この記事では、看護師が栄養指導をするときに活かせるおすすめの資格を紹介していきます!
病院での栄養指導は、管理栄養士が行うことが多いと思いますが、看護師に質問する患者さんも少なくないですよね。
その時に、自信を持って回答することができるでしょうか?
もちろん、看護師でも少なからず栄養の知識はあると思いますが、管理栄養士のように大学などで専門的な知識を学んでいるわけではないので、自信を持って答えることは難しいと思います。
現在では、食生活の変化から生活習慣病も増加していて、今後ますます栄養指導が必要な患者さんは増えてきますよね。
そのため、看護師にもより専門的な栄養の知識が必要となってくるでしょう。
自分で勉強することも大事ですが、知識習得のための近道としてやはり資格をとることがおすすめです。
患者さんに自信を持って栄養指導ができるように、今回ご紹介する資格を参考にしてみてください!
目次
看護師におすすめ!栄養指導に関する資格4選
看護師がスキルアップのためにとっておくべき、栄養指導に関係した資格を紹介します。
はじめに、それぞれの資格のおすすめポイントをお伝えしておきます。
資格 | 内容 |
受験資格をみても、4つの資格の中では比較的取得しやすいかと思います。 今ではNSTを設置している施設も多く、働きながら活かしやすい資格にもなります。 | |
看護師にしかとれない資格という点で、専門性の高い資格になります。 NSTで活動していて、より専門的な知識を得たいという人におすすめです。 | |
専門性が高く、糖尿病のエキスパートといえる資格です。 ただし、自分の働く病院が、受験資格に該当する施設かどうか確認しておく必要があります。 | |
栄養に関する専門的な知識を学ぶことができ、取得すればさまざまな働き方ができます。 ただ、学校に通う必要があるので、他の資格と比べるとハードルが高くなります。 |
それぞれの資格の特徴や取得方法などを比較して、自分にあった資格を検討してみましょう。
より詳しい情報を下記にまとめてみたのでご確認ください!
NST(栄養サポートチーム)専門療法士
NST(栄養サポートチーム)とは、低栄養の患者さんに対して、多職種で連携しながら栄養管理を行い、病気の改善や合併症の予防を目指す医療チームのことです。
具体的な活動としては、患者さんの病態や体調に合わせて食事内容を考えたり、経口摂取が難しい患者さんに対して栄養補給経路(経管栄養や中心静脈栄養)やその内容を考え、担当医師に提案などがあります。
NST専門療法士は、NSTの要となる存在で、患者さんの性別や年齢、病態や栄養状況に応じて栄養管理計画を作成し、個別性に合わせた栄養管理をサポートします。
看護師がこの資格を取った場合は、患者さんへ栄養計画の説明をしたり、輸液や経管栄養の管理、口腔ケアなどを、部署の中心となって行います。
【受験資格】
1.JSPEN(日本臨床栄養代謝学会)の会員であること
2.国家資格を取得して3年以上経過していること(看護師/管理栄養士/薬剤師/臨床検査技師/理学療法士/言語聴覚士/ 作業療法士/歯科衛生士/診療放射線技師)
3.国家資格を取得後3年以上医療・福祉施設に勤務し、その中で栄養サポートに関する業務に従事いた経験があること(年数不問)
4.JSPEN学術集会に1回(10単位)以上参加していること
5.NST専門療法士受験必須セミナーを1回(10単位)以上受講していること
ただし、同一年度に2回以上参加した場合は、1回のみの単位付与となる
6.JSPEN学術集会、NST専門療法士受験必須セミナーを含む合計30単位を取得していること
学会が認めた全国学会、地方会、研究会への参加も対象となる
7.JSPEN認定教育施設における40時間の実地修練が修了していること
認定試験:年1回
受験料:10000円
認定料:20000円
必要書類はインターネット上でダウンロードする必要があります。
詳しくはこちらから確認してください。
参考:日本臨床栄養代謝学会
専門病態栄養看護師
専門病態栄養看護師とはどのような資格なのか、専門病態栄養学会は以下のように説明しています。
専門病態栄養看護師とは、栄養スクリーニング・評価による栄養看護計画の立案と栄養モニタリングなどの栄養管理能力を有する看護師に対し、本学会が与える資格である。
出典:専門病態栄養学会
専門病態栄養看護師とは、栄養障害を起こしている、もしくは起こす可能性がある患者さんの栄養管理を、多職種と連携して行うことで、栄養障害の悪影響を最小限にすることを目的として活動しています。
この資格は、NST(栄養サポートチーム)で活動する看護師の専門性を高めるために導入されたものです。
目的としては、NST専門療法士と重なる部分はあるかもしれませんが、NSTにおける看護師の役割をはじめとし、栄養看護について深く学ぶことができます。
【受験資格】
1.2年以上本学会会員であること。
2.日本国の正看護師免許を有する者。
3.正看護師免許取得後、医療機関で3年以上の栄養管理の実務経験を有すること。
4.以下の条件を満たすこと。
