訪問管理栄養士の資格を取得する流れを解説!受験資格や難易度も紹介

一般社団法人臨床栄養医学協会

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当臨床栄養医学協会では、生化学及び生理学に基づく栄養学に関する正しい知識の普及と、ビジネス化推進を行います。
「知識を得る」「資格取得」だけではなく、必要な経験・実績を積むことでビジネス化をサポート致します。

訪問管理栄養士の資格を取得する流れを解説!受験資格や難易度も紹介

在宅の療養者や要介護者が増えており、今後は更なる増加が予想されています。

そのため、在宅での栄養や食事に関するケアサービスの需要が高まっていくことが予想されます。

一方で、在宅訪問栄養食事指導が可能な管理栄養士は不足している現状です。

 

在宅療養中に食事のケアは欠かせません。

自宅での運動意識というのは認知され始めていますが、食事の大切さというところではあまり理解されていない状況です。

在宅療養者が増加するとともに、在宅訪問管理栄養の専門知識を持つ管理栄養士が必然的に求められています。

 

厚生労働省が「地域包括ケアシステム」を推進していることもあり、今後、在宅訪問管理栄養士の需要は高まると考えられます。

 

この記事では、訪問管理栄養士の認定資格取得のための受験資格や資格取得方法、資格取得後の活躍する場所などについて解説していきます。

「管理栄養士として仕事の幅を広げたい」と考える方は参考にしてみてください。

 

訪問管理栄養士の受験資格

訪問管理栄養士の受験資格

訪問管理栄養士認定資格の受験資格について説明します。

訪問管理栄養士資格は、公益社団法人 日本栄養士会と全国在宅訪問栄養食事指導研究会(現・一般社団法人 日本在宅栄養管理学会)により認定されます。

 

受験資格として、

・日本栄養士会の会員であり、日本在宅栄養管理学会の正会員で管理栄養士であること

・管理栄養士の登録から5年以上経過し、病院・診療所・高齢者施設などにおいて管理栄養士として従事した日数が通算で900日以上(週休2日と仮定して、3年6か月以上の期間が必要です)であること

・学習プログラムの所定の内容を全て修了し、所定の認定試験に合格後、在宅訪問栄養食事指導実施・実践症例検討報告レポート審査を受け合格した者

と設定されています。

出典:在宅訪問管理栄養士 | 公益社団法人 日本栄養士会 (dietitian.or.jp)

 

受験資格だけでもなかなか条件が高く、誰でも取れる資格ではないということがわかります。

 

訪問管理栄養士の資格取得の流れ

訪問管理栄養士の資格取得の流れ

在宅訪問管理栄養士に興味がわいたら、まずは日本在宅栄養管理学会のホームページから資料請求をするのがおすすめです。

資料を読み、認定試験の内容や受験資格、期間、受験費用などに問題がないかしっかり確認しましょう。

資格取得の流れを解説していきます。

 

申し込み

訪問管理栄養士の資格はホームページから資料請求して申し込みをすることがおすすめです。

インターネット上で申し込みや受講料の入金を済ませた後、事前学習のテキストが送付されます。

 

日本在宅栄養管理学会ホームページから申込み

在宅訪問管理栄養士 認定制度について|一般社団法人 日本在宅栄養管理学会 訪栄研 (houeiken.jp)

費用:会員 34,500円(税込)、非会員 43,500円(税込)(入会金、年度会費を含む)

 

受講

申し込みが完了したら、認定試験の前に受講しなければいけません。

受講には認定試験までの3つのステップが組み込まれています。

それぞれ説明していきます。

 

インターネットでの事前学習

テキストを使用し、インターネット上で事前学習プログラムを受講します。

インターネット上で学習を進めるため、自分の都合のよい時間に、好きな場所でプログラムを受講できます。

事前学習プログラムの内容は、在宅療養者の実態や関係法令などです。

プログラム受講後には確認テストがあり、30問の設問で正答率が60%以上となれば合格です。

 

ファーストステップ学習

確認テスト合格後は、約10時間のファーストステップ学習プログラムを受講します。

全14講義あり、訪問栄養食事指導の流れ、各病状に合わせた栄養管理方法などを学びます。

ファーストステップ学習を受講後、セカンドステップ学習と認定試験の受験申し込みを期日までに行いましょう。

 

セカンドステップ学習

セカンドステップ学習は、事例による実践形式トレーニングのワークショップです。

事前動画配信とオンライン(zoom)で実施されます。

ワークショップは2日かけて行い、1日目は約6時間、2日目は約3時間のプログラムとなっています。

 

