管理栄養士の年収は日本人平均より69万円低い!その理由を徹底解説

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

管理栄養士の年収は日本人平均より69万円低い!その理由を徹底解説

国家資格である管理栄養士ですが、他の医療職と比べて年収は低いと言えます。

管理栄養士は健康に過ごすためにとても大事な「食」や「栄養」を扱う職業です。

知識も幅広く必要で、仕事量も基本的に多いですが年収はあまり高くありません。

 

この記事では、どうして管理栄養士の年収が低いのか3つの理由をそれぞれ深く検証していきます。

また、年収を上げるためにできることを具体的に提案していますので、最後まで読んで是非将来を見据えて行動していきましょう。

管理栄養士の年収は低い!?

管理栄養士の年収は低い!?

令和4年で比較をすると、管理栄養士の年収は約389万円(令和4年賃金構造基本調査)ですが、日本人の平均年収は約458万円令和4年分 民間給与実態統計調査)になります。

 

つまり管理栄養士の年収は、平均年収より69万円低くなります。

実際には、就職先により年収に差がありますが、1番求人数が多い給食委託会社は特に低い傾向にありますので、下げている要因にも繋がっているようです。

委託会社に対し、病院や施設に直接雇われる場合は直営と言われています。

直営は、基本的に空きが出ないと就職は難しいため、数は少ないですが人気があります。

 

この直営の管理栄養士は、委託会社より年収は高くなることが多いですが、その中でも病院は高め、老人ホームや保育園の年収はやや低めです。

その他、地方公務員の空きは少ないですが、地域によっては年収は高くなります。

何より福利厚生が優れていますので、長く働くには良い環境です。

一般企業の求人は少ないですが、管理栄養士の中では年収が高めの傾向にあります。

では実際に平均的に管理栄養士の年収がどのぐらいなのかを調べてみました。

管理栄養士の平均年収

管理栄養士の平均年収は約400万円です。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査では栄養士と管理栄養士を合わせて栄養士として算出しています。

令和5年賃金構造基本統計調査によると管理栄養士・栄養士の平均年収は約390万円でした。

管理栄養士手当を考慮すると平均年収はだいたい400万円ぐらいと言えます。



個人的にもう少し年収が低い印象がありましたので、令和4年も調べてみました。

令和4年賃金構造基本調査では管理栄養士・栄養士の平均年収は約379万円です。

令和5年と同じように算出すると管理栄養士の年収は、約389万円となりますので令和5年では少し上がっているようです。

管理栄養士と他職種との年収比較

それでは他の医療職種との年収を確認していきましょう。

職種

年収

看護師

約508万円

臨床検査技師

約508万円

理学療法士

約433万円

作業療法士

約433万円

管理栄養士

約400万円

令和5年賃金構造基本統計調査男女計を参考に算出


上の表のように他の医療職の年収と比較すると残念ながら管理栄養士の年収は低い傾向にあります。

管理栄養士の年収が低い3つの理由

管理栄養士の年収が低い3つの理由

管理栄養士の年収が低い理由は、主に3つあります。

  • 管理栄養士が多いこと
  • 独占業務がないこと
  • 大きな利益を生みにくいこと

があげられます。

収入を上げるためにも、まず現状の問題点を把握していきましょう。

求人数は少ないが管理栄養士の人数が多い  

1つ目の理由は、求人数が少ないにも関わらず管理栄養士の人数が多いためです。

つまり希少価値が低く、必然的に年収は上がりにくくなります。

 

厚生労働省のデータによると、令和4年の管理栄養士の数は約27万人で、毎年国家試験に8000人〜10000人が合格しています。

このように管理栄養士は年々増えていますが求人は少ないと言えます。

実際に就職活動をしてみると、看護師など他の医療職に比べて求人がとても少ないと感じます。



就職する場所にもよりますが、管理栄養士の配置は病院でも10名以内、老人ホームや保育園では1名以下であることも少なくありません。

つまり1回の求人は、1名~数名程度になります。

求人数が少ないため、雇用者は給与を上げることなく採用しやすくなります。

管理栄養士も直営で就職したいため年収の希望を出すことを躊躇しがちです。

このため年収が上がらないのです。

ただし様々な知識や経験を業務に落とし込み、結果を出しているのであれば管理栄養士も積極的に給与交渉はしていくべきだと思います。

 

