食に関する職業を目指したとき、「栄養士」と「調理師」はどのような違いがあるか疑問に感じますよね。
栄養士と調理師は仕事内容や必要スキルは同じように見えますが、全く違う業種です。
実際に仕事を選ぶ際にも、それぞれの特徴を把握しておけば、何が違っていてどちらが自分の興味に合っているのか選択することができます。
この記事では、栄養士と調理師の違いや、仕事内容、必要資格、どんな職場で活躍できるのかなどを解説します!
最後までご覧いただければ栄養士と調理師について詳しくわかりますので、ぜひご覧くださいね。
目次
栄養士と調理師の違いは?
食に関わる部分で共通している栄養士と調理師ですが、実は以下のような違いがあります。
栄養士 | 調理師 | |
提供するもの | 食事の栄養バランス | 食事の「安心や見た目、美味しさ」 |
仕事内容 |
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向いている人 | 栄養管理や栄養指導に興味がある | 調理業務に特化したい |
平均給与 | 年収:345.4万円 月給:24万円 ボーナス:57.4万円/年 | 年収:342.5万 月給:25.4万円 ボーナス:37.7万円/年 |
活躍できる職場 |
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必要な資格 | 栄養士 | 調理師免許 |
参考:栄養士の気になる?年収・給料・収入【スタディサプリ 進路】 (shingakunet.com)
参考:調理師の気になる?年収・給料・収入【スタディサプリ 進路】 (shingakunet.com)
以下ではさらに具体的に説明していきます!
栄養士とは
栄養士とは、栄養学に基づき食事や栄養のアドバイスをしたり献立の作成をしたりすることで、栄養状態の管理を行う仕事です。
職場によっては調理することもありますが、メイン業務ではありません。
このような人が栄養士に向いています。
- 「料理のカロリーや栄養バランスを考えた献立づくりに興味がある」
- 「栄養指導で誰かの健康をサポートしたい」
栄養士の主な勤務先は、保育園や学校の給食センター、病院や福祉施設、自治体、スポーツ関連施設などです。
最近では健康ブームに伴い、スポーツジムやフィットネスクラブも栄養士・管理栄養士の職場です。
会員の健康・体力作りを食の面からサポートします。
栄養士の平均月収は約24万円、平均年収は約345.4万円です。
栄養士も年齢や経験によって収入に差が出てきます。
同じ職場で経験と実績を積んでいけば、年々収入も高くなっていくでしょう。
またオンラインコーチングや栄養指導のプログラム、ダイエットプランの作成など、フリーランスとして活動することで高い収入を得るチャンスが増えます。
また、より高度な専門知識を持つ管理栄養士という資格を取得すれば、さらに高収入が期待できます。
2つの違いは、栄養士は主に「健康な人」に栄養指導を行うのに対し、管理栄養士は健康な人はもちろん、「傷病者、病気を患っている方、特別な配慮が必要な方」などに対して栄養指導を行うことができることです。
調理師とは
調理師とは、正しい衛生知識と調理技術で、お客様に見ても食べても美味しい安心して食べられる料理を提供する仕事です。
他にもメニューの開発、食材の仕入などの管理、清掃などの衛生管理も行う大切な仕事です。
このような人が調理師に向いています。
- 「料理をするのが好き」
- 「独立して自分のお店を持ちたい」
- 「料理人として海外で働きたい」
調理師の主な勤務先は、レストランや料亭などの飲食店、ホテルや旅館、保育園や学校の給食センター、病院や福祉施設など様々な施設で働くことができます。
調理師の平均月収は約25.4万円、平均年収は約342.5万円です。
調理師は働く場所、そこでの役割、経験年数や調理師としての実力などにより収入には幅があります。
しかし、実力をつけて一流レストランで調理場全体を取り仕切る料理長になれれば、収入も高くなります。
また、独立・開業して人気店のオーナーになれれば、高収入が期待できるでしょう。
調理師においては「料理の腕」が重要になってくるといっても過言ではありません。
さらに定年がない職業でもあるので、現役引退後もさまざまな施設で働ける仕事であることも魅力です。
栄養士と調理師の資格取得方法は?
