時に生かすことができるという点にあります。
意外にも栄養指導で悩んでいる医療関係者は少なくありません。
成果を上げるために科内での勉強会や院内(施設内)研修を行われているかと思いますが、なかなか結果として現れてこないのが現状かと思います。
なぜなら、これまでその施設や院内で蓄積されたデータなどを元に作られた資料であったりマニュアルを使いまわしていたりということが多く、マンネリ化してしまっている可能性が考えられるからです。
新しい書籍を参考に作られた資料であっても、やはり栄養指導というものは生のものであり現場で活きた状態で実際に活用するには難しかったりします。
その解決法としては、やはりその道で何年も経験を積み重ねてきたプロが行っている研修を受けるのが第一歩であり、なおかつ近道となります。
しかし、栄養指導の研修に関して検索したところで、実際には思うような検索サイトや研修主催者のサイトを見つけるのは難しく、時間もかかります。
ここでは、多くの研修サイトを検索してきた私が、「栄養指導の研修」に関しておすすめできる検索サイトを3つご紹介していきます。
研修を選ぶ際に失敗しないポイント4点についてもご紹介していますので、ぜひ最後までご覧になってください。
目次
栄養指導の研修を受けることによるメリット
栄養指導を受けることによる最大のメリットは、プロからの指導を直接受けられることです。
研修では長く様々な経験を積んだ管理栄養士や栄養士が、これまでの栄養指導で培った知識やスキルをわかりやすくまとめた内容を講義してくれます。
受講する研修によってはロールプレイングが含まれていたり、実際に医療施設などでの研修時間も要されていることもあり、現場に戻ってすぐ活かすことも可能です。
相手に話を受け入れてもらうための話し方やより伝わりやすい方法、より専門性の高い知識やデータの読み取り方、栄養指導するにあたって専門の疾患分野別の研修も数多く存在します。
そのような研修を受けることは、受講した管理栄養士・栄養士だけでなく、研修内容を医師や看護師、薬剤師などのチーム内で共有することで栄養指導だけにとどまらず、治療や観察、処方など各科を越えて高い影響をもたらします。
栄養だけでなく各専門分野からアプローチすることでより疾患や体調の改善につながることとなり、その件数が増えるほどにその医療関連施設や民間施設に対する満足度も上がっていきます。
失敗しない栄養指導の研修の選び方4つのポイント
一言に研修といっても様々な種類の研修が開催されています。
忙しい業務の合間を縫って貴重な時間とお金を費やすものですから、内容をしっかり確認して選択したいものです。
ここでは、せっかく受講したのに失敗だった、現場での業務に活かせなかった、という残念な結果にならないよう選択ポイントを4点に絞ってお伝えします。
研修内容のレベルを決める
研修を探すにあたって、受講内容のレベルを決めておくことが重要です。
新卒で入職した職員と、ある程度栄養指導の経験のある職員とでは、学ぶ内容に差があることは想像つくと思います。
また所属している医療施設や民間施設によっては、管理栄養士か、栄養士か、によっても選ぶ内容は変わってきます。
「栄養指導」という点だけで検索すると研修内容は出てきますが、受講対象者のレベルに応じたものを選択しなければ、すでに知っている内容をおさらいするような形になってしまったり、レベルが高すぎて研修中についていけずに時間とお金の無駄になってしまうケースもあります。
「どのくらいの経験レベルの誰が・何のために受講するのか」をあらかじめハッキリさせておくことが大切です。
栄養指導の種類を選ぶ
食事や栄養に関する指導を行うのが「栄養指導」ですが、その栄養指導も、「だれが・どのような対象者に・どこで行うか」によってその種類が分かれます。
栄養士が健康な人に対してのみ行えるのに対し、管理栄養士は傷病者や疾患者などより専門性のある内容の栄養指導を行うことになります。
栄養指導を行うシチュエーションによっても種類は分かれており、主には医療施設・福祉施設や居宅在宅サービス・学校・行政・一般企業の5種類によってその指導内容や指導方法は異なっています。
医療施設では指導される対象者によっては個別指導と集団指導に分かれますし、医師や看護師や薬剤師などと栄養サポートチーム(NST)を組んで取り組む場合もあります。
また、医科と歯科でもその目的は異なります。
居宅在宅サービスにおいては、在宅での生活を安全に継続できQOL向上にもなる指導が求められるという点も医療施設や福祉施設とも異なります。
学校ではもちろん子供を相手に指導することになりますし、行政では地域の乳幼児栄養の相談から大人を相手とする特定保健指導などがあります。
そして企業ではスポーツ選手相手の指導や美容関連の指導などもあり、これらの場においては指導内容にも方法にも工夫が必要となってきます。
どのような対象者にどのようなシチュエーションで行うのか、今後の可能性も考慮して選ぶ必要があります。
研修の開催方法を選ぶ
研修を受ける際にはその開催方法を選ぶ必要もあります。
コロナ期を経て、現在は研修の開催にも様々な方法が用いられており、大きく、対面(型)・オンライン・ハイブリッドの3タイプに分けることができます。
対面(型)とは実際に開催場所に集合して受講する方法で、コロナ期以前の大半がこのタイプでした。現地まで行かないと受講できない、というデメリットはありますが、栄養指導という活きた状態での活用においては、やはり目の前で研修を受けられるというメリットは大きいのではないでしょうか?