1)本学会に関連する活動として以下の3つ以上に参加していること。
本学会年次学術集会
本学会主催の看護師セミナー(必須)
本学会主催のNSTセミナー
本学会主催のNSTスキルUP講習会
2)本学会の主催する教育セミナー(受験者用e-ラーニング)を受講修了していること。
3)栄養管理に関する5症例のレポートを提出すること。
①消化器疾患、②循環器疾患、③糖尿病・代謝疾患、④腎疾患、⑤呼吸器疾患、⑥血液疾患、⑦内分泌疾患、⑧脳神経疾患、⑨免疫アレルギー疾患 のうち2分野以上にわたる5症例。高齢者、がん、褥瘡を有する症例を含むことが望ましい。
★注:日本病態栄養学会認定「NST研修40時間」を修了している者は、修了証書提出をもって1)および2)を満たしたこととする。他学会等が認定し、診療報酬におけるNST加算算定要件にある所定の研修を終えている者については、修了証書提出をもって1)を満たしたこととする。
認定試験:年1回
受験料:20000円
受験資格を証明する書類の提出が求められます。
ホームページやインターネット上で確認したところ、具体的な情報が少ない現状でした。
興味がある場合は、一旦セミナーなどを受講して、どういったことを学べるのか知るところから始めてみるのがいいかもしれません。
詳しくは学会ホームページも確認してみてください。
参考:専門病態栄養学会
日本糖尿病療養指導士
日本糖尿病療養指導士とは、糖尿病の患者さんに対して、適切な自己管理ができるように援助することを目的とした資格です。
糖尿病の患者さんにとって、セルフケア能力を高めるということは、治療そのものに直結しますよね。
医師との連携はもちろん必要ですが、専門知識を持って患者さんに合わせた指導を行うという面では、自立性の高い資格といえるでしょう。
こちらは看護師特有の資格ではなく、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師の有資格者が取得することができます。
ただし、受験資格として、勤務先の病院に日本糖尿病学会専門医(または日本糖尿病学会の会員である糖尿病診療医)が所属しているかを確認しておく必要があります。
【受験資格】
1.看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士のいずれかの資格を有していること(医療職免許証の写しの提出が必要です。)
2.特定の医療施設において、過去10年以内に2年以上継続して勤務していること。また、この期間に通算1000時間以上、糖尿病患者の療養指導を行ったこと。
(特定の医療施設とは、糖尿病患者の診療、教育や食事指導が行われており、日本糖尿病学会専門医または日本糖尿病学会の会員で糖尿病の診療と療養指導に従事している常勤医が、受験者を指導している施設のこと)
3.2の期間に、自分が携わった糖尿病療養指導の自験例が10例以上あること
日本糖尿病療養指導士認定機構が開催する講習(eラーニング)の受講が修了していること
認定試験:年1回
受験料:22000円
認定試験の前に、受験申請書類を提出し、受験資格審査を受ける必要があります。
詳しくはこちらから確認してください。
管理栄養士
管理栄養士は、看護師と同じく国家資格で、乳幼児期から高齢期まで様々な方を対象として、栄養指導や給食管理、栄養管理を行います。
管理栄養士の働く場所は、医療・福祉施設や小中学校、企業、行政機関などさまざまです。
具体的な仕事内容は、各施設で栄養管理を行ったり、食事や栄養についてアドバイスや指導をしたり、特定給食施設などで献立を考えて食事を提供します。
【受験資格】
高校卒業後、管理栄養士養成課程もしくは栄養士養成課程のある大学、短期大学、専門学校に入学し、所定の単位を取得して卒業する必要があります。
全国の管理栄養士養成施設には夜間学校や通信教育制度はなく、必ず昼間に学校に通う必要があります。
学費の相場はあくまで目安となりますが、2年制の学校では200〜300万円程度、3年制の学校では250〜350万円程度、4年制の学校では350〜450万円程度が必要となります。
国家試験:年1回
国家試験受験料:6800円
管理栄養士は、2〜4年学校へ通う必要があるので、看護師として働きながら資格をとることは難しいです。
学費についても軽視できる金額ではないことから、資格をとるハードルは高そうですね。
しかし、最近では社会人経験を経て管理栄養士を目指す人も増えてきているので、社会人向けの学費サポートや支援をしてくれる学校もあるようです。
看護+栄養のエキスパートとして、ダブルライセンスを目指すのもいいかもしれません。
詳しくはこちらから確認してください。
参考:公益財団法人日本栄養士会
資格取得によるメリット
看護師が栄養指導に関する資格をとることで以下のようなメリットがあります。
・自身のスキルアップ
・看護の質の向上
・給与アップなどの待遇面
それぞれを詳しく説明していきます。
自身のスキルアップ
看護師でも栄養学については学生時代に多少勉強しますよね。
だけど、その知識だけで自信を持って栄養指導ができるでしょうか?
