管理栄養士になるには養成校に通い、国家試験に合格する必要があります!
早い人でも管理栄養士になるためには4年の期間が必要になってくるんです。
意外と高いハードルを超えていかなければいけません。
そのため、管理栄養士を目指すのであれば、十分に検討するのがおすすめです。
この記事では管理栄養士になるために何が必要なのか、また資格取得の難易度を紹介しています。
管理栄養士を目指すにあたっての判断材料にして頂けたらと思います。
目次
管理栄養士になるには国家試験に合格する必要がある
『管理栄養士』は栄養士法に定められた国家資格です。
つまり、国家試験に合格してはじめて『管理栄養士』になることができます。
管理栄養士の国家試験を受験するには栄養士の資格が必要で、大きく分けて2つの方法があります。
まず一つ目は『管理栄養士』の養成校を受験し、その後卒業して国家試験を受験する方法です。
二つ目は『栄養士』の養成校を卒業し、実務経験を積んだ後に管理栄養士国家試験を受験する方法です。
詳しい流れについては以下の図をご確認ください。
栄養士や管理栄養士の養成校には通信制や夜間の学校はありません。
高校を卒業してすぐに学校(養成校)に通うのであれば特に問題はないかと思われますが、社会人を経て養成校に通う場合、勤務を続けながら昼間の学校に通う必要があります。
管理栄養士の国家試験合格率は50~65%程度
管理栄養士国家試験は年に1回、毎年2月下旬から3月上旬ころに開催されます。
合格率は50~65%程度で推移しています。
※2024年の試験では49.3%と50%を切りました。
なお、管理栄養士養成校(4年生の大学・専門学校)卒業の新卒者の合格率80~90%、栄養士養成施設から実務経験を経ての受験者の合格率は10~20%となっています。
栄養士になって実務経験を経てからの合格率は格段に下がってしまいます。
出典:
厚生労働省 管理栄養士国家試験実施状況
厚生労働省 第38回管理栄養士国家試験の結果について
管理栄養士の役割
管理栄養士は栄養に関する知識と技術を用いて栄養指導・管理を行う専門職です。
求められるものは多岐にわたりますが、いずれも正しい栄養の知識や食の大切さを多くの人に伝えるという点は共通しています。
ここでは管理栄養士の役割について紹介していきます。
栄養指導
専門的知識や技術を生かして栄養指導を実施します。
管理栄養士の所属先によって目的は分かれますが、次の3つに大別されます。
①食べ方のコツや調理法の指導
健康的な食生活に関するアドバイスなど“健康の維持・増進を目的としたもの”
②病状に合わせた食事方法や献立の指導
例えば、糖尿病の人に対して気を付けるべき食事のポイントを指導するといったように“病気の予防や重傷化を防ぐためのもの”
③小児や高齢者などライフステージに合わせた指導
小児のアレルギーを考慮した食生活のアドバイス、食欲や嚥下機能が低下してきた高齢者に合わせた指導など
この3つに共通するのは、複数人いる集団の献立を考えるのではなく、それぞれ個別に対応するという点です。高い専門性に加え、豊富なアイデアや臨機応変さも求められます。
給食管理
給食の献立作りや食材の発注、調理スタッフへの指導などを行います。
主に小中学校や夜間の定時制高校などでは、成長期に必要な栄養素を考えて献立を作ります。
保育所や乳児院での給食となると、長乳、離乳食、アレルギー食、摂食・嚥下機能に合わせた食形態にするなど、子どもの状態に合わせての献立や調理法を考案することが求められます。
一般的な給食以外に、特別に配慮を要する人に向けた給食管理を行うことも重要な役割の一つです。
食物アレルギーや宗教、食習慣に対する献立作りを行うこともあります。
食育
食育とは「子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけること」です。
子育て中の保護者に離乳食や幼児食についての指導を行ったり、保育園や小学校などで“食の大切さ・楽しさ”を伝えられるよう簡単な調理や野菜の収穫体験など食育を体験する機会の提案を行います。
管理栄養士の勤務先
管理栄養士の活躍できる場所はどんどん広がってきています。
令和4年度の管理栄養士養成施設の卒業生の就職先内訳は以下の通りです。
出典:「全国栄養士養成施設協会」のグラフを一部改変
管理栄養士の活躍できる場所は時代とともに広がってきています。
栄養士の仕事と比べると、一人一人の体調に合わせた栄養指導を行えるというのが大きく異なる点です。
最も割合の多い就職先となっている病院では、患者さんの栄養管理・指導を行います。
病気の状態や症状は一人ひとり異なるため、医師の指導のもと必要な栄養量を計算して献立に反映します。
病院によっては管理栄養士が中心となり、チームを組んで治療効果やQOL(生活の質)を高める取り組みが行われているところもあります。
病院に次いで割合の多い企業では、医療・福祉・食品関係の株式会社で給食メニューの企画や調理スタッフへの指導をしたり、一般企業の保健事業部に所属して社員の健康の管理などが行われています。