ロールプレイングができるのはオンサイトならではです。
オンラインは遠隔地においてもネット環境を利用して受講ができる開催方法です。
今やネット環境が整っていればどこにいても研修を受けることができる、という点は最大のメリットです。
ただし、ロールプレイングや実際の指導方法を生で体感するということができない点はデメリットです。
そして現在少しずつ増えてきている開催方法がハイブリッドです。
現地(対面)開催が復活してきている中、オンラインのメリットも考慮して両方同時開催する方法です。
この点のメリット・デメリットは上記に述べたそれぞれと同様であり、それを受講する側で選択できる、という良い点があります。
また、オンライン開催に関しては更にライブ配信形式とオンデマンド形式の2種があります。
ライブ配信形式は実際の研修を同時進行でネット回線を介して受講することができるのに対し、オンデマンド形式は事前に録画したものを配信するやり方です。
ライブ配信形式では実際の講義や実習をそのまま遠隔で受講できるのでライブ感を感じられることやその場で質問をすることができるメリットがあります。
研修によってはアーカイブ配信のサービスもあり、その場合は何度も復習することが可能となります。
オンデマンド形式では受講する側のタイミングで受講することや、何度も繰り返し見返して復習することが可能です。
場合によっては同じ所属の職員や他の科のチーム員との視聴も可能でしょう。
ただし、ライブ配信形式のアーカイブやオンデマンド形式の動画は配信期間が決まっている場合も多いため、その期間内での受講や視聴をする必要があります。
研修の価格を把握する
栄養指導の研修に要する受講料は受講する内容や形式により様々ですが、ここでは一般的な研修費用についてご紹介します。
まず、開催が1日のみの単発の研修なのか、あるいは複数回開催の研修やオンライン配信の場合に期間が設けられておりその間に自分のペースで視聴するシステムなのか、によって価格は異なってきます。
単発の場合、その内容や開催時間にもよりますが、おおよそ会員であれば1,500円~8,000円が相場となってきます。
一方で複数回開催であったり、期間内でのプログラムの視聴の場合は13,000~15,000円からの開催のものが多く、内容によってはさらに高額になっていきます。
さらに、多くの場合会員か非会員化により価格が分かれています。
もちろん会員のほうが低価格となります。
引き続きその開催者の下で研修を受講する予定や可能性があるのであれば、あらかじめ会員登録するのが良いですが、一回のみの予定であれば、会員登録料や登録の手間を考慮すると非会員での受講のほうが懸命な場合もあります。
より深く学びたいと思われるのであれば複数回の受講が望ましいところです。
ただし、現場で生かすためにどこまでの内容で、どれだけの期間を費やせるのか?
