スキルアップのためにも管理栄養士の資格を取りたい!
でも、栄養士の仕事をしながら独学で合格できるのかな・・・。
このような不安から、受験に踏み切れない人も多くいるのではないでしょうか?
結論として、栄養士として働きながら独学で管理栄養士の資格を取得することは可能です。
実際に、栄養士として働きながら管理栄養士国家試験に合格している人はいます。
ただ、仕事と学業を両立するには、計画を立てて効率よく学習する必要があります。
闇雲にテキストを広げて勉強するだけでは合格することはできません。
そこで本記事では、栄養士として働きながら管理栄養士国家試験に合格するための学習のコツから、おすすめのテキストまで一気に解説していきます。
また、栄養士のスキルアップにつながる資格も併せて紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
目次
栄養士が管理栄養士の資格を独学で取得することは可能
冒頭でも述べたように、栄養士として働きながら独学で管理栄養士の資格を取得することは可能です。
しかし、管理栄養士国家試験を受験するには、以下の内いずれかの条件をクリアしていなければいけません。
・4年制の管理栄養士養成施設を卒業していること。
・4年制の栄養士養成施設を卒業後、厚生労働省が定める施設で1年以上の実務経験があること。
・3年制の栄養士養成施設を卒業後、厚生労働省が定める施設で2年以上の実務経験があること。
・2年制の栄養士養成施設を卒業後、厚生労働省が定める施設で3年以上の実務経験があること。
管理栄養士養成施設を卒業後すぐに国家試験を受験できるのに対し、栄養士養成施設に限っては、養成施設+実務経験の年数が合計して5年以上でないと受験することは出来ません。
また、実務経験として国が認める就業場所は、以下になります。
・寄宿舎、学校、病院等の施設であって、特定多数人に対して継続的に食事を供給するもの
・食品の製造、加工、調理又は販売を業とする営業の施設
・学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園など
・栄養に関する研究施設及び保健所その他の栄養に関する事務を所掌する行政機関
・ほか、栄養に関する知識の普及向上その他の栄養の指導の業務が行われる施設
参考:管理栄養士国家試験について | 公益社団法人 日本栄養士会
たとえ栄養士の資格を保有していたとしても、実務経験がない場合や規定年数に満たない場合は、受験することができないため注意が必要です。
栄養士が管理栄養士試験に独学で合格するための学習の進め方
学校を卒業してからブランクがあるし、勉強の仕方を忘れてしまった・・・。
少しでも効率よく勉強したいけど、なにから手をつけていいか分からない・・・。
1度社会人となり、勉強漬けの日々から遠ざかってしまうと、学生時代の感覚を取り戻すにはなかなか時間がかかりますよね。
でも安心して下さい。
ここからは、管理栄養士国家試験に合格するための最も効率の良い学習方法を紹介していきます。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
テキスト内容を全体的に把握する
はじめに、テキスト(参考書)の最初から最後まで目を通し、全体像を把握します。
はじめは細かい内容まで見る必要はなく、ざっくり目を通すだけで構いません。
どんな単元があるのか、内容量はどのくらいなのかを知り、今後の学習スケジュールを大まかに決定します。
全体が確認できたら、2週目以降は深く堀り下げていきます。
ここでやりがちなNG法が、テキストの一言一句ノートに書き写すことです。
全てを満遍なく学習したいところですが、ここに時間をかけすぎてしまうと後の過去問や模擬試験に回す大事な時間が削られてしまいます。
そのためテキストを使用する際は、自分の苦手とする分野に限ってまとめノートをつくりましょう。
テキストを持ち運ぶのは大変ですが、まとめノートなら仕事場や外出先にさっと携帯できるので、隙間時間での学習がより捗ります。
過去問を徹底的にやりこむ
次に、過去問を徹底的にやりこみます。
テキスト学習がある程度完璧になったら、実際に問題を解いていく期間に充てます。
過去問は最低でも3周できれば5周することが望ましく、5〜10年分ほど遡って用意し、学習することをおすすめします。
1週目 | 全体の構成を把握する目的なので、とりあえず最後まで解く。分からない部分はとばす。 |
2週目 | 1週目の結果から、点が取れる部分と取れない部分が明確になるため、自分の不得意とする分野を中心に復習する。 |
3週目 | なぜ不正解なのか、問題の意図を理解しながら解き進めていく。 |
4•5週目 | 総復習。 |
以上のように、何度も同じように問題を解くのではなく、スケジュールを立てて学習していきます。
模試で苦手分野を把握する
過去問を解き終えたら、模擬試験を受け、苦手分野を把握します。
過去問にはなかった問題や複雑な問題などに触れることで、自分の実力を再認識する貴重な期間です。
模試の結果をみて、本番までにどの分野を学習し直すべきか、最終調整の際の目安にします。
苦手分野を重点的に学習する
模試の結果から、自分の苦手だと感じる分野を中心に学習します。
しかし、苦手分野の学習となると行き詰まったり、試験勉強終盤となればモチベーションの維持が難しかったりしますよね。
そこでおすすめなのが動画を利用した学習法です。
例えばYoutubeでは、解剖生理学や生化学など図を用いながら分かりやすく解説している動画や、栄養士から独学で管理栄養士になった方が運営しているチャンネルもあります。
図やイラストでポイントを覚えることでより記憶に残ったり、動画であれば通勤時間や休憩時間にさっと見ることができるので、それらを有効活用するのも1つの手です。
管理栄養士の資格を独学で取得するのに必要な勉強期間は?
