薬局での栄養指導とは?病院との違いや求められるスキルを紹介!

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

薬局での栄養指導とは?病院との違いや求められるスキルを紹介!

薬局に所属する管理栄養士は、地域住民の日常生活の場で食と栄養に関する専門的なアドバイスやサポートを提供できる専門職として特徴づけることができます。

病院との大きな違いは、薬局管理栄養士の栄養指導には医師の指示はない場合がほとんどであり、主として患者からの相談に応じるかたちで行われることです。

そのため、限られた情報の中でその方に合った栄養指導をしなければいけません。

 

また、数多くの健康食品やサプリメントからその方の食生活に合ったものを提案することもあり、ヒアリングスキルやサプリメントなどの知識も必要となります。

普段はあまり専門的な指導を受ける機会がない方にも、いつもの食事の不安や疑問を気軽に質問できる環境が整うという、地域住民の健康をサポートする役割があります。

地域住民やお客さまの健康状態をサポートしている薬局管理栄養士が求められる役割について、詳しく解説していきます。

 

薬局での栄養指導とは?病院との違い

薬局での栄養指導とは?病院との違い

薬局と病院との栄養指導の違いは、医師の指示を受けるか受けないかです。

医療機関での栄養指導は医師の指示のもとで栄養計画を立案し指導・介入を行い、医療機関はそれに関する診療報酬を算定しています。

管理栄養士の介入対象は、その医療機関を受診している患者に限られます。

 

薬局に勤務する管理栄養士には医師の指示はない場合がほとんどであり、主として患者からの相談に応じるかたちで行われます。

対象は制限されず、広く地域住民へ食事や栄養関連の情報を発信可能です。

 

ただし、薬局はその業務に関して診療報酬などを算定することはできないため、あくまでも患者や地域住民へのサービスとして実施されます。

薬局での栄養指導では、病院と違い限られた情報しかありません。

その中で必要な栄養指導をするための知識が必要です。

また、健康増進や発病予防の必要性に伴い、世間では健康にまつわる制度や健康商品などが多く出回るようになりました。

 

数多くの健康食品やサプリメントが並べられた中から、患者さんは自分にとって適切な商品を選べているでしょうか?

健康食品やサプリメントなどに対しての質問も多いため、それに対応できる知識も必要になってきます。

根拠のある知識を持った専門家にアドバイスをもらい、自分に合った食事をしていきたいという、健康志向の高い人が質問する可能性も高いのです。

 

普段の食事に加え、自分に合う健康食品やサプリメントについても相談できる窓口として、薬局やドラックストアには管理栄養士が常駐しているのです。

薬局管理栄養士は、地域住民の健康を支える拠点となる役割を担っているといえます。

 

薬局管理栄養士が求められる業務

薬局管理栄養士が求められる業務

薬局管理栄養士が求められる業務として、

  • 地域の人への栄養相談・指導
  • 訪問サービス
  • 栄養関連のイベント

があります。

 

薬局管理栄養士は薬局運営に欠かせない医療事務、在庫管理・発注、調剤補助等も兼務しないといけません。

その他にも地域の健康セミナーや勉強会の開催、これらに係わる料理レシピや栄養新聞・栄養情報誌、教育資料の作成も手掛けています。

そのなかでも薬局管理栄養士として特徴的な内容を詳しく解説していきます。

 

地域の人への栄養相談・指導

薬局の管理栄養士が栄養指導(相談)を行う機会は、

  • 薬剤師による服薬指導時に具体的な食に関する説明が必要な場合
  • 主治医から栄養指導の要請があった場合
  • 利用者から食事の相談や問い合わせがあった場合

などです。

 

また、利用者の調剤の待ち時間に管理栄養士から積極的に声かけし、関心のあった情報を提供する場面もよくみられます。

薬局管理栄養士は、薬局で販売されている健康食品やサプリメントについての相談や普段の食生活に関する相談や「血糖値が気になる」「食が細くなってきた」「どの健康食品を選んだらいいかわからない」などの食事や健康食品についての悩み・疑問に合わせて栄養指導を行います。