せっかく管理栄養士をとっても、激務や低収入のため辞めてしまう人も多いからです。

つまり、平均年齢が比較的若いことも平均年収が上がらないことに影響しているといえます。

管理栄養士だけしかできない業務内容がほぼない

管理栄養士は名称独占資格であり、業務独占資格ではありません。

業務独占資格とは、その資格を持っている人だけが独占的に当該業務ができる資格です。

つまり、その資格を有する者でなければその業務に携わることができません。

 

例えば医師のみ手術ができたり、看護師など一部の医療従事者のみが注射を行うことができるなどです。

このため医師や看護師は必要性や価値があがり、必然的に年収も上がります。

一方、管理栄養士の場合は国家試験に合格して資格を持った人だけが「管理栄養士」と名乗ることができる「名称独占資格」です。

 

これは管理栄養士でない人が管理栄養士を名乗って仕事をしてしまうと、法律上違法に当たります。

でも逆に管理栄養士と名乗らなければ、一般の人が栄養のアドバイスや献立作成などをしても違法にはなりません。

そのため、管理栄養士だけができる仕事が少ないのです。

しかし業務独占はなくとも管理栄養士の価値を高めることができれば年収が上がる可能性があります。

 

最近はNST(栄養サポートチーム)の一員として管理栄養士が活躍する場面も増えています。

折角の機会ですから多職種に埋もれず積極的に意見を伝えていきましょう。

管理栄養士がいなくてはならない存在だと思ってもらえたなら存在価値が上がり、年収の向上にも繋がっていく可能性が上がります。

高額な利益を生みにくい

病院や施設などで管理栄養士がマネジメントや栄養指導に携わることで診療報酬や介護報酬の点数をうけられますが、そもそも管理栄養士は獲得できる点数が少ないため大きく収入を生み出すことは難しいです。

また、給食費は金額が原則一定であり、昨今の物価上昇も重なり、赤字にならないようにすることも大変な状況です。

 

明るい兆しでは、令和4年の診療報酬改定においては、管理栄養士が行っている業務やスキルが多方面で評価され、特定機能病院において管理栄養士を病棟に配置して行う栄養管理が新設されるなど評価は高まっています。

ただし、現状では病院や施設などで年収の大幅アップは難しいでしょう。

企業の場合、開発や営業に関わる仕事で利益を生むことができます。

このため企業での年収は一般的に高くなる傾向にあります。

管理栄養士の今後の可能性

管理栄養士の今後の可能性

病院のNSTや施設の栄養ケアマネジメント導入に伴い、管理栄養士の必要性や地位は高まってきていますが、若いうちから大きく年収を上げるのは残念ながら難しい状況です。

ただし年収を上げる可能性はあると感じています。

 

管理栄養士は人間にとって毎日行う「食」がテーマです。

つまり常に「人」全員が対象者になります。

このような職業は多くはありません。

そして、実際に食の重要性はコロナ禍を経て非常に高まってきていると感じています。

 

その反面、業務独占ではないため、いい加減な情報が溢れています。

正しい情報を、名称独占資格である管理栄養士が伝えることに意義があると感じています。

管理栄養士の利点もあります。名称独占だからこそ業務の自由度は高いのです。

看護師が一般企業での需要は少ないですが、管理栄養士はさまざまな分野で自由に活動することができます。

 

しかし、管理栄養士が多いので名称だけでは不十分です。

管理栄養士にプラスのスキルを加えていくことは大きな強みになります。

例えば管理栄養士にプラスして英語が話せれば外資系の就職先が見え、大きく年収は上がります。

高校でアスリートでありスポーツ栄養の知識があればスポーツ選手とフリーの個人契約にも繋がりやすくなります。

 