栄養士と調理師の資格取得方法は、共通点もありますが違いもあります。
栄養士は独学で取得できず栄養士養成施設に通うことが義務付けられています。
一方で、調理師は専門学校や養成施設で学ぶ方法と2年以上調理の実務経験を積んだ上で調理師試験を受けて合格する方法があります。
専門学校や養成施設で学べば、どちらも取得できる所は同じです。
栄養士の資格取得方法
栄養士の資格を取得する方法は栄養士養成施設を卒業することが必須です。
方法:
- 2年制~4年制養成施設へ入学(専門学校・短大・大学)
- 卒業(各養成施設で必要単位を取得)
- 栄養士免許申請(各都道府県知事に申請して免許を受ける)
- 栄養士資格取得
※1〜4まで最短2年
栄養士資格は、厚生労働大臣から指定認可された大学・短大・専門学校などの栄養士養成施設を卒業することで、無試験で取得できます。
修業年限2年の短期大学および修業年限4年・3年・2年の各種・専門学校がありますが、どの学校を卒業しても資格は同じです。
学校を卒業する必要があるため、栄養士の資格取得には最短で2年かかります。
注意点:
栄養士養成施設は、すべて昼間の学校であり、通信教育・夜間部の学校は指定認可されていません。
そのため、社会人が昼間の勤務をしながら栄養士資格の取得は難しいでしょう。
参考:管理栄養士・栄養士とは | 公益社団法人 日本栄養士会 (dietitian.or.jp)
調理師の資格取得方法
調理師の資格を取得するには、2つの方法があります。
方法1:
- 調理師養成施設を卒業
- 調理師免許申請(各都道府県知事に申請して免許を受ける)
- 調理師免許取得
※①〜③まで最短1年
厚生労働大臣が指定する調理師養成施設で学び、卒業後に住所地の都道府県知事に免許を申請することで、調理師試験を受けなくても免許を取得することができます。
高校や大学は卒業までにそれぞれ既定の年数がかかりますが、調理師専門学校の1年制の場合、最短で1年で取得可能です。
方法2:
- 飲食店や給食施設などで、2年以上の調理業務経験を積む
- 調理師試験に合格
- 調理師免許申請(各都道府県知事に申請して免許を受ける)
- 調理師免許取得
※①〜④まで最短2年
飲食店や給食施設などで、2年以上の調理業務経験を積んだ上で、各都道府県の実施する調理師試験を受け、合格した後に、住所地の都道府県知事に免許を申請し、取得することができます。
注意点:
「調理師」とは、調理師の名称を用いて調理の業務に従事することができる者として、都道府県知事の免許を受けた者を指します(調理師法第2条)。
ですので、調理師免許がなければ、「調理師」の名称を用いることはできません。
参考:調理師の資格を取得するには 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)
両方の資格取得がオススメな人
元々どちらかの資格を持っている場合やどちらも持っていない場合でも、栄養士と調理師の『ダブルライセンス』を取得することは可能です。
ダブルライセンスによるメリットは『調理のできる栄養士』を目指すことができ、栄養士と調理師の両方からの視点が生まれ、視野が広がります。
例えば、新しいメニューを考案する時には、栄養と味の両方を追求した献立作りができるでしょう。
栄養学の知識と調理の技術の掛け合わせは、サービスを提供する効果を倍増させることができるのです!
詳しく説明していきますね。
学生さん
1章「栄養士と調理師の違いは?」で違いを説明した通り、栄養士と調理師は食に関する仕事は共通していますが、役割は違います。
栄養士は「栄養バランス」に重点をおいたメニューを作成するのに対し、調理師はあくまで「安心や見た目、美味しさ」に重点をおいています。
もしどちらにも興味があるなら一緒に取得してしまった方が、後から改めて取る必要はないですし費用も抑えられます。
ダブルライセンスが取得できる学校もありますので、参考にしてください。
【同時に取得できる学校例】
- 服部栄養専門学校(東京都)
参考:東京の調理師、栄養士専門学校 – 服部学園 (hattori.ac.jp) - 吉祥寺二葉栄養調理専門職学校(東京都)
参考:吉祥寺二葉-調理師・栄養士の資格取得に強い東京の伝統校 (futaba-sogo.ac.jp) - 国際調理製菓専門学校(新潟県)
参考:新潟で調理・カフェ・製菓・製パン・栄養の世界を目指すならFood(フード)国際調理製菓専門学校 (food-673.jp)
また修学が必須である栄養士を取得したあと就職し、実務経験を積んで調理師免許を取得する方法もあります。
どちらも資格取得を目指すなら、 行程を意識して進学先を選択していきましょう。
未経験社会人
食に関する仕事は未経験で、栄養士免許も調理師免許も持っていないという場合は、今の職場を辞めて専門学校などへ通わなければなりません。
栄養士免許は栄養士養成施設の卒業が必須で、すべて昼間の学校であり、通信教育・夜間部の学校は指定認可されていないからです。
食に関する仕事に興味があり、栄養士を取得して転職を考えている場合は、簡単なチャレンジではないでしょう。
一方で、調理師免許だけであれば飲食店などで2年以上の実務経験を積み、調理師試験に合格すれば取得できます。
栄養士と調理師の両方を取得するのは時間もお金もかけなければなりません。
しかし、取得すれば『調理のできる栄養士』を目指すことができ、仕事の幅が広がるため、就職や転職に有利になります。