『勉強開始から半年で試験に合格した!』
『働きながらたった3ヶ月で管理栄養士試験に合格できた!』
など色々な意見がある中、一体いつから勉強をはじめるのが正解なのか疑問に思いますよね。
結論として、管理栄養士の資格を独学で取得するのに必要な勉強期間は人によります。
一般的には、4月頃を目安に学習をスタートするのが良いと言われていますが、
養成施設を卒業してからのブランク期間や仕事量の差、家庭の事情など受験者がおかれる状況によって変わってくるため、一概には言えません。
まずは、「2.栄養士が管理栄養士試験に独学で合格するための学習の進め方」を参考にスケジュールを立て、逆算して学習をスタートする時期を決めることをおすすめします。
(例)4月から学習をスタートする場合
・テキストを内容を全体的に把握する期間・・・4〜7月
・過去問を徹底的にやりこむ期間 ・・・8〜11月
・模試で苦手分野を把握する期間 ・・・12〜1月
・苦手分野を重点的に学習する期間 ・・・2月
もし余裕があれば、仕事やなんらかの都合でスケジュール通りに進めることができない場合を想定して、敢えて期間を長めに設定しておくなどすると良いでしょう。
管理栄養士国家試験おすすめテキスト3選
ここからは、管理栄養士国家試験に特化したおすすめのテキストを3冊紹介していきます。
管理栄養士国家試験過去問解説集
著書 | 中央法規管理栄養士受験対策研究会 |
価格(税込) | 3,520円 |
◆特徴 | ・国家試験過去5年分の問題1000問を収録。 ・出題基準の小項目ごとに分類されているので、何がよく出題されるのかがひと目で分かる。 ・実際の出題順に収録されているので、本番のシュミレーションがしやすい。 |
URL:管理栄養士国家試験過去問解説集
クエスチョン・バンク
著書 | 医療情報科学研究所 メディックメディア |
価格(税込) | 5,500円 |
◆特徴 | ・過去問+オリジナル問題を収録。 ・イラストが多くて飽きがこない。 ・丁寧かつわかりやすい解説で理解力が深まる。 ・重要な部分に印がされていて、学習の優先順位がつけやすい。 |
URL:クエスチョン・バンク
管理栄養士国家試験受験必修過去問集
著書 | 女子栄養大学出版部 |
価格(税込) | 3,630円 |
◆特徴 | ・過去5年分の1000問を収録。 ・出題傾向がすぐに分かる。 ・赤シート添付で何度でも繰り返し学習可能。 |
国家試験の合格率
ここからは実際に、栄養士として働きながら国家試験を受験する人はどのくらいいるのか、その合格率についても詳しくみていきます。
管理栄養士国家試験の受験者には、主に3つのパターンがあります。
①管理栄養士養成施設の新卒者
②管理栄養士養成施設を卒業後、何年かブランクのある既卒者
③栄養士養成施設を卒業後、数年就業した既卒者
2023年度の受験者種別ごとにみる内訳は以下の通りです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
新卒者 | 9444人 | 8235人 | 87.2% |
既卒者(管理栄養士養成学校) | 1372人 | 136人 | 9.9% |
既卒者(栄養士養成学校) | 5535人 | 883人 | 16% |
参考:旺文社 教育情報センター
新卒者の合格率は90%近いのに対し、既卒者の合格率は、20%前後とかなり低い傾向にあります。
それほど仕事と学業の両立は難しく、合格を目指すにはかなりの努力が必要となることが分かります。
栄養士のスキルアップにつながる資格3選
栄養士のスキルアップに繋がる資格と聞いて、ほとんどの人が管理栄養士を思い浮かべるのではないでしょうか。
ですが、管理栄養士以外にも十分スキルアップに繋がる資格はあります。
本章では、独学でも取得し易く、栄養士の業務に役立つ資格を3つ紹介していきます。
これから紹介する資格を取ることで、新たな知識やスキルを身に付けられるだけでなく、将来的には独立するなど個人としての仕事の幅を広げることも可能になります。
これを機会にぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。
食生活アドバイザー
食生活アドバイザーは、周囲の人々が健康で安全な生活を送れるように、食の面からアドバイスや提案を行うスペシャリストです。
栄養の基礎知識に加え、食マーケット(正しく商品を選ぶ目を養う分野)や社会生活(食にまつわる税金や法律などの社会の仕組みについて理解を深める分野)についても学習します。