栄養だけでなく美肌や美しい体形維持のプロになれば、個人トレーナーとして活動できます。

景品表示法など法律に精通していればサプリメント会社との高額契約も夢ではありません。

これはほんの一例に過ぎず、アイデアは無数にあると感じています。

「管理栄養士×〇〇」がヒントとなります。

ぜひ、ご自身の強みをみつけてください。

 

管理栄養士の将来性についてもっと詳しく知りたい人はこちらの記事を参照にしてください。

管理栄養士は将来なくなる?飽和状態とAI化による変わりつつある現状

管理栄養士の年収を上げる方法

管理栄養士の年収を上げる方法

管理栄養士でも500万以上の年収がある人もいます。

年収を上げたいなら、嘆いていても仕方ないですよね。

 

実際にどのようなことをすれば年収が上がるのでしょうか?

転職、今の職場でのスキルアップ、フリーランスに分けてお伝えしていきます。

自分に当てはめながら考えてみてください!

年収が高い職場への転職

一番確実に年収を上げるのは年収が高い職場への転職です。

特に食品メーカーの研究職や営業職は年収が高い傾向にあります

しかし大企業の中途採用はとても少なく、また経験者を求める傾向にありますのでハードルが高い状況です。

 

中小企業は年収の差が大きいですが、施設や保育園と比較して、高めの求人が多いように思います。

業務内容は幅広いことが多いため、何が求められるかはわからないので

チャレンジしてみる価値はあると感じます。

年収を上げるために転職をしたのに上がらないのでは意味がありませんので、給与交渉も入職前におこなうことをおすすめします。

今の職場でスキルアップ

病院、施設などは、診療報酬や介護保険からの収入が主であるため、残念ながら大きく年収が上がることは難しいと言えます。

しかし、調理業務、発注関連、献立作成、栄養指導、栄養ケアマネジメントとできることが増えれば、少しずつですが給与は上がっていきます。

ただ勤務先の状況やトップの考え方により大きく違い、場所によっては昇給自体も難しい現状です。

副業フリーランス

最近は副業フリーランスとして活動する人も増えています。

一般の方も含めて、栄養によるダイエットや美容などを教える人は増えています。

中にはいい加減な情報もあり、体調を崩す方もいます。

管理栄養士として、栄養学、生化学、解剖学に基づき正しい知識によるダイエット指導を行うことは、職業として十分成り立ちます。

こうした活動を後押ししている臨床栄養医学指導学会は、おすすめです。

 

以下、臨床栄養医学協会のHPより

「当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。」

セミナー受講やレポート提出により合格すれば、臨床栄養医学指導士の資格をとることができます。

そして、その後も定期的に最新の情報を得ることができます。

 

管理栄養士は知識をアップデートしていかなくてはいけない職業です。

この講座を学べば、最新の生化学や栄養学などより深い知識が身につくだけでなく、ビジネス系のセミナーも多くありますので、副業やフリーランスに興味がある方に強くおすすめします。

セミナー講師も、実際に成功されている方なので最新の有益な情報を得ることができます。

興味のある方はぜひ臨床栄養医学協会のHPを確認してみてください。

まとめ

管理栄養士の方は、年収が低くて正直がっかりしてしまったかもしれません。

しかし、さまざまな経験を積む事で確実にレベルアップできる職業です。

例えば、管理栄養士の実務経験だけでなく、転職やプライベートでの妊活、出産、子育て、趣味、異業種交流などあらゆる経験を仕事に生かすことができます。

人生経験が仕事にいかせるため、年を重ねていけば年収を大きく上げる可能性は十分あります。

 

転職もその一つでありますし、若いうちから年収を上げたいなら副業フリーランスも視野に考えてみましょう。

実際にSNSを使って自分のビジネスを広げれば、年収の大幅アップも夢の話ではありません。

それぞれの管理栄養士がさまざまな分野で活躍することで価値が高まり、管理栄養士の平均年収も上がっていくでしょう。

一般社団法人臨床栄養医学協会

執筆者一般社団法人臨床栄養医学協会
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