 

「減塩のコツ」などといった、誰もが気になっていたけど実際にどのように努力したらいいか分からない点に対して、改善に向けた内容を指導することもあります。

普段はあまり専門的な指導を受ける機会がない方にも、いつもの食事の不安や疑問を質問できる環境が整うということはとても心強いですよね。

 

訪問サービス

管理栄養士が地域住民やお客さまの自宅へ単独で訪問・栄養指導を行う場合や、時には薬剤師とともに訪問サービスに同行することもあります。

なかなか自宅からの外出がままならない高齢者は、管理栄養士から栄養指導を受ける機会や食事を提供される機会が少なく、病院や介護施設で生活している高齢者より低栄養になりやすい環境です。

高齢化が進むにつれて、気軽に利用できる薬局の管理栄養士が高齢者の自宅へ訪問・栄養指導を行う訪問サービスの需要は今後増していくことでしょう。

 

栄養関連のイベント

薬剤師と栄養士が協力して、病気と食生活に関する話題提供や相談会も実施しています。

店舗によっては週に1回のペースだったり、月に1回だったりと、開催頻度には特段の定めはありません。

相談会の内容は、ドラッグストアの企画やお客さんの要望に応じてさまざま。

季節やお客さまの要望に合わせたテーマで開催される、地域住民やお客さまが手軽に参加できる内容が望ましいです。

 

薬局の栄養指導で求められるスキル

薬局の栄養指導で求められるスキル

実際に薬局での栄養指導に必要なスキルとして、

  • 未病を予防する栄養知識
  • 患者の日常生活や食生活のヒアリングスキル
  • 栄養関連イベントの企画・実行する知識
  • 他職種と連携を取るためのコミュニケーションスキル

が挙げられます。

それぞれ解説していきます。

 

未病を予防する栄養知識

身体の不調があるにも関わらず検査で異常値がみられない場合や、反対に検査で異常があるにも関わらず症状がない場合を「未病」と呼びます。

「未病」は発病に至る前段階での対処がとても重要になってきます。

「病気ではないけれどなんとなく調子が悪い」といった未病に関する悩みをもったお客さまに、食や運動の面からアドバイスを行います。

そのため、未病に対する栄養知識があることが求められます。

 

患者の日常生活や食生活のヒアリングスキル

利用者の日常生活を踏まえ、適切かつ具体的で実行可能な栄養ケアが求められます。

そのためには、普段の生活習慣や食事内容をどれだけヒアリングできるかにかかっているといっても過言ではありません。

 

お客さんによっては血液データなど上手く集められない場合もあります。

そんな方が普段どんな食生活をしているのか、ヒアリングを通して情報を集めるスキルが必要になってきます。

来店が難しいお客さんに対しては、自宅訪問のうえで食事量やその内容が適正かどうかをヒアリングを通じて確認し、改めて相手の状況状態に適した食事内容を提案します。

 

なかには寝たきりになってしまっている人や、身体の不自由さから移動が困難な場合もあるため、普通の食事ができない場合もあります。

相手に合った食事の方法やメニューを選んで伝えてあげるのも管理栄養士の大事な役割のひとつです。

 

栄養関連イベントの企画・実行する知識

薬局主催の栄養関連イベントでは、

「どんな内容が喜ばれるか」

「地域住民やお客さまの健康増進のためにはどんなセミナーがいいか」

など、薬局管理栄養士だけでなく薬剤師やスタッフと一丸となって相談し、内容を決めていきます。

 