研修にかける費用を把握することは重要ですが、それにプラスして考慮しておきたい点といえます。
質の高い栄養指導の研修が見つかる検索サイト3選
「栄養指導の研修」を探してみると、意外に検索サイトは見つけにくかったりします。
キーワード入力してヒットする数は少なくないのですが、実際にサイトに移ると「栄養指導」の内容とはかけ離れたものが多いのです。
「栄養」という単語は様々な紐づけがされているためにヒット数は非常に多いのですが、逆に言うとヒットして検出されたサイトの中から「栄養指導」を見つけ出すのは難しく、さらにその「研修」となると一段困難で時間のかかる作業です。
また、研修に関するサイトがヒットしたとしても、実際に研修を検索してみると民間の資格取得講座が検出される、ということもありなかなか思い描くようなサイトに巡り合うことができません。
ここでは、探したい種類や内容の充実した研修を時間をかけずに、サクッと検索できるサイトを3つご紹介していきます。
①Eatreat(イートリート)
管理栄養士や栄養士を応援するサイトです。
管理栄養士や栄養士の活躍により健康で長生きできる社会の実現を目指し、それをサポートするために、現場で役立つ様々な情報発信を行ったりコミュニケーションの場を提供されています。
学会や研修・セミナーも多種開催されています。
日々の仕事の中で疑問に思った内容を質問することもでき、栄養科計算もできるページも設けられています。更にはイートリスタという「Eatret」の理念に共感した栄養や食に携わる職業の人がサイト内でコラムを執筆するなどの活動をすることも可能です。
②日本病態栄養学会
臨床医、栄養学研究者、管理栄養士が一堂に参加して疾患の病態研究を行い、効率の良い栄養療法の実践と新たな栄養療法を目指されています。
学会の開催するセミナー・講習会を受講することができ、条件を満たした場合には職種による学会認定も受けることができます。
また、NSTセミナーを受講することでNST加算に必要な修了証書の発行も行われています。
③日本栄養士会
「栄養の力で人々を健康に、幸せに」ということの実現を目指し、管理栄養士・栄養士の力で国内外の栄養改善の取り組みを推進できるよう政策・事業を掲げられています。
管理栄養士・栄養士の資質向上のための人材育成や、世の中におけるその役割の拡大推進に尽力し、研修会を多く開催されています。
さらに「キャリアアップ」として管理栄養士・栄養士一人ひとりのキャリア支援を目的として、生涯教育や認定制度を研修会と合わせて導入しており、キャリアの確立制度も設けられています。
また、栄養指導に有効な資料や指導媒体なども利用することが可能です(一部会員のみ)。
出典:日本栄養士会 研修会
栄養指導の研修を実際の業務に100%活かすためには
ここまで、栄養指導の研修を検索して選択するポイントについてご紹介してきました。
様々な研修のレベルや内容、タイプを考慮して最適な研修を選択し、受講できた暁には、その受講内容を現場にて生かす必要があります。
受講者が研修内容をしっかりと落とし込んで職場に持ち帰り、栄養指導に生かすのはもちろんですが、受講者がその研修を受けて「何を学び、何を思ったのか、活かせると感じた点はどのようなことだったか」など学びとなった点を汲み取り、それを生かしていく為にその職場の上司も指導していく必要があります。
職場内でのフォローや共有を行うことで、その研修が更に大きく活かせることにもなります。
また、研修内容をもとに院内や施設内での研修や会議を行うことで、科を越えた院内全体での栄養チームとしての共有も可能となり、栄養指導のみに限定されない広い意味でのサービス提供が可能になります。
まとめ
ここまで読み進めてこられた中で、栄養指導の研修を探すにあたって、あらかじめ考慮しておくべき点がいくつかあるということがお分かりだと思います。
①どのくらいのレベルの誰が受講するのか
②何を得たくて受講するのか
③栄養指導をする対象者はどのような人なのか
④栄養指導するのはどのようなシチュエーションなのか
⑤開催方法はどのような形式を選ぶのか
⑥研修費用はどのくらい想定しているのか
⑦研修期間はどのくらい設けるのか
これらの点を念頭に置いて、おすすめするサイトで検索していただければ、きっとお探しの内容に見合う研修を見つけていただくことができると思います。
そして、受講された後にその研修を最大限に活かすためのフォローや共有を行っていただくことで、栄養指導に良い結果がもたらされます。
さらには科を越えた院内や施設全体の栄養チームによる栄養指導で改善された方々が増えることで施設全体の評判も上がり、さらなる良いサービス提供にもつながっていくことでしょう。
さっそく上記のポイントを押さえておすすめのサイトから栄養指導の研修を検索してみてください!
コメント