このプログラムの受講を修了することが「在宅訪問管理栄養士」の受験資格の一つとなります。

 

認定試験

2日目のセカンドステップ学習終了後、60分の認定試験を行います。

セカンドステップ学習と認定試験は二日間で一度に行われます。

 

試 験 料:11,000円(税込)

試験時間:60分

*願書受付は試験日の2か月前の1日より

 

レポート提出

認定試験合格後に控えているのが、「在宅訪問栄養食事指導実施・実践症例検討報告レポート」の提出です。

実際に現場で行った訪問栄養食事指導の内容などをまとめます。

認定試験の合格通知後、2カ月以内に提出しなければならないため注意が必要です。

 

認定

レポート審査まで合格すると、在宅訪問管理栄養士として認定されます。

認定資格の有効期限は5年間となり、更新する際は研修会などへの参加が必要になります。

 

在宅訪問管理栄養士 認定

資格の有効期間:認定日より5年

認定料:11,000円(税込)

 

「在宅訪問管理栄養士」認定の更新

認定を受けてから更新するまでの5年間に日本栄養士会および日本在宅栄養管理学会が「在宅訪問栄養食事指導において必要な知識や技術を得るのに適している」と判断した学会・研修会などへの参加と発表などにより、20単位を取得して更新の申請をする必要があります。

更新料:7,700円(税込)/ 5年ごと

出典:在宅訪問管理栄養士 | 公益社団法人 日本栄養士会 (dietitian.or.jp)

 

試験の難易度

試験の難易度

この訪問管理栄養士の認定試験の合格率は6割ほどです。

筆記試験だけではなくワークショップまで受ける必要がある2日間の資格試験は、一般的な試験より労力がかかるといえます。

高いハードルの受験資格に加えて、労力が必要な試験にも関わらず約6割の合格率は、難易度が高いといえるのではないでしょうか。

 

訪問管理栄養士の活躍する場所

訪問管理栄養士が活躍できる主な職場は、

  • 病院・クリニックなどの医療施設
  • 薬局や歯科医院
  • 栄養ケア・ステーション

といった医療機関や介護事業所です。

 

管理栄養士が訪問栄養食事指導を行えるのは、

  • 居宅療養管理指導事業所(介護保険適用サービス)
  • 在宅患者訪問栄養食事指導ができる事業所(医療保険適用サービス)

です。

 

基本的に訪問栄養食事指導を行うためには、この二つの事業所のどちらかに従事していることが必要ですが、事業所と契約して行うことも可能です。

日本栄養士会が運営する栄養ケア・ステーションに所属している管理栄養士やフリーランスの管理栄養士は、指定事業所と契約することで訪問栄養食事指導を行っています。

 

最近では薬局が在宅訪問栄養指導のための管理栄養士を採用するなど、徐々に活躍の場は広がっています。

 

資格取得で収入面はアップする?

資格取得で収入面はアップする?

在宅訪問栄養指導を行うこと自体は、管理栄養士であれば実施可能です。

しかし、日本栄養士会と全国在宅訪問栄養食事指導研究会が認める「在宅訪問管理栄養士」を名乗るためには、認定試験を受けて合格する必要があります。

 

この資格は、2011年度にスタートしたばかりで現在普及が進められている段階です。

そのため在宅訪問管理栄養士の求人数は少なく、資格手当や資格取得者の優遇などの待遇アップの記載はほとんどないのが現状です。

 

現在は在宅訪問管理栄養士の給与は、医療機関や福祉施設などに勤務する管理栄養士と同等です。

しかし国は現在、介護保険制度で「地域包括ケアシステム」の実現を強化しているので、今後、在宅訪問管理栄養士の待遇がアップする可能性はあると考えられます。

 

始めにもいいましたが、今後はより訪問管理栄養が必要な人が増えてくると予想されます。

在宅訪問管理栄養士の将来性や必要性を見据えて、認定試験にチャレンジしておけば、転職・就職活動の幅も広がっていくのではないでしょうか。

 

まとめ

高齢化や医療費増大に伴い、在宅訪問管理栄養士の需要はこれから伸びていくと考えられます。

しかし、認定者は1,274人(2023年度4月1日現在)程度しかいない希少な認定です。

キャリアアップをお考えの方やこれまでの経験を活かして栄養指導をしてみたい方は、時代のニーズに合う在宅訪問管理栄養士の仕事をぜひ検討してみてください。

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