よく開催されている内容としては、以下のものがあります。

参考にしてみてください。

高血圧に対する食事指導

その場で血圧を測り、高血圧の場合には減塩などの適切な食事指導を行う。

ダイエットのための食事指導

健康的にダイエットを進めていくための食事指導を、専門的な視点から行う。

健康診断の結果説明

健康診断の結果を持参した方に対し、それぞれの数値の意味を説明し、以後の食事の注意点などを指導する。

生活習慣病予防のための食事指導

糖尿病や脳卒中、心臓病などを誘発することがある生活習慣病。リスクの高い方に対し、予防のための食事指導を行う。

育児相談

子供の食事に関してのお悩みがあれば、専門的な視点からアドバイスを行う。

 

他職種と連携を取るためのコミュニケーションスキル

薬局管理栄養士が栄養指導をする際に、連携を取っていきたいのが薬剤師です。

患者への処方薬と栄養との関連性を薬剤師に相談したり、薬剤師から患者の栄養指導について相談を受けたり、食事と薬の関係性を密にすることが必要です。

特に薬を飲むタイミングは食事摂取と連動しているケースが多いので、薬剤師と管理栄養士が情報を共有し、双方からアプローチすることは薬物治療の効果をあげるだけでなく、有害事象の発生防止や服薬アドヒアランスの向上にもつながることでしょう。

 

薬剤師と管理栄養士の連携・協働は、疾病の治療・予防効果を高め、安全と安心を提供し、医療費抑制に大きく貢献することができるのです。

また、訪問サービスではご本人はもとより、ご家族やヘルパー、ケアマネージャーなどとの連携も必要となってきます。

他職種との連携を取ることで、より良い栄養ケアサービスが提供できるようになります。

 

薬局栄養指導の本おすすめ2選

薬局栄養指導の本おすすめ2選

薬局での栄養指導をするにあたり、おすすめの本を紹介します。

レビューも載せていますので、参考にしてみてください。

 

今日から使える薬局栄養指導Q&A 

今日から使える薬局栄養指導Q&A 

管理栄養士と医師によるコラボで薬局栄養指導のお悩みを解決してくれる本です。

薬局での栄養指導でよく悩みとしてあがるものから、優先順位の高いものから紹介してくれています。

 

価格:3,080円

URL:今日から使える薬局栄養指導Q&A 

 

【レビュー】5つ星のうち5.0 

特定保健指導にも使えそう!

身近に感じる疑問がわかりやすく解説されています。

特定保健指導でよくある質問も多かったので、とても良かったです!

 

薬剤師・管理栄養士のための 今日からはじめる薬局栄養指導 

薬剤師・管理栄養士のための 今日からはじめる薬局栄養指導 

薬局での栄養指導における薬剤師の役割、薬剤師と管理栄養士の協働などについて大手薬局チェーンの薬剤師と管理栄養士が連名で、代表的な15疾患に対応した薬局栄養指導のノウハウを解説しています。

各疾患に対応したレシピも30以上掲載されているので、お客さんへの提案の参考になると思います。

 

価格:3,960円

URL:薬剤師・管理栄養士のための 今日からはじめる薬局栄養指導

 

【レビュー】5つ星のうち5.0

 読みやすかったです!

薬局窓口で、良く聞かれるフレーズ。

「どんなものを食べたらいいのですか??」「どんなものを食べちゃいけないのですか?」

教えてあげるには、やはり栄養についての知識が必要なのではないか・・・

と、思ったところにこの本に出会いました。

レシピも載っているし、とても読みやすい本です。

 

まとめ

健康志向の高まりや高齢化によって、薬局やドラッグストアでは医薬品の販売の他に、食や栄養に関する相談ができる窓口の需要が高まっています。

食や栄養の専門家である管理栄養士は医薬品とは関係がないように思えますが、「健康になる」「病気の予防をする」という目的から考えるととても重要な存在です。

自分が貢献する相手が訪店するお客さんで、継続的で直接的な関わり方になるため、課題の改善結果やお客さんが喜ぶ姿もダイレクトに伝わってきます。

 

薬局管理栄養士は地域住民の健康を支える拠点となります。

地域の方の健康を守る存在となるよう、継続した支援が必要です。

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