栄養士の資格と併用して取得することで、安全な商品の見極め方や食品ロスを意識した食材の選び方など、栄養知識以外からもアドバイスが行えるようになるためおすすめです。
3級 | 2級 | |
受験資格 | 規定なし・だれでも受験可。 | |
出題範囲 | 栄養と健康/食文化と食習慣/食品学/衛生管理/食マーケット/社会生活の計6分野から出題。 | |
受験料(税込) | 5500円 | 8000円 ※併願の場合は13500円 |
出題形式 | マークシート |
参考:食生活アドバイザー(2級・3級)資格取得講座|通信教育講座なら生涯学習のユーキャン (u-can.co.jp)
フードコーディネーター
フードコーディネーターは、食に関する知識を基に、食の開発・運営・演出などを行う総合クリエイターです。
レシピの考案や商品開発、地域で食のイベントを開催するなど、幅広く活躍することが出来ます。
他にも、SNSを通してレシピを共有したりと個人の活動の幅も広がるため、将来的には料理教室を開講するなど独立することも可能です。
2級および1級の試験においては、実際に企画書の提出やプレゼンテーションを行う実技審査もあります。
※企画書の提出については、オンラインで受講必須の講座がありますので、初めての方でも大丈夫です。
栄養の知識に加えて、実社会で活かせる企画力やマーケティング力も養える点でもおすすめです。
3級 | 2級 | 1級 | |
受験資格 | だれでも受験可。 | 3級合格者に限る。 | 2級合格者に限る。 |
出題範囲 | 文化・経済・経営・科学・アートとデザインから出題。 | ||
受験料(税込)※1 | 12000円 | 1次試験 12000円 認定講座受講料 14000円 | 1次試験 12000円 2次試験 16000円 |
出題形式 | CBT方式 ※2 | 1次試験は3級同様CBT形式 2次試験は講座受講後、企画書提出 | 1次試験は企画書審査 2次試験は企画書のプレゼン&面接 |
※1 登録認定料 21000円(2.3級)/31000円(1級)が別途かかります。
※2 指定の会場にてパソコンを使用した試験。
参考:資格認定試験 | 特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会 (fcaj.or.jp)
臨床栄養医学指導士
1000本以上の論文から得られた、化学的および生理学的に根拠のある正しい栄養学を基に、クライアント1人1人の悩みに寄り添った指導を行うことができる栄養のスペシャリストです。
丁寧なヒアリングや普段の食事内容、血液データを参考にそれぞれが抱える悩みを根本的に解決していく力を身につけることができます。
受講生の多くは、管理栄養士や理学療法士、作業療法士からスポーツトレーナーといった栄養のプロたちです。
卒業後は、セミナー講師や栄養コンサルに挑戦するなど、活躍の場を広げています。
臨床栄養医学指導士の資格を取得することで、食事内容からその人の身体の状態を推測したり、今後起こりうる症状を未然に防ぐ為のアドバイスが出来るようになります。
栄養士として的確でかつ説得力のあるアドバイスを行えるようになる点で、おすすめです。
受講資格 | 規定なし・だれでも受講可。 | |
カリキュラム内容 ※3 | ●メイン講座(80時間) ・栄養の考え方、エネルギー代謝について ・炭水化物の全て ・タンパク質の全て ・脂質の全て ・腸内環境栄養学 ・よくある症状・疾患編 ・血液解析 ・糖質制限について ・筋肉トレ栄養学 ・貧血の栄養学 ・治療家の栄養学 ・栄養指導方法について ●オプション動画(110時間以上) ・栄養学基礎講座+ビタミン・ミネラル動画 | |
受講料(税込) | 165,000円 | |
合否判定 | 全動画視聴後、半年以内に課題レポート提出 |
※3・全てのセミナー動画は24時間いつでも視聴可能。
・毎週火曜の21〜22時にZOOMにてリアル質問会&質問掲示板で24時間いつでも質問可能。
参考:臨床栄養医学協会|栄養のビジネス化をもっと身近に (eiyoigaku.or.jp)
まとめ
栄養士として働きながら独学で管理栄養士の資格を取得することは可能です。
しかし、仕事と学業の両立は厳しく、合格するには相当な努力が必要なのが現状です。
管理栄養士以外にもスキルアップに繋がる資格は多く存在するため、自分の描く将来像とライフスタイルに見合った資格取得の検討をおすすめします。