最近ではスポーツ施設やダイエット指導などを行うエステサロンなどの美容施設、フリーランスとなって料理教室を主催するなど活躍の場は広がっています。
管理栄養士を目指すべき人
ここまで述べてきたように、管理栄養士の資格を得るためには4年の期間が必要です。
養成校へ通う必要もあり、そのための費用も必要になります。
そのハードルは決して低いものではありません。
しかし、専門性の高い栄養管理を行いたいという人は管理栄養士を目指すべきです。
ここでは管理栄養士を目指すべき人の特徴を紹介していきます。
病院や介護施設などで栄養指導をしたい人
栄養士でも病院や介護施設に勤務して仕事に就くことは可能です。
しかし、特に医療現場の栄養指導は人の命に関わる可能性もあり、その責任も担う必要があります。
人の身体の仕組み、健康について熟知し、衛生面でも細かい配慮が必要となります。
医療は日進月歩であり、就職後も常に新しい知識を求めて自身の知識をアップデートし続ける必要があります。
こういったことを重荷に感じるのではなく、自身の成長として喜びややりがいを感じることのできる人は資格取得までのハードルを乗り越えて管理栄養士を目指すべき人と言っても過言ではないでしょう。
より収入を増やして安定した生活を送りたい人
管理栄養士が責任ある仕事である以上、対価となる収入は上がります。
職場によって違いはありますが、管理栄養士の年収は350~390万円程度、栄養士の年収は300万円前後となっています。
数年前から法改正により、病院での栄養指導による診療報酬の申請は管理栄養士でなければ行えなくなっているなど、各分野でのニーズは高まっています。
管理栄養士になるために費やされる費用は数年で回収できるでしょうし、年収をアップしてより安定した生活を送りたい人は管理栄養士へのキャリアアップを考えてもよいでしょう。
管理栄養士でなければ取得できない資格を目指したい人
食や栄養の国家資格は、管理栄養士、栄養士、調理師の3つですが、さらに高度な専門スキルを証明する資格として認定資格があります。
特定保健指導担当管理栄養士、在宅訪問管理栄養士、静脈経腸栄養管理栄養士、公認スポーツ栄養士などそれぞれ取得までの条件がありますが、より専門性を追求することができます。
自身の職場にマッチしたものを選び業務で活用することはもちろん、転職を有利に進める材料にもなります。
いずれにしても、自身のキャリアアップにつながることですので、どんどん飛躍していきたいと考える人はまず管理栄養士の資格取得にとどまらずさらに先へ進んでいくことが可能です。
管理栄養士以外で栄養と関わることのできる資格
管理栄養士にこだわらなくても食事や栄養に関わりたい、ということであれば、選択肢は他にもあります。
コロナ禍を経てオンラインでの仕事が多岐にわたる現在、働き方はたくさんあります。
本当に自身がやりたい仕事は何なのか、どういう風に栄養と関わりたいのかということを明確にすることで、自身が進むべき道も見えてくることでしょう。
ここでは、管理栄養士でなくても栄養と関わることのできる資格をいくつかご紹介します。
他にもたくさんありますので、より自身に合った資格は何なのかということを調べてみても面白いのではないでしょうか。
栄養士
管理栄養士でなくても栄養や食事と関わっていくことももちろん可能です。
栄養指導の機会は減ってしまいますが、栄養士も国家資格になります。
栄養士は最短2年で資格取得ができますので、短い期間で資格を取得したいという人にもおすすめです。
栄養士の仕事内容について詳しく知りたい人は以下の記事をご確認ください。
調理師
『食』に関わるということから考えると、管理栄養士や栄養士でなければならないということはありません。
むしろ、『料理』という面では栄養士よりも調理師のほうが目的に沿った資格です。
調理師の場合、主な就業先は飲食店となります。
ここでは必ずしも調理師の資格が必要なわけではありませんが、『調理師』を名乗ることができるのは調理師の国家試験に通った人のみです。
臨床栄養医学指導士
民間資格ですが、管理栄養士や栄養士の多数が取得している資格です。
受験資格は必要なく、一から栄養を学ばれる方もたくさんいます。
それぞれキャリアアップやフリーランスとして活動していくことを目的として取得されていることが多いです。
栄養の基礎から実践レベルまでしっかり学べて、資格取得後はすぐに栄養指導がはじめることができるようになります。
参考:臨床栄養医学協会
まとめ
管理栄養士になるためには受験資格の獲得までの道のりと国家試験通過という越えなければならないハードルがあります。
とくに社会人になってから管理栄養士を目指すとなると更にハードルは高くなります。
しかし、管理栄養士でなければならないこと、できないことがあります。
目標をしっかり持って突き進むことのできる人は思い切って一歩踏み出す価値はあるでしょう。
健康寿命の延長が叫ばれる昨今、栄養の重要性は高まっています。
管理栄養士のニーズも今後まだまだ増えていくことでしょう。
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