また、将来開業したいという場合にも役立ちます。
もし社会人として就業の経験がある場合は、雇用保険の給付制度の受給資格を活用する方法があります。
ダブルライセンス取得に対応している専門学校へ通うのが一番の近道です。
このような給付制度を活用することも視野に入れておきましょう。
【参考サイト】
専門実践教育訓練給付金
働く人のキャリアアップや再就職を支援するための給付制度で、実際に支払った学費(入学金、授業料)の50%(上限40万円/年)が給付される制度です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講した場合、本人が支払った学費(入学金・授業料・教材費)の50%(上限年40万円)が給付されます。
参考:厚生労働省 専門実践教育訓練給付金に関するよくあるご質問 (mhlw.go.jp)
教育訓練支援給付金
失業中の方で受講開始時に45歳未満の方など一定の条件を満たせば、専門実践教育訓練給付金とあわせて受給することができる給付制度です。
※支給を受けるには、一定の要件が必要となります。
※給付条件等の詳細は、住民票所在地のハローワークまでお問い合わせください。
参考:厚生労働省 教育訓練給付制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
キャリアアップしたい社会人
栄養士または調理師のどちらかの資格をすでに持っていて、さらにもう1つの資格を取得したいという場合、それぞれ資格取得の工程に違いがあります。
- 栄養士をとる場合
- 調理師をとる場合
栄養士を取得する場合は、2-1「栄養士の資格取得方法」でも紹介したように今の職場を辞めて専門学校などへ通う必要があります。
調理師を取得する場合は、2-2「調理師の資格取得方法」でも紹介したように以下が必要です。
- 飲食店などでの2年以上の実務経験を積み試験に合格するか
- 最短1年課程の専門学校などへ通学する
また社会人として就業の経験がある場合は、雇用保険の給付制度の受給資格を活用する方法があります。
もしダブルライセンス取得した場合、
- 栄養士としての栄養管理や食事計画の知識
- 調理師としての調理技術や食品衛生の知識
これらを兼ね備えることで、より総合的な食の専門家として自信を持って仕事に取り組むことが可能になります。
例えば、病院や介護施設で栄養士として利用者様の栄養管理を行いながら調理師として実際の食事提供も担当することで、より質の高いサービスを提供することができます。
また、飲食店やレストランでは メニュー開発や食材の選定、調理技術の向上に役立つことができます。
このように、両方の資格を持つことで、食に関する分野で幅広く活躍できるようになるでしょう。
自分に合った資格を選ぶには
ここまで栄養士と調理師の違いやダブルライセンスについてお伝えしてきましたが、どちらも取得するためには時間もお金もかかってしまうことは明白です。
そして資格取得が目的になるのではなく、資格取得した後に活かせる仕事をできるようにしなければなりません。
1章「栄養士と調理師の違いは?」で紹介した栄養士と調理師の違いを理解し、自分が最終的に目指す仕事をはっきりさせましょう。
そうすれば自分に必要な資格は、一つだけなのか、両方必要なのか、あるいはどちらも必要ないのか、わかるはずです。
実際に、料理人にとって調理師免許は必須の資格ではありません。
純粋に『技術』の面が重要視されるのが料理人です。
求人サイトなどを見るとわかりますが、料理人の募集は「経験不問」や「資格なし」と記載されている求人が多く、実際に勤務しながら調理師免許の取得を目指す人もいますが、無免許のベテラン料理人がいることも事実です。
そして、栄養士については特定給食施設に配置する義務があるのは『管理栄養士』だけで、栄養士は定められていません。
栄養士としてのスキルアップを目指すなら、『管理栄養士』は必須だと考えられます。
しかし『栄養指導』を目指す仕事としているのであれば、栄養士という肩書はなくても栄養学の知識を習得し栄養指導することはできます。
社会人になってからのダブルライセンス取得を目指すのはとても大きな挑戦です。
『時間が限られている』
『できるだけ出費はしたくない』
『無職になるのが怖い』
などの感情が出てくるでしょう。
そんな時は、ダブルライセンスによって自分に得られるメリットと負うリスクをしっかり考えてみてください。
そして、どちらの資格も「自分にとって本当に必要なのか?」ということを慎重に検討していきましょう。
もし今のキャリアのまま、さらに栄養の知識をつけていきたいというのであれば、民間の資格を取るのもオススメです。
この記事を書いている臨床栄養医学協会も栄養や食に関する職に就いている人が多く在籍しているので、興味がある方はぜひご覧になってみてください。
参考:臨床栄養医学協会
まとめ
栄養士と調理師の違いは、栄養学に基づき食事の「栄養バランス」を提供するのか、食事の「安心や見た目、美味しさ」を提供するかという違いがあることがわかりましたね。
もし食に関する業界で活躍したい場合は、本当に自分が目指す先の目標を明確にし、自分に合う資格取得やダブルライセンスなども検討してみましょう!
あなたの目標を応援しています!
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