看護師として働き出すと、疾患や手術、検査、薬剤についてなど勉強することが山程あり、栄養について自己学習する余裕もないと思います。
しかし、資格をとることを目標にすると必ず勉強しなくてはなりませんし、病院で働くうえで必ず役立つ知識となるので、看護師としてもスキルアップするチャンスです。
また、栄養指導に関する資格を持った看護師がいれば、他の看護師に教育することで、看護師全体のスキルアップにも繋がります。
看護の質の向上
栄養の専門的な知識がなくても、患者さんに質問されたら、それらしいことを答えることはできますよね!
ただ、それが患者さんの個別性に合わせたベストな回答かと聞かれたらどうでしょう?
患者さんが求めるのは、一般的な答えではなく、自分はどうすればいいかということです。
具体的かつ個別性を考えた指導でなくては、患者さんは行動できませんし、看護にもつながってきません。
看護師が栄養指導に関する資格をとることで、栄養に関しても具体的な看護計画を立てることができ、看護の質の向上が期待できます。
給与UPなどの待遇面
プラスアルファの資格を持っていると、施設によっては手当を支給してくれるところもあるので、給与アップが望めます!
看護師の仕事はやりがいを感じられる反面、体力的・精神的につらいときもありますよね。
収入が増えることは、少なからずモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
このように、資格をとることでのメリットはさまざまです。
自分にとってはもちろんですが、病院にとっても資格保持者がいることは有益ですよね。
期待されることも増えて、よりやりがいをもって働くことができるのではないでしょうか。
職場での資格の活かし方
資格を看護につなげることはもちろんですが、活かし方はそれだけではありません。
他の職員に対して勉強会を開催するなど、職場で活躍できる場面は多いでしょう。
また、学会に参加することで知識をブラッシュアップできるだけでなく、学会発表の機会もあるかもしれません。
それぞれの資格の活かし方についても記載したので、ぜひ参考にしてみてください。
NST専門療法士と専門病態栄養看護師は、ともにNSTのチームメンバーとして活動することになるでしょう。
それぞれの資格の役割が異なるかどうかについては、はっきりとした情報がないのですが、看護師としての業務にそこまでの差はないように思います。
日本糖尿病療養士は、糖尿病患者さんへの指導が主な業務となるので、糖尿病外来や内分泌科病棟などで活かせる資格です。
今まで行っていた指導も、より根拠を明確にして患者さんに伝えられるようになりますし、資格をもっていることで患者さんの信頼も得やすいというメリットがあります。
管理栄養士は、栄養に特化した資格であり、栄養指導や栄養管理などを行います。
看護師と管理栄養士の役割は違いますが、看護師として管理栄養士の知識を活かすことは十分にできます。
なぜなら、栄養管理は患者さんが病気から回復するうえでは欠かせないものだからです。
手術後や絶食治療後の患者さん、褥瘡ができてしまった患者さんは特に重要です。
看護師は患者さんの症状を観察しながら、同時に栄養状態をアセスメントする必要があるので、管理栄養士の資格はかなり強みとなります。
資格取得の過程は大変ですが、取得してしまえば一生モノの財産となりますよ。
まとめ
看護をするうえで、栄養の知識は切り離せませんが、業務上どうしても優先度が低くなってしまうのも事実です。
しかし、栄養指導に関する資格をとることで、看護師としての働き方の幅が広がり選択肢も増えますよね。
今の職場で活かせるのはもちろんですが、転職を考える際にも自分をアピールするポイントになるでしょう!
看護師プラスアルファの資格で